024-君は完璧さ

024 見岳アキラ「君は完璧さ」(1982年)

作詞:竜真知子 作曲:CULTURE CLUB 編曲:見岳章

一風堂のキーボーディスト、見岳章さんの唯一のソロシングルです。どこかで聞いたようなタイトルだなーと思うでしょう。そう、カルチャー・クラブ「Do You Really Want To Hurt Me」のカヴァーなんです。

原曲と大きく変わってるわけではない、割と忠実なカヴァーなんですが、ポイントは日本語だってことですね。
この時期の日本でレゲエ的な裏打ちのリズムの曲って少なかったですし、有名曲の日本語カヴァーってことで、DJに重宝されてる1枚です。

で、この邦題、ヘンだと思いませんか?原曲の歌詞の中には「君は完璧さ」に繋がるような歌詞は一切出てこないんです。いちおう、原曲の歌詞の内容としては、ボーイ・ジョージが元恋人であるドラムスのジョン・モスへの未練を歌った歌だと言われてます。ボーイ・ジョージはゲイですから。
そして、日本での初リリースの時は原題の意味に近い「冷たくしないで」という邦題がついており、後に「君は完璧さ」に改められています。

順を追って見ましょう。原曲のリリースは82年の9月です。日本盤のLP初版(「冷たくしないで)」が82年11月。見岳アキラのヴァージョン(「君は完璧さ」)がリリースされるのが82年の12月。そして、原曲の日本盤シングル(「君は完璧さ」)がリリースされるのは83年に入ってからです。

ということは、見岳版は、原曲がリリースされてすぐに制作され、そのリリースの準備期間中にカルチャー・クラブの日本盤LPが出たということになります。そう、実は「君は完璧さ」という邦題は、見岳版の方が先で、原曲の邦題は、見岳版に合わせて修正されたというのが正解のようです。

レコード会社も違うというのにヘンな話ですが、全英1位の大ヒット曲ですから、違うタイトルでというわけにもいかなかったのかもしれません。もう1つ、エルヴィス・プレスリーの「冷たくしないで」(Don’t Be Cruel)と同じ邦題だったため、エルヴィスのカヴァーだと間違われないようにという配慮もあったのでしょう。その2つの理由が重なったからというのが本当のところではないかと思います。

今は洋楽カヴァー曲を制作するときに日本語の歌詞を載せることが、権利関係やアーティストん本人の意向などの問題でどんどん難しくなっています。80年代はまだまだ自由にできたんですよね。大らかな時代でした。

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