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【開催報告】TCHよるの部 vol.6 -飛騨高山の観光案内を語る夜-

こんにちは!
4月24日に行われた、TCHよるの部 vol.6の様子をレポートします。

今回のテーマは
【飛騨高山の観光案内を語る夜】です👜

外国人観光客は、ある程度の行先を決めてから高山を訪れますが、最終的には、現地で案内を聞いて。。。と考えている方もかなり多いようです🕶️

そこで、訪れる旅行者に魅力的な観光案内をするために。。。
魅力的な観光案内に必要なことは何か?
地域の中で、どんな連携が取れるのか?
ご参加いただいたみなさんと一緒に、話し合ってみました!


●当日の様子

今回は、観光案内所や宿泊施設など、普段のお仕事で観光案内に携わっている方を中心にお声掛けしました。

近隣の案内所やホテル・ゲストハウスにお勤めの方をはじめ、遠くは奥飛騨温泉郷の旅館にお勤めの方まで、多くの方にお集まりいただきました。


●旅行者の情報収集について

はじめはいつものごとく、TCHからの情報提供です。
WSのテーマに沿って事前にリサーチした結果を報告しました。

高山に多くの外国人観光客が訪れていることはみなさんもご存じの通りですが、高山市の観光統計(H29)の数字を基に、一日あたりどの程度の外国人が高山にいるのかを計算すると、4月は述べ約2,500人/日となります。

また、TCHは、高山に滞在する外国人観光客の宿泊日数を独自に調査していますが、2018年5月~2019年2月の平均滞在日数は2.5日でした。
なお、日本人の平均滞在日数は1.9日でした。

たくさん来る観光客は、高山の情報をどこで得ているのか??
それを知るために、今回は、カフェに来てくれたお客さんに以下の質問をしてみました。

【旅行者の情報収集手段】2019.3.13~4.12

・旅行前に市のHPを見たか  ⇒そこから決めた行先は??
・駅前観光案内所を利用したか  ⇒そこから決めた行先は??
・宿泊施設で観光案内してもらったか  ⇒そこから決めた行先は??

今回は特に、高山に来た後、いわゆる〝旅ナカ〟の観光客を対象に調査を行いました。

その調査結果が、こちらです。

短い期間、なおかつカフェのお客さんに聞いただけですので、厳密なデータではありません。

それでも、例えば、駅前観光案内所を利用した方は全体の12%。一日あたり300人(2500人×12%)のお客さんが観光案内所を利用します。
一日300人に観光案内をする案内所の方は、本当に大変だと思いますが、それと同時に、観光案内所を利用せず、事前に自分で調べた情報のみで観光するお客さんが、とても多いことがわかります。

また、ここからわかることの一つは
高山市のWEBサイトより、観光案内所より、宿泊施設で観光案内をしてもらっている旅行者が多い
ということです。確認したお客さんのうち、4割近くは宿泊施設で観光案内を受けていました。

さらに、そこから決めた行先についてきいた結果がこちらです。

どこで観光案内を受けているかで、観光客が実際に訪れた行先が異なるのがわかります。

調査からわかった課題を整理すると
・一部の観光客にしか情報発信できていない
・案内している箇所が限定的
・ 結局、どこに行っていいかわからない

こんなかんじです。

ここで着目したのは、
飲食店などの民間施設は、宿泊施設から情報を得ている
という点です。


●宿泊施設の観光案内が、なぜ重要なのか?

私は、宿泊施設での観光案内をアップデートすることが、とても重要だと思っています。その理由について少し触れておきます。

私は、観光まちづくりを考えるうえで、現在の高山が抱えている最大の問題は、「オーバーツーリズム」だと思っています。簡単に言えば、観光地が耐えられる以上の観光客が押し寄せる状態(過剰な混雑)のことであり、京都などはすでに顕在化しています。

高山でも外国人観光客の数は年々増加していますが、季節によっては、本来の良さであった〝静かな雰囲気〟が失われつつあるのでは?と思いたくなる光景を目にします。

地元の方からも、「この街は誰のための街なの?」、「観光客が増えていったその先に、この街はどうなるの?」という話をよく耳にします。

観光客が増えることは交流人口が増えることであり、地域に活気が出るのは望ましいことだと思います。一方で、地域の持続可能性を考えれば、増え続ける観光客から地域が恩恵を受けるような仕組みづくりが必要です。

長くなってしまいましたが、私は、
宿泊施設の観光案内を強化することは、オーバーツーリズム対策になると思っています。

それはなぜか??
簡単にいってしまえば、こんなロジックです。

高山では、一部の観光地・お店に人が集中している

広い高山市には、もっとたくさんの魅力的なスポットがある

いろんな場所に観光客を分散させるため、情報発信の強化が必要

情報発信強化にすぐ取り掛かれるのは、高山の滞在中(旅ナカ)

多くの観光客は、高山で連泊している

となると、旅ナカの拠点となる宿泊施設での観光案内は重要


●フリートーク(観光案内の実態)

フリートークでは、主催者のこの考えを、実際にお仕事で観光案内に携わっている方々にぶつけてみました!

・欧米圏の観光客は、目的を当日決める人が多い
・案内ができている宿泊施設、そうでない施設がはっきり分かれる
・どこを案内しているかは、天気によっても変わる
・日本料理をよく聞かれるので、案内している
・魅力的なスポットを紹介したいが、高山は2次交通が弱い

などなど。。。現場ならではの、非常にたくさんの意見を頂きました。

特に、全国的に活動しているガイドさんは、古い街並みなどのメインスポットに連れて行く、それに対してローカル限定のガイドさんは、地元ならではの場所をおすすめしており、満足度も高い。
といった声が聞こえたのが印象的でした。

また、市内にある大きなホテルにお勤めの方からお話が聞けたのがよかったです。お客さんと密にコミュニケーションをとるのは、どちらかと言えば旅館やゲストハウスだと思っておりましたが、そうでは無く、ホテルでも、チェックアウト時などに頻繁に観光案内することがあるということがわかりました。

今回は奥飛騨温泉郷からご参加いただいた方が多かったため、高山市街地と奥飛騨では事情が大きく異なることもわかりました。
(そちらも大変興味深いテーマであるため、観光案内に限らず、奥飛騨の事情を取り上げた開催も検討したいと思います)


●新しい観光MAPの提案

今回は、調査からわかった課題のうちの一つ
・ 結局、どこに行っていいかわからない
に対して、解決策(のたたき)を提示してみました。こちらです。

地元在住のデザイナーと一緒に作成中の、観光MAPの素案です。
「○○の○○がおすすめする、高山のおすすめスポット」
となるように作られています。

私は、これが拡がることで、地域内で相互にお客さんを紹介しあう、ローカルかつ民間のネットワークをつくって、宿泊施設内の観光案内を強化できないか と思っています。

今回、未完成なツールを敢えて提示したのには理由がありまして。。。
いつもは課題共有までで時間いっぱいになってしまうため、粗々でいいから解決策を提示して、議論を深めてみようと思ったのです。

あくまで主催者の勝手な感想ですが、課題の整理だけでは出てこなかった意見を参加者から頂くことができたので、この試みは、そこそこ上手くいったと思っています。といいつつ、今回提示したものをそのまま地域内で使うには、まだまだ課題が多いこともわかりました。

【メリット】
・現地の事情を知りたい観光客のニーズにあっている
・個人のおすすめ となることでおすすめの信頼性が上がる

【デメリット】
・載せる載せないの人付き合いになり、結果的に関係が悪化する
・お客さんの求めている情報とマッチしないとがっかりされる
・QRコードや、折りたたみ形式など設計上の問題点

特に今回は、実際にこれを、誰が・どんな場面で使うのか という想定とリサーチが甘かったことを痛感しました。
(というわけで、現在鋭意調査中です)

課題共有は今回で一通りまとまったため、今後は、解決策の具体化するために主催者側も調査を重ね、また、皆さんと議論したいです。
と言って、第6回は終了しました。

長くなってしまいましたが、今回の開催報告は以上です。

今後は、頂いた意見を基に再度MAPを練り直して、またみなさんに提示したいと思います!

スケジュールが決まったらまたご案内致しますので、次回もぜひご参加ください~

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