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令和のスポーツチームの成功には『UVP』が必要

UVP(Unique Value Proposition)とは、Unique「独自の」Value「価値」Proposition「提案」という意味で、文字通り顧客に対する「自社独自の価値を提案する」ことです。

これから先、USP(Unique Selling Proposition)だけではあなたの商品・サービスをどうしても買わなければならない明確で強力な理由がありません。単に商品やサービスの性能・機能だけでなく、顧客に対してどのような価値提供ができているのかが問われている時代だと思います。

USPが独自のウリや強みであるのに対して、そのウリや強みが顧客にとって、どんな「価値をもたらすか」にまで言及しているのがUVPであり、まさにUSPのさらに一歩先の価値観を表す言葉がUVPだと言えます。他社ではなく、魅力的に刺さる独自の価値が必要です。

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UVPというのは企業(チーム)の理念やビジョンが影響していることが多々あります。それを言語化したものがUnique Valuable Phrase、独自の価値を表すフレーズです。

例えばドミノピザの独自の価値を表すフレーズは
「You get fresh, hot pizza delivered to your door in 30 minutes or less - or it’s free!(焼きたての熱いピザを玄関まで30分以内にお届けします。それ以上待たせたら、無料にします!)」

デリバリーピザが注文から30分以内で届けられるということ自体は珍しくないが「時間が超過した場合は、お代をいただきません」と明言することで顧客は「30分以内にピザが食べられる」というメリットと「もし待たされても、タダでピザが食べられる」というメリットのどちらかを手に入れいることができることを確約されているのです。これがUVP(独自の価値の提供)となります。

日本ではライザップがこの例をわかりやすく示してくれます。2ヶ月で理想の体型になれるというパーソナルジムは珍しくありません。しかし、もし痩せれなかったら全額返金されるという企業のUSPによって、2ヶ月で理想の体型になれるし、顧客は返金されるという安心も手に入れることができる。これがUVPであり、ライザップの独自の価値を表すフレーズ「結果にコミット」に集約されます。

ダイエットだけでなく、ゴルフや英会話にも応用され企業の独自の価値となっています。これは競合が同じようなこと、例えば全額返金やサービス機能を仮にマネしても、ライザップ独自の価値を表す「結果にコミット」というフレーズとUVPによってその優位性を維持することができます。

優れたUVPを作ることは、誰に対して価値を届けたいのかというメッセージ性を強化し、戦略を立て、そのためのオペレーションを構築することができるということです。スポーツチームに必要なのはまさにその部分だと思っています。

時として「1万人が便利と思う」ものよりも「100人がなくなると困る」ものをつくれと言われることもありますが、その考えもスポーツチームには必要な考えだと思います。

UVPが意思決定の基準となる

UVPをきちんと定義することでプロダクト(サービス)から余計な機能を削ぎ落とすことができます。単にシンプルで使い易いというだけでなく、誰に対してどんな価値を提供したいのかという想いや強い意志がプロダクトそのものから感じれるからです。

組織のオペレーションや戦略の意思決定のプロセスも効率化する事が可能です。スポーツチームの場合、アイディアや意見を出し合い、とにかく手数を増やしたり、他のチームがやっていることを取り入れようとすることも重要ですが、UVPをしっかりと見つめ直し、言語化し実行することを徹底することの方が圧倒的に大切です。

UVPを提供するにあたって、注意しなければいけないのは、顧客と企業(チーム)の感じている価値の思い違いは、多く起こっているということです。ここを間違えてしまうとファンとのハレーションが起きてしまいます。

チームが存続できてるのは、そのチームがなくなると困るファンがいるからで、その価値をしっかり言語化して、伝えることが大切です。そしてそれに沿ったサービスを届けることが大事です。

UVPを提供するにあたって一連の価値創造ストーリーを見える化することでより顧客の心を掴みます。

人が何か決断をする際に、無意識に拠り所にしてしまう要因についてロバート・B・チャルディーニ氏の著書『Pre-Suasion』によれば、人は主に、エビデンス(実証)→ パワー(権威)→ ストーリー(過程)→ カルチャー(世界)の順番で、影響されていくそうです。

「◯◯ランキング第1位」といったエビデンス、東証1部上場といった社会的信用力というパワー、それだけで影響を提供できる場合はいいですが、中小企業で大事なのはストーリーとカルチャーです。プロスポーツチームがエビデンスや権威で選ばれることは先ずありません。つまり、大事なのはストーリーとカルチャーです。

企業のストーリー、創業者のストーリーやそれにかける情熱や想い、行動などに共感することで「その企業の商品が欲しい」と顧客に強烈に思わることができます。やがてそれがブランドに変わります。比較させない、強烈に好きになってもらうことでファン、サポーターとユーザーとの関係を構築していくことが価値を評価する基準の1つになります。

人は感情の生き物です。「経済は感情で動く」と言われますが、商品を購買する際も実は人は感情で動かされるものなのです。例えば、アップル社のiPhoneが出た時に、iPhoneユーザーの方が他社のスマートフォンと性能や価格を比べて購入したりするでしょうか?同じようにジョーダンシリーズのシューズを気に入ってる人がアシックスのシューズと性能や価格を比較しないのと同じです。

今の時代だからこそ、独自の価値提案『UVP』を理解してないと、スポーツビジネスにおいては特に何をしてもうまくいかないと思います。それくらい重要なものです。 

UVPとは自社独自の価値であり、独自の価値を表すフレーズで言語化し価値を示す。あなたの応援するスポーツチームのUVPを知ってますか?運営側は言語化できてますか?実行できてますか?もしファン側とチーム側のこの部分が一致しなければ上手くいってないと判断できるかもしれません。

今関わっているプロスポーツチームにはこの部分をはっきりさせ見える化して結果に繋げていきます。そのノウハウを活かしてまだ言語化できてない、または戦略や組織に落とし込めてないチームがいればサポートしていきたいと思ってます。

自分にしか発信できない、スポーツに関わる全ての方にとって役立つ情報をGiveし続けたいと思います。