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経営者の仕事

おはようございます!

中古車販売企業の不正で
もうひとつ思うことがあります。

経営者の役割です。

整備工場で自動車保険を売るやり方は、
当時画期的な発明発見でした。

自動車保険を売るには、
自動車メーカーに売ってもらうのが
一番です。

車を買うときに、
どこの保険会社に入るかは
ほとんどの人は考えないでしょう。
車を売ってくれる人が、
この保険でどうですかと言えば、
そのまま売れました。

しかし、自動車メーカーには
財閥などの系列があるので
新参者に入り込む余地はありませんでした。

しかし、モータリゼーションの流れで
市場は伸びていますから、
参入したい人はたくさんいました。

そこで、ある後発社は
新車を売るメーカーを諦め、
故障車を修理する整備工場に
目をつけたのです。

故障した車をなおしくれた人が、
この保険は良いですよと言えば、
一定の説得力がありました。

そして、それは大当たりで、
「整備工場チャネル」とよばれ、
保険会社の大きな販売チャネル
となりました。

整備工場チャネルを獲得した
ある保険会社は
大躍進を遂げました。



しかし、物事には栄枯盛衰があります。
いつまでも整備工場に頼っていては、
先がないので他のチャネルを開拓するなり、
自動車保険以外の保険を売り始める
のがよいと提言されていました。

整備工場チャネルの収益性を細かく見ると、
職員がそのチャネルにかかりっきりで
人件費がかさみ、
決して収益性が高いチャネルでは
なくなっていたのです。

かれこれ、30年前のことです。

しかし、そのチャネルに
しがみついていたのでしょう。



そして、自動運転の流れです。

人が運転するのではなく、
機械が運転するのでは
自動車保険は売れなくなります。
商品は消滅するでしょう。

損害保険会社にとって、
自動車保険は一番大きな製品で、
これがなくなることは恐怖です。

ですから、損保ジャパンは、
介護保険施設事業に打って出たのです。
「そんぽの家」です。

しかし、これまで頼ってきた
整備工場チャネルからの撤退戦は
容易ではないでしょう。
なにせ、経営陣は
その整備工場チャネルで
出世街道を上り詰めた人が大半
なのですから。

ですから、
もう伸びないチャネルである
とわかっていても、
押し込み売っていたのでしょう。
無理がくるわけです。

理屈に合わない経営戦略は、
気合と根性の精神論に陥ります。

理屈に合わない戦場で、
精神論で戦わざるを得ない社員を
責める気に私はなりません。

責めるとしたら、
理屈に合わない戦略を採用した
経営者でしょう。

経営者の大きな仕事の一つは、
理屈に合った市場に
社員を連れていくことです。

無理をさせなければならない
市場からは撤退させ、
豊かな新しい市場に連れていくこと
が大きな役割です。

経営者の責任は重い。

それを止めきれなかった
経営コンサルタントも
同じく罪は重い。

今日もよろしくお願いします。

安島

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