究極の美とはなにか

 なんだろうね。

いいかね。究極の美とはね。傷の付いた完璧なんだよ。

それはね、すべて整っているとか、わかりやすくきらびやかだとか、

そういった俗なものではないんだ。

いや、むしろ俗なのかもしれない。

それは関係ないのかもしれない。


美はね、それを見てただうつくしい、ではダメなんだ。

それを見てると、じっとしていられなくなって、なにかもやもやするような、人を突き動かすちからのあるものなんだ。

人間は、完璧なものを見ると満足するよ。どうでもよくなるよ。なんでだろうね。

完璧の、一歩手前がいいのだ。ひびの入った曜変天目茶碗がね、いちばんきれいなんだ。

みてると、くやしくなる。なんでだよ!とおもう。

それって、人をうごかすちからがあるってことなんだ。

だから、傷のついた完璧が、究極の美なんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?