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メガバンク・ネット銀行・地銀、変動金利の上がりやすさの違いは?

どうも、モゲ澤です! 最近、固定金利が上昇しているというニュースを受けて、SNSでこんな質問を受けることが多くなりました。

SNSで頂いたご質問

変動金利が上昇局面になった場合、どの銀行から上がりそうか――。今ではメガバンクとネット銀行の両方に住宅ローンを申し込む方も多く、気になるところですよね。

そこでこのnoteでは、銀行を種類別に分けて、変動金利が上がる場合の予測をわかりやすく解説したいと思います。

基準金利が上昇すると変動金利が上がる

まず、変動金利の決まり方のおさらいですが、適用金利(借りるときの金利)は、「基準金利(定価)-引き下げ幅(ディスカウント)」で決まっています。

変動金利の決まり方

この例だと、基準金利2.475%から引き下げ幅2%を引いた0.475%が適用金利です。引き下げ幅は完済まで一定で、基準金利が政策などの金利情勢によって変わると適用金利がそれに応じて変動するというしくみですね。

つまり、変動金利で借りた後に金利がどう変わるかは基準金利の動き次第なのです。

日銀が利上げすればどの銀行でも金利は上がる

では、その基準金利がどう決まるかですが、これは銀行によって異なり、大きく4種類あります。

基準金利の決め方は4パターン

1つ目の短期プライムレートに連動する決め方は、法人融資の最優遇金利に連動させるというやり方です。1年以内の短期の法人融資は短プラを踏まえて貸し出されており、これを個人向けの住宅ローンにも適用するもので、メガバンクや地銀のほか、ネット銀行のなかでは住信SBIネット銀行がこの方式をとっています。

2つ目はリテールビジネスの状況を踏まえて判断する方法です。住宅ローンのビジネスには、資金調達コスト、営業コストなどがかかります。これと収益を総合して考えて貸出金利を決定する方法で、ネット系銀行のほとんどはこのタイプです。

3つ目はTIBOR(タイボー)連動型です。TIBORは銀行間でお金を貸し借りする際の金利で、一部の地域金融機関はこのTIBORに連動するように商品設計をしています。

4つ目が長期プライムレートに連動させるパターンです。1年を超える期間の法人融資は長期プライムレートと呼ばれ、これを個人向けの住宅ローンにも適用するもので、一部のJAや地銀がこのような商品を提供しています。

さて、このように金利決定方法に違いはあるのですが、どれであっても銀行が金融市場からお金を調達し、そこに利益を乗せてユーザーに貸し付けるという構造は同じです。

住宅ローンのしくみ

そして現在、日銀の低金利政策によって金融市場から銀行がお金を調達する金利が非常に低くなっています。ですので、低金利政策が終了すれば、どの銀行であっても資金調達のコストが上がります。

低金利政策が終了した場合

冒頭にいただいた質問の答えでもありますが、金融市場から資金調達してユーザーに貸し出すというビジネスモデルが共通している以上、日銀が利上げをすれば、メガバンク・ネット銀行・地銀のどのタイプでもだいたい同じように上昇します。

基準金利の決定方法による差も

ただし、細かく見ていくと違いはあります。資金調達の方法によって、何が起こると変動金利が上がるかをまとめてみました。

変動金利が上がるタイミングは?

マイナス金利政策とイールドカーブ・コントロールは、どちらも金利を低く抑えるために日銀が実施しているものです。マイナス金利政策は短期金利を、イールドカーブ・コントロールは長期金利を抑制する目的があります。

これを踏まえると、1つ目の短期プライムレートに連動するものは、マイナス金利が解除されると、少しタイムラグを経て上がると考えられます。

2つ目、3つ目はマイナス金利の解除と同時に上がる可能性があります。4つ目はイールドカーブ・コントロールが修正されると上がるでしょう。

1つ目の短期プライムレートが日銀の政策変更の影響をどのように受けるか、リーマンショックの頃の動向を見てみます。

2008~2009年の短期プライムレートの動き

このときは不景気になったため、日銀は金利を0.5%から0.1%に引き下げました。短期プライムレートは1.475%に下がり、政策金利が0.1%から-0.1%に下がった現在でもこの水準です。利上げの際はこれと逆のことが起きると考えれば、政策金利が0.1%を超えると短期プライムレートが上昇するでしょう。

「タイムラグ」があると表現したのは、現在-0.1%の政策金利が0.1%まで上がるまでの時間のことです。

続いてネット銀行ですが、楽天銀行とauじぶん銀行の例をお示ししたいと思います。マイナス金利が導入された2016年に、これらの銀行の基準金利がどう動いたでしょうか?

2016年のマイナス金利導入時のネット銀行の基準金利

2016年1月から両行とも基準金利が下がっており、だいたい政策金利と同程度の下落です。ですので利上げの局面を迎えると、マイナス金利が解除された段階で金利が上がると考えられます。

3つ目のTIBOR連動です。2016年のマイナス金利導入時には、ネット銀行の基準金利と同じような動きがありました。

マイナス金利突入時のTIBORの動き

マイナス金利が解除されればTIBORは上昇し、それに連動した住宅ローンの設計をしている銀行の金利も上がるでしょう。

長期プライムレートについては、2022年以降の推移を見てみましょう。

長期プライムレートの最近の推移

低金利政策が続いているにもかかわらず上がっています。長期金利が変動しやすいこともあり、長期プライムレートに連動する方式は他の決め方に比べて基準金利が動きやすいのが特徴です。しかも、日銀がイールドカーブ・コントロール政策を解除すればもう1段階上がると思われます。

以上をまとめて、具体的にどれくらい金利が上がる可能性があるかを予測したのがこちらのグラフです。

変動金利の上がり方

現在の変動金利が0.5%である場合、イールドカーブ・コントロールが解除されれば長期プライムレートに連動する変動金利は金利が上がるでしょう。一方、長期金利と連動しないその他の方式の場合は変動しません。

マイナス金利がゼロ金利まで上昇した場合、長期プライムレートに連動する変動金利はさらに上がります。前述の通りネット銀行やTIBOR連動の変動金利は0.1%程度上がる可能性が高く、短期プライムレートに連動する変動金利は上がらないと予想できます。

さらに、0.25%まで利上げされた場合、長期プライムレート連動やネット銀行、TIBOR連動の変動金利は0.25%程度上昇するでしょう。短期プライムレート連動はこのタイミングで上がりはじめ、+0.15%の0.65%程度に上がると考えられます。

そしてそれ以上に上がれば、どの方式でも等しく上がっていくと思います。

しかし、住宅ローンに注力しているネット銀行がマイナス金利解除で基準金利を上げるかは若干疑問だと私は思っています。というのも、最近は競争が激化しており、低金利競争を仕掛ける銀行数が倍増しています(2016年時点で6行→2023年時点で13行)。

金利を上げれば他行に顧客が流れてしまうことから、基準金利の引き上げを我慢するような判断が下される可能性も高いでしょう。ですので実際は、ネット銀行の金利上昇の動きは短期プライムレート連動の場合と同じになる可能性もあると考えています。

変動金利のローンをどう選び、どう付き合う?

ここまでの分析を踏まえると、長期プライムレートに連動する変動金利は、金利決定のメカニズムが大きく異なることから避けたほうが無難です。短期金利と連動する変動金利を選んだほうが良いでしょう。

短期金利に連動する銀行であれば、金利の上がりにくさだけでなく、そもそもの適用金利が何%かと、団信も含めた商品性全体の比較が大事です。

金利の上がりにくさだけでなく商品性が重要

とくに団信は重要で、がん団信や全疾病保障団信が無料でついてくるなどは大きなポイントですので、総合的な判断が大事です。

変動金利は、金利が上昇するリスクがあり、それに対して不安な気持ちが出てくるのは自然なことです。ですので「自分の返済能力を見極め、リスクを取りすぎず、借りすぎない」ことが大事だと思います。なお、借入額の目安についてはこちらのnoteをご覧下さい。

これを守れば、身の丈に合わない無理なリスクを取ることなく、それに対するリターン(毎月の返済金額が固定金利より低くなる)を得ることができます。リスクを取らなければリターンは得られず、資産形成(詳細はこちらのnoteをご覧下さい)の点からも不利になってしまいます。

変動金利で借りるときは、自分がどれくらいのリスクを取れるかをしっかり見極めた上でリターンを取りにいきましょう。

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