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八島国もの語り

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八島国もの語り〜口上(始)

八島国もの語り〜口上(始)

ユーラシアの東方その地際の海に弧を成して花綵に連なる大島小島の日の本の八島に巡るや四季の流転よその春に万緑は萌え出で清水は涌き出で溢れ寄せくる玉藻か毬藻か命と群れて水面をわたる霊の風そのたわむれに鳥獣虫魚草木たちはフフと笑んでララと歌い蠢動のままに脈を重ねて和合に結び息を交わして命の子を宿す

また炎天 の夏日に赤く黒く地肌を焦がしその熱波は影を立ち上げ雲を呼び雨の限りに山背を叩いて花を散らし怒涛

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八島国もの語り〜天地開闢①

八島国もの語り〜天地開闢①

まことに知る、先ず「気」があった、すなわち粒子と波動があった。また気は閉じ破れ、また揺らぎ流れた。気は収斂し膨張し、また周回に巡り、そしていくつもの宇宙が誕生した。また言う、晴れ上がりに光が現れた

正に知る、気は陰陽に開き、またホツレて結び、そして物と霊が生まれた、すなわち、浄化の極みに「空」がおきた。物は鎮静しまた弾け、ここに混濁の詰まりに「地水火風」が現れた。また言う、ここに気象が現れ天地の

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八島国もの語り〜天地開闢②

八島国もの語り〜天地開闢②

天の鳥船かも俯瞰に眺めるその宙空から、ユーラシアの大陸その東の地際を。そこには一億数千万年前から形成され始めた幾つもの横ズレ活断層群の筋引きが見える、イザナミプレートの「大陸への沈み込み」その結果である。ちなみにその中の「タンルー断層系」の一つが、今日の日本列島の「中央構造線」その祖形となるのである。

すなわち今から約1900万年前、その地際の一部が大陸から遊離、マントルの対流により発生した「湧

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八島国もの語り〜天地開闢③の1

八島国もの語り〜天地開闢③の1

天の浮舟かも俯瞰に眺めるその宙空から、花綵に連なる「千島列島弧」の母艦のようなその陸島を。すなわち、北海道その中央部には大雪山(大雪山系)があり、旭岳を筆頭に2000m級の山々が連体を組んでいる。大陸の一部だった頃の大雪山の「基盤岩」は高さが1000m程度であったが、約200万年前以降の活発な「火山活動の堆積」により、幾つもの山岳が形成されたという。

対して、その南方に位置する日高山脈は北海道の

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八島国もの語り〜天地開闢③の2

八島国もの語り〜天地開闢③の2

天の浮船かも俯瞰に眺めるその宙空から、花綵に連なる列島の「東北日本島弧」その絵姿を。すなわち、東北地方の中央部の造形はとても素直で明快だ、奥羽山脈が青森〜栃木へとよどみなく延び、またそれに付き添うようにして東側には「中央低地」が縦真一文字の一筆に描かれている。下北半島域を頭とし、関東平野をケツに例えるなら、それは正に「巨人の竜骨」であろうか。

とはいえ「日本海開裂」以降、東日本島弧はずっと海面下

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八島国もの語り〜天地開闢③の3

八島国もの語り〜天地開闢③の3

天の浮船かも俯瞰に眺める宙空から、花綵に連なる列島の「伊豆・小笠原島弧」その絵姿を。それはまた「東海〜関東〜甲信越」の地勢形成その眺望でもある。すなわち「伊豆バー」の「本州島弧」への「衝突・着岸」であり、そして大陥没帯(フォッサマグナ)の埋立創成と中央高地の造成である。

「伊豆バー」とは、フィリピン海プレートの東の縁に沿って形成された火山性地殻であり、その動因としては、この北西に移動するフィリピ

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八島国もの語り〜天地開闢③の4

八島国もの語り〜天地開闢③の4

天の浮船かも俯瞰に眺める宙空から、花綵に連なる列島の「西南日本島弧」その絵姿を。それはまた「東海(西部)〜近畿〜中国/四国〜九州」の地勢形成その眺望でもある。

一つの見解がある。約600〜130万年前の「西南日本州」の造形、それは今日の表層凸地や海水面などの被覆下に見られる姿であり「東北日本州」と構成的に「近等」しているという。すなわち ①奥羽山脈 ≒ 中国山地 ② 「青森/岩手/宮城/福島/栃

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八島国もの語り〜天地開闢③の5

八島国もの語り〜天地開闢③の5

天の浮船かも俯瞰に眺める宙空から、花綵に連なる列島の「琉球島孤」その絵姿を。それはまた「九州南域〜トカラ海峡〜ケラマ海峡〜八重山列島」の地勢形成その眺望でもある。ここで言う九州南域とは「大隅諸島」に限るのではなく、九州島を東西に貫く「中央構造線」以南という、より広域の眺めのことである。というのも、確か「中央構造線資料館」の学芸員の方の「予見」その記憶が、オボロに残存しているから、である。

すなわ

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八島国もの語り〜石器時代①

八島国もの語り〜石器時代①

天の磐船かも「二気三霊」に顕れた霊性よ、その逍遥に見てまた飛揚に遊び俯瞰に眺める宙空から、ユーラシアの大地その東の地際の波間に浮かぶは大島小島の日の本の八島の絵姿その弧状の有り様は、まるで霊木を浮かべて神木を束ね、また花木を連ねて 5条の綱に結ぶや海原の島々かな、昨日の縁の日に寄り添って絆を結んで形を成して現れ給うや花綵の列島、その祝福の散華の内に。

すなわち、精霊たちは憑依の風となって蝶に舞い

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八島国もの語り〜石器時代②

八島国もの語り〜石器時代②

「ホモ・サピエンス」と、普通一般に呼ばれているこの名前を、強いて動物学的分類に片寄せして言えば「脊椎動物門 哺乳網 霊長目 ヒト科 ホモ属 サピエンス種」となる。さらに「亜目・亜科・亜族」などの概念を用いれば、より詳述されるという。

約700万年前 通称「トゥーマイ猿人」の出現、これが「人類の誕生」と言われている。先の分類における「ヒト科」の出現であり、学名としては「サヘラントロプス・チャデンシ

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八島国もの語り〜石器時代③

八島国もの語り〜石器時代③

「真澄かなその理性的判断」を曇らすものといえば多々あるが、その中で「こうあって欲しい/そういうのが望ましい/かくあるべきだ」という類の思いが、チト多分に極めて、ヤッカイとなる。

ここに、一人の在野の研究者その弁明「実は私も、他の多くの人々も、ちゃんと旧石器を見ていたのだ、けれども、私には確かに見えていなかったし、彼はみごとに見えていたのに、ただ勇気が足りなかったのだ、その石は、信念によって見えな

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八島国もの語り〜石器時代④

八島国もの語り〜石器時代④

「物事の現れ」についての考え方としては ①特定な或る時期や場所において、そこで発現したものが周囲に伝播・拡散したとするものがあり、対して ②時期的な差異はあるが、似たような環境・条件下において各々が多発的に起こったという考えもある。あの「イヴ神話」を信仰する者にとっては ①の理論がナジミやすいであろうね。また「中華文明起源説」の方々にとっても、な。そうなのだ、例えば「石器」の場合で言えば、それは「

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八島国もの語り〜石器時代⑤

八島国もの語り〜石器時代⑤

その石器を目にした時の「印象・思い」が、後日になっても尾を引いていた。その素朴さというか野趣、どこの展示場でも見てきた多くのナイフ型石器が「刃」だとすれば、うん、それは「野太刀」だろうか、そんな表現を得た時、そこの博物館(岩手県遠野市)に連絡を入れた。

「先だって、そちらの常設展示を見学させて頂いた者です、確か shop の一角に、ミヤモリムラと読むのでしょうか、そこの教育委員会による発掘調査報

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八島国もの語り〜石器時代⑥

八島国もの語り〜石器時代⑥

素人目には同じように見える石器も、時期により、また地域によって特徴的な違いがあり、そこには一定の形が認められるという。そしてその定形的な違いを「型式」として分類し、それらを年代的に、また地域的に配列して全体的に組み上げたものが「石器編年」である。尚、日本列島の石器時代は一般的に「後期旧石器編年区分」として、6期に大別されるている。約3万年前の「姶良火山灰層」より下層のⅠ〜Ⅱ期と、その上層のⅢ〜Ⅵ期

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