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90年代の音楽を知らないアナタへ その17 FORGIVEN(95)/ALANIS MORISSETTE 若い世代の宗教感とホンネ

95年はまさしくアラニスモリセットの年だった。すでにカナダでアイドル歌手としてデビューしていた彼女だったがパッとせず、全米再デビューのチャンスを掴み、グレンバラードとタッグを組んだ。そしてロック女帝としてキャラ変して作ったアルバムがとんでもないモンスター級だった。それが「JAGGED LITTLE PILL」である。

「FORGIVEN」はそんなアルバムの中判に入っているノン・シングル曲。激しいロック調の歌唱に、エレキギター炸裂のミッドバラード。キリスト教信者ゆえの葛藤を吐露した「赦し」の歌。アラニスの場合は、その告白をストレートに、思春期に感じた矛盾やセクシャルな衝動と向き合いながら叫んでみせる。ギターには伝説のギタリスト、マイケルランドーが参加。ボズスキャグスやジョニミッチェルのときとは違い、若々しさと荒々しさが共存した素晴らしくテンションの高い音色を聴かせてくれているのが聴き所。

"WE ALL HAD A REASON TO BELIEVE
WE ALL HAD A THING OR TWO TO LEARN
WE ALL NEEDED SOMETHING TO CLING TO,SO WE DID"

これはサビの歌詞で、もの凄く力強いコンフェッション。信者たるもの、かくあるべきという説教に基づいた吐露だろうが、決して宗教ごとに限らず(過去形を現在形に変えれば)普遍的なフレーズにとらえることができる。

「JAGGED LITTLE PILL」は90年代における女性上位の音楽業界を象徴するアルバムとして語り継がれているが、若い世代の宗教感にも注目したことが高く評価されているように思う。まさしくこの「FORGIVEN」がアルバムの核ともいえる1曲であることは間違いない。

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