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意味は意味がない

昨夜も叫んでいました。短時間です。特に暴れたりはありません。どうして叫ぶのかはまったく不明です。本人にもわからないと思います。医者もわかりません。理由がわかっていたら対応のしようもあるわけですが、誰もわかっていないのでどうにもなりません。なんで誰もわからないんだ。医学の進歩ってなんだ。

寝る前に冷蔵庫の飲み物を飲み干さんばかりの娘に「今日はもう飲まないで。どうしても飲みたい時は水を飲んで」と頼みました。その効果でしょうか、昨夜のトイレの回数は少なめでした。多分2回。

そういえばその前にまた布団を交換していました。なにがしたいんだ。わけわかんねえんだよ。やめてよ、意味不明の無駄な行動。

意味は娘の前でなんの意味も持ちません。禅問答のようですが、そう言わざるを得ません。意味は意味がない。

意味は意味がない。

今朝はぐっすり寝ていました。ここ数日、夜中にトイレとキッチンの往復だったので眠かったんじゃないかな。どうなのかな。

娘用にイナダの刺身(2割引)を買ってあります。昨夜のうちに「冷蔵庫にあるから食べてね」と伝えてあります。ご飯は2合。キュウリとナスのぬか漬け、サラダは大根とレタスと海苔でゴマ醤油ドレッシングです。他に温泉玉子などもあり。納豆も。茶碗蒸しも。これだけあれば大丈夫でしょう。

出社。先月からの宿題の前に急ぎで片付けないといけない細かい諸々が、と思っていたら、さらに急ぎの作業が。手作業だとそこそこ時間がかかる作業ですが、Windowsのバッチファイルを書けば一分もかからずに完了します。この件でバッチファイルを書くのはあまり慣れてはいませんが、それでも超特急で終わらせて連絡まで。確認は先方におまかせで。営業時間終了。ギリギリ間に合いました。

帰り道、今日はスーパーに寄ります。ああ、でもハンバーガーとか買って帰るのもありかもなあ。駅前のマックで買っておけばよかった。どうしようかなあ。別のマックまで足を伸ばすか。それも面倒だなあ。

迷っているうちにいつものスーパーにたどり着いてしまいました。季節のおこわ、ありだな。

帰宅。娘の部屋の扉が閉まっています。開けたら娘が布団にくるまって転がっていました。そうか、今日はこっちで寝てたのか。

しばらく静かにしてたら喋り始めました。なんでひとりで途切れること無く喋るんだよ。やめてくれよ。

トイレに起きてきたタイミングでおこわを食べてもらいます。ナスのぬか漬けも用意します。切るのが面倒なのでそのまま。

「ひとくちで食べないでね。ちょっとずつ食べてね」

そう言って食卓に置いたのにひとくちで半分一気に食べています。

「いや、だから、ちょっとずつ食べて」

と言ったそばから残りを丸ごと。

「なんでちょびっとずつ食べれないの」

娘に聞いても返事はありません。何を言われているのかもよくわかっていないようです。

腹が立つので洗い物をします。

シンクの中に娘が使った器が沢山並んでいます。なんで毎日たくさんコップを使うのか。マジわけわかんねえんだよ。刺身の醤油、なんでこんな大きい器使ってんだろ。これ、明らかに醤油の皿とかに使う器じゃねえだろ。でもなあ、娘はどの器をどの用途にみたいなことはまったくわかってないからなあ。それにしてもなんでこの器使うかなあ。

気がつきました。娘がよく刺身の醤油皿に使っていた器の場所、私が動かしていました。ちょっと場所が変わると見つけられなくなるのです。娘がいつも使っていたのではない他の醤油皿は食器棚の奥に置いてあります。見たらすぐに見つけられる位置ですが、娘には探せません。そのわりにコップはなんだか奥の方からでも無理やり取り出したりするんだよなあ。

私も(元)妻も、娘が驚くほどなにも分かっていないことになかなか気づけませんでした。本当にわかっていないのです。わかっていないことを誤魔化すために嘘をつきます。いや、嘘ではなくその場限りで適当に誤魔化しているに過ぎません。嘘をついているつもりはないと思います。わからないなりにとりあえずなにか言っておかないと、そういうことなのでしょう。

食後、昨日買っておいたおやつを娘は食べたいと言います。ドラッグストアで売っているおやつに「わたがし」というのを見つけた私が娘が喜ぶかと思って買ってきたのです。それを食べたいと言います。自分で袋を開けて食べ始めます。

「おいしい……」

いつもは濁ったガラス玉のような娘の目がほんの一瞬だけ輝きました。

でも、すぐに元に戻ります。そうです。それはわかっているのです。

でも、「わたがし」買ってよかった。

薬を飲んで歯磨きをしてから娘は部屋に戻りました。今日から自分の部屋で寝るそうです。すぐに独り言が始まります。わけのわからない、意味不明の、ひとりなのに色んなひとと会話しているような、それでいて登場人物は代わり映えのしない、すぐに死刑にしたりされたり、そんな退屈極まりない独り言が始まりました。

やめてくれ。

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