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ヘリコプター育児の悪影響は子どもに様々な悪影響を与えるきっかけに!

「バルバルバルバル・・・・」
ヘリコプターの旋回音を身近で聞いてみたことはありますか?
私はDrヘリの旋回音を一度聞いたことがありますが、まぁもう中々の旋回音です。ジェットエンジン近くでは140デジベルという肉体的にも限界を感じるくらいの騒音となっているようですね。

このヘリコプターの旋回音のような「うるささ」を育児になぞらえて「ヘリコプターペアレント:ヘリコプター育児」として1980年代からアメリカで表現されていたりします。

このヘリコプターペアレントは、親による子どもへの「過干渉」として定義されており、子どもの傍らでヘリコプターの旋回音のように子どもに色々と指示したり、注意したりするようなことを指します。

このヘリコプターペアレントによる育児は子どものメンタルヘルスにも大きな悪影響を及ぼすものとして語られています。そしてついには医学論文にもヘリコプターペアレンティングとして取り上げられることにも。

この「ヘリコプター育児」が子どもの将来の弊害になるのか?科学的に検証されている報告がいくつかあります。
この研究は、ヘリコプター育児が子供の不安やうつ病に関連するかを調べた研究を統計的に解析した検証になります。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35693486/

この論文では38件もこのヘリコプター育児についての研究をまとめ上げて分析しています。
結果としては、ほぼすべての報告でヘリコプター育児は子供の不安や抑うつ状態を助長するというものでした。
どの程度、子どもうつや不安にリンクしているかの確証にまでは至ってはいないようですが、子供にとっては将来に尾を引くほど心に深い闇を抱え込ませたり、心の傷を負わせてしまう要因となる可能性は十分あり得るものとして認識されていますね。

さらにはルーマニアからの報告からは、このヘリコプター育児が子どもが成人になった後、子どもの恋愛感情にも影響をもたらすというものです。
まぁ、かなりバイアスがあるので参考程度ですが・・・。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35055650/

ヘリコプター育児が子どもの自己肯定感を下げてしまっているため他者への恋愛に影響を及ぼすのではないかという仮説の下で調べられています。
つまり、過去報告では、ヘリコプター育児は子どもの自己肯定感をダダ下がりさせる要因であるという事はすでに分かっていたという事になります。

結果として、ヘリコプター育児は特に恋愛感情に対してマイナスの要因にはなっていなかったようですが、
親の介入はその子が成人した後の恋愛の関係満足度の向上や夫婦間の葛藤リスクに対して間接的に良い影響を及ぼす傾向があったとの事です。
「子供の自立を支援し、自分で物事を考えさせるというアプローチが成人後の夫婦間の関係性の向上や、幸福感を高める上で重要であるだろう」と締めくくっています。
親からガンガン言われ、古き日本のような強迫的慣習に従った子育てよりも、子供の自立を促してあげる子育ての方がより子どもの幸福度を増す可能性が高そうだとは言えそうですね。

最後に子供たちの超競争社会を作り出している「4000年の歴史を持つ中国」の報告で締めくくりたいと思います。
皆様のイメージ通り、かなり中国は学業における「競争状態」、「蹴落としあい」でしのぎを削っています。
そりゃあ、親の気合の入り方は日本の比ではないでしょう。いわれるまでもなくヘリコプター育児どころか重戦車育児を突き進んでいる家庭も多いかと思います。

さて肝心の中国の発表ですが、

結果として、当然のことながら、中国でもヘリコプター育児と抑うつとの関連が明らかとなっていました。
ただ、「学校の教師の介在など親以外の第三者の理解がありサポートをもらえた人は何とか調整されて先に進んできた。」という結果になっていたようです。
少なくとも、せっかく子どもが大学進学まで勝ち取ったというのに、その後の社会性に問題を抱えてしまう可能性がある。
ということになりますので、長期的に子どものメンタル上でもヘリコプター育児は良くないだろうという事はよくわかります。
日本の場合に当てはめて考えてみましょう。

今の日本の学校の先生は多忙を極め、一人一人の子供の対応ができないのに加え、社会からの圧力や親側の様々なクレームやリクエストでフォローもしにくい状態になっています。
つまり3年B組金八先生やGTOの鬼塚栄吉やごくせんのヤンクミなどの熱血教師も生まれにくい状態なのかもしれません。
また塾など習い事では、成果主義な所もあり、子どもの内面まで気にかけてくれるケースはほとんどないでしょう。
となると、親御さんの対応が間違ってしまうと、子どもは安全基地となるべき母艦を見失ってしまい、将来性を損なうどころか、社会に出てからの大きなハンデを持つ可能性もあります。

冒頭で述べたように、令和時代は学力だけでは子どもの将来を考えにくい状況になってきました。
「若い子には旅をさせろ」の格言ならまだしも、「子どもの障害は駆逐しろ」の感覚であった場合は子どもの社会適合の妨げになる可能性もあるという事を念頭に入れておいた方がいいかもしれませんね。

ヘリコプターペアレントに関する代表的な論文3つを紹介しましたが、
強迫的であれ、過保護であれ、過干渉であれ、本来は「子供のために・・・!」と思っている親の行動が、悲しい事に成人した後に子供にとって人生のプラスになっているかというとそうではないという事が実証されています。
日本ではこの「ヘリコプター育児」という言葉より、「過干渉」という表現が主体かと思いますが、この過干渉により子供の成長の機会を奪い、結果的に子どもの自己肯定感を下げてしまうことにも繋がりかねません。
親が先回りして子どもの道の交通整理したとしても、子供が成人して交通事故を起こしてしまっては意味がありませんしね。
まずは我々親側もこのポイントを踏まえ、過干渉にならないように気をつけねばならないですね。

①子供がすべき決断を親が行ってしまう
②子供が解決すべき問題を親が先回りして解決する
③子供が困っているときにすぐに助けてしまう
④親の失敗経験から、子供にこうだと決めつけて強制する
⑤体裁を気にして、形にはまった教育でないといけないと感じてしまう

わが子を守りたい、大成させたいという親の願いが子供の自立を阻害するという悲しい事象につなげないためにも、我々は後ろからそっと見守って、後押しをしてあげられる存在でありたいですね。
例えるならば「子どもの後方支援の出来る安全基地としての母艦

子どもの燃料が切れた時に、優しく包み込んであげて、また子どもが発進することができる家庭。
この発進の数が増えれば増えるほど、子どもも能動的に前を向いて選曲を判断できるようになるかもしれません。
子供が自力で困難を乗り越えたときには、その子はより一層強くなっていけるでしょうから。

そのためには空母である親が母艦を沈めないように、親御さん自身のこころのケアも大事になります。
これからの時代は「大人のココロの育自」と「子どもの育児」の両輪が重要になってくるでしょう。

その最適解にたどり着いた家庭から育った子が令和の大空を自分の意志で飛ぶ大型飛行機に成長していくのかもしれませんね。

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