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サウナのWeb広告をまとめてみた【100事例】

昨年末にサウナトレンドを振り返る、というnoteを書きました。こちらでは書ききれなかったのですが、サウナのWeb広告を目にする機会が急増したのが2022年でした。皆様の中にもおそらく、同じような所感をもった方は数多くいらっしゃるのではないでしょうか。

筆者はWeb広告を目にするたびキャプチャをしてしまう癖がありまして、それらの事例が数多く集まりましたので、サウナのWeb広告事例まとめという形でアウトプットいたします。サウナのWeb広告にはどのようなクリエイティブが用いられているのか、出稿の参考にしていただけますと幸いです。

まずはWeb広告のトレンドから触れてみる

今回はサウナファン向けというより、マーケティングやスタートアップで働かれている方が反応しやすいnoteではないかなと思います・・・。あまり身の上話をしてこなかった筆者ですが、サウナのWeb広告事例に触れる前に、筆者とWebマーケティングとの接点について少々触れさせてください。

筆者は2000年代に、Webマーケティング専門の会社に新卒として入社をしています。配属はリスティング広告(検索連動型広告)の運用担当で、1万から10万キーワードのレポートを作成するのに、朝から終電までPCとにらめっこするという仕事をしておりました。時には会社に寝泊りしたことも・・・

Web広告のキャプチャ癖がついたのはこの頃からで、始業前に競合他社の出稿事例をまとめ、チームやクライアントに共有すると地味に有難がられたのがきっかけだったりします。Web広告やLPをいざまとめようとすると、広告が出るのがランダムだったりする、存外収集するのが大変だったりします。

そしてリスティング広告から裾野を広げ、ディスプレイ広告、アドネットワーク広告(当時はまだDSPも存在しなかった)と実務経験を広げていきます。Webマーケティングの変遷に少しでも興味がおありの方は、以下の書籍がめちゃくちゃ面白いので、ぜひお手に取られてみてください・・・!

2010年に入ると、前半はTwitterやFacebookを主としたSNS広告が、後半はYoutubeを主とした動画広告が台頭してきました。そしてDSPやDMPなど、デタマネ領域においても革新的なアップデートがみられました。2020年以降はWeb広告の自動化が本格化し、さらなるトレンド変遷が予測されます。

2010年代は多種多様の広告媒体が存在したのですが、Web広告自動化を前提としたデータプラットフォームという観点でみると『Google(Youtube)』『Facebook(Instagram)』、そして『Yahoo! Ads』『Twitter』『Tiktok』等に出稿しておけば、Web広告の7割以上は補完ができる時代になりました。

ほかにも『Amazon』や『楽天』などモール型EC広告も存在するのですが、モール型ECに出店していない限り、サウナ事業者は上で挙げた媒体にWeb広告を出稿さえすれば、インターネット上を回遊している大半のお客さんと接点を持つことができます。多種多様なターゲティングも設定可能ですし。

そして今回、筆者がキャプチャしたのは『Facebook(Instagram)』『Twitter』からの出稿事例になります。スマホでキャプチャしているので一部みづらいところや途切れているところあるかもしれません。その点ご容赦頂けますと幸いです。他媒体は別途要望などあればまとめたいと思います。

サウナのWeb広告事例(Facebook広告)

本noteにおける事例については、筆者がSNSをみている中でたまたまキャプチャが取れたものになります。ターゲティング配信(ex女性)の場合など、筆者が拾いきれない事例もあるため、網羅性はないということを予めお伝えいたします。まずはWeb広告の主流であるFacebook広告からみていきます。

Facebookは実名登録制のSNSであるため、他の広告より精緻なターゲティングを実現できるのが特徴です。「東京の渋谷区に住んでいるスタートアップ経営者」や「豊洲エリアに住んでいる人事責任者」など、極めて具体的なターゲティングが設定できるので、サウナ施設側も狙いを定めやすいですね。

Facebook広告では大衆向けの温浴施設というよりも、サウナ専門店やホテルサウナなど、サウナブームとなってから新設されたサウナのPR事例が目立ちました。クリエイティブとしては静止画が中心ですが、カンデオホテルズの事例ではカルーセルと呼ばれる複数静止画を用いた手法も使われています。

おそらく先述したターゲティング機能を使われていると推測されますが、高価格帯のグランピングサウナや、一日数組限定のアウトドアサウナの事例などもみられました。クリエイティブは自然豊かな環境をPRする素材と、サウナ室のスペックをPRする素材を意識的に使用しているという印象です。

珍しいのがRAKU SPA1010による温浴施設の出稿事例。他の広告事例も取り上げますが、温浴施設主体の出稿事例はほぼ皆無でした。他にウェルビーグループの素材を使用した広告が流れてましたが、広告主体はDXベンダーでした。こちらの事例、ウェルビーグループの許諾を得ているかは不明ですが…

サウナ施設以外にも、サウナ専用ドリンクやテントサウナ、雑誌とのコラボ企画によるスポンサードと思しき出稿事例もみられました。ただしFacebook広告に出稿検討する広告主体は、ビジネスターゲットを主に置いている可能性が高く、比較的廉価なノベルティの訴求事例は限られている印象です。

期間限定のイベント企画においても、Facebook広告が活用されていました。施設への集客強化の一環で、施設イベントをプッシュする事例もあれば、ビジネスシーンとサウナトレンドを絡めたウェビナー集客を目的とした事例もみられます。他の広告ではみられないFacebookならではの傾向ですね。

こちらはサウナ施設やサウナ事業者というより、ビジネスに明るい企業が広告主体になるというケースです。サウナの専門家を外部から招聘し、ビジネス×サウナというテーマでコンテンツメイキング試みるアプローチも珍しくなくなりました。1-2年前の状況からは予測さえもできなかったことです。

他の事業者が主体となる例は、メディアによる記事告知等においても同様の事例がみられます。サウナシーンを想起させる素材を使用し、メディアコンテンツへの流入を試みるというケースになります。こちらのケースはサウナ体験云々より、能動的な情報収集をするユーザー狙いになるかと存じます。

以上がFacebook広告の出稿事例でした。各社、Facebook広告に求める成果指標は三者三様であるかもしれませんが、「Facebook広告はターゲティング機能を活用することで、ビジネスターゲットへのリーチを実現できる」というのは(他のSNS広告と比較して)明確な特徴になっているかと思います。

サウナのWeb広告事例(Instagram広告)

続いてInstagram広告です。こちらは、Facebook管理画面と共通設計になっていますので、同じダッシュボードから広告を配信することができます。また、ストーリーズとタイムラインで配信する場所を出し分けることができます。こうした利便性から、Facebookと同数規模の出稿事例がみられます。

サウナ施設の出稿事例をみると、ストーリーズとタイムライン、それぞれの特徴を活かしたクリエイティブが数多く配信されています。大人の隠れ家や社交場など、比較的ハイエンドユーザー向けのメッセージが多いですね。個室サウナのパイオニア、ソロサウナtuneはイベント告知の訴求でした。

Instagramのストーリーズは、タイムライン配信よりも広告画面占有率が高いのが特徴です。したがって、より豊かな表現を採用しているクリエイティブが多い印象です。水風呂に浮かんでいるように見える素材など、スマホの縦画面を活かしたダイナミックなクリエイティブを表現することができます。

ホテルやグランピング事例においても、ストーリーズによる配信が主となっていました。特にユーザーのシズル感を得られる素材を数多く有している場合は、ストーリーズを中心としたビジュアルでの印象を与えた方が反応は良さそうですよね。しかし特段そのような素材がなくとも戦い方はあります。

アウトドアとオフィスサウナの事例、こちらは素材だけでなくテキストでクリエイティブのHow To Sayを補足しています。クリエイティブを用意する際は、What To Say(何を言うか)とHow To Say(どのように伝えるか)を分け狙いを明らかにすると、自ずとクリエイティブの表現手法も固まります。

こちらはノベルティではなく、サウナメーカーによる出稿が中心になりました。家庭用からテントサウナ、サウナストーブに至るまで、比較的高価格帯の商品訴求が目立ちました。おそらくFacebook配信の延長でInstagram広告にも配信しているのだと思いますが、ターゲット設定が気になります…

Instagram広告ではビジネスターゲットと思しき訴求は少なく、イベントやメディアの事例は少数にとどまりました。FacebookとInstagram、同一管理画面で広告配信を行うことができますが、ターゲット設定や訴求は切り分けた方が反応率は高まりそうです。以上、Instagram広告の出稿事例でした。

サウナのWeb広告事例(Twitter広告)

最後にTwitter広告の事例をみていきましょう。イーロン・マスク氏によるTwitter社買収により、広告配信の仕組み自体が先行き不透明な媒体となってしまいました。いずれは広告商品の大幅な仕様変更もありうるかもしれません。今後のアップデートが吉か凶となるか、先行きが見通せない状況です。

そんな激動のTwitter広告ですが、サウナ施設による出稿事例はきわめて少ないことがわかりました。筆者の単なる見落としかもしれませんが、2022年中はキャプチャを取ることが叶わず、今年に入りようやく目にすることができました。KPIを施設集客に設定したとしても、CPAが合わないのでしょうか…

サウナグッズにおいては、いくつかの事例を目にすることができました。アパレルからサプリ、ドリンクまで訴求内容は多種多様。それから、Twitter広告事例の特徴として、大手ブランド企業が広告主体となるケースがとても多いことがわかりました。これは他のSNS広告であまりみられない傾向です。

広告主体は大手ブランド企業がずらり。昨年の振り返りnoteで「大手企業によるサウナ企画の取り組みが本格化」と書きましたが、広告事例をみても、サウナを主としたプロモーションが数多く増えていることがわかります。Twitter広告の、ブランドキャンペーンとの相性の良さもあるのでしょう。

Facebook広告に次ぎ、メディアによる出稿事例もみられました。ただしビジネスターゲットではなく、エンタメが主体の訴求になっています。Twitter広告では「即時性とエンタメ性」が配信ロジックに色濃く反映されており、Twitter広告との相性の良し悪しは、訴求内容によって大きく異なるのです。

以上がサウナのWeb広告事例まとめになります。キャプチャをただ並べてみただけのアウトプットではあるのですが、いざこうして並べてみると、各Web広告の特徴や違い、それから広告主体側の狙いや訴求内容、クリエイティブの表現手法など三者三様であることが推察できるかと思います。

事例をまとめてみた所感

さて筆者のWebマーケティング知見も交えながら、振り返りをしていきます。他にもGoogleやTiktok広告なども存在しますが、SNS広告を中心にみていて「静止画素材のクリエイティブが多く、動画素材のクリエイティブが少ない」のを感じました。ウェブ動画全盛の時代、この状況は想定外でした。

広告にかけられる予算が限られている、動画を制作する環境がない、わざわざ動画を活用するほどの訴求ではないなど、諸事情あるのかなと思います。一方で、サウナのクリエイティブにおいては『シズル感』が評価に繋がりやすく、ロウリュの模様や水風呂のゆらぎを流すだけでも画になりますよね…

広告専用の動画を作りたいというニーズがあれば、腕の良い制作チームを知っておりますので、筆者までDMを頂けたらと思います。しかし動画の手配がどうしても難しいということなら、Facebook/Instagramは『スライドショー』という奥の手があります。動画素材がなくとも出稿可能の形式です。

こちらは静止画を複数枚組み合わせて、あたかも動画のように紙芝居形式で配信することができるものです。Facebook/Instagramの配信アルゴリズム上、静止画だけでなくスライドショーやカルーセル形式、欲を言うと動画まで、幅広いフォーマットで検証を重ねた方が広告成果が出やすくなります。

ただクリエイティブはあくまで点の施策で、いまWeb広告は『機械学習』の技術革新が加速しています。中でもFacebook/Instagramは、人力で広告を運用するよりもAIに広告運用を委ねた方が、局所的に成果が出るという事案もあります。なので基本は機械学習を前提に運用を考える方が自然ですね。

Webマーケティング界隈では既知の情報ですが、Facebook/Instagramでは1広告セットにつき、1週間で50件以上のコンバージョンを獲得しないと機械学習がワークしないという通説があるのです。従って「月200件以上のコンバージョンを獲得できる運用設計」を広告主体は考慮する必要があります。

コンバージョンの数を勘案してみた時に、その数が果たして現実的なのかを考えてみましょう。マイクロコンバージョンという手法もありますが、そもそも月200件を広告経由で獲得できるモデルなのか、さらに言うと「そもそも何を目的にWeb広告を出稿するのか」を広告主体は考えざるを得ません。

短期でスポットとして出稿するなら、機械学習まで視野に入れる必要はありません。例えば「β版のクリエイティブメッセージやターゲティングを検証するためだけに、Web広告でテストする」という、Web広告の賢い使い方もあります。この場合は、月間広告予算は10万円以下でもワークします。

全ての事業者において、ユーザーの反応をみる目的でWeb広告をテストするのは、実は有意義な手法なのです。国の補助金からWeb広告費が補助対象になる事案などもあるので、サウナ事業で補助金の活用を検討されていらっしゃる方などは、補助条件を調べてみると意外な発見があるかもしれません。

しかし一方で中長期、Web広告を中心に新規顧客を獲得するということをゴールにしたいならば、機械学習やクリエイティブ、訴求内容の商品力等の総力戦で戦わなければなりません。目標CPAが合う、合わないで判断されがちな市場ですが、まずは広告の出稿目的から今一度明らかにしてみましょう。

おまけ:サウナの広告事例(4マス広告)

せっかくの機会なので、Web以外の4マス(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)広告の最新事例もみていきたいと思います。昭和から平成にかけて、広告市場におけるWeb広告は後進の立場であり、4マス広告の存在感が圧倒的でした。人々は4マス広告から商品を認知し、購買行動を起こしていたのです。

2022年の年末、ドラマサ道の特番が放映されましたが、番組内で放映されたインフォマーシャル(TV CMの配信手法の一つ)が思いっきりサウナの内容にフォーカスし、しかも大手企業がサウナとのコラボレーション商品をPRするなど、令和の広告市場では考えられなかった訴求に度肝を抜かれました。

サウナのCMと言えば、ローカル番組で地元の温浴施設が放映される程度のものでした。熊本の湯らっくすなどはCMソングが熊本在住の方にはお馴染みですが、全国の地上波で大手企業がサウナのインフォマーシャルを放映するというのは、第三次サウナブームがもたらした事象であるとも言えます。

(第二次以前のサウナブームに詳しい方がもしいらっしゃれば、当時のサウナCMの広告主体やトレンドなど、ぜひ教えて頂きたく・・・!)

それから新聞や雑誌などでもサウナの特集を目にする機会が増えましたね。日経新聞の見開きが、サウナ関連のスポンサーや広告で埋め尽くされたり、雑誌のサウナ特集でサウナメーカーやノベルティの広告が回ることも珍しくなくなりました。ある種、サウナで経済が回っていることの証でしょうか…

テレビだけでなく、ラジオにおいてもサウナに特化した番組が数々登場し、その番組に大手企業がスポンサードをするという事例もみられます。2022年は飲料メーカーによるサウナ訴求が活況でしたね。もちろん投資対効果を算出しての出稿が前提であると思いますが、この流れは今後も続きそうです。

それから4マス広告以外、日本を広告市場を支えてきた屋外広告の分野においても、サウナの出稿事例を目にすることができました。こちらは2021年の事例ですが、Tiktok×チームラボの期間限定サウナの告知でプロモーションがなされておりました。こちらも初めて目にした時は度肝を抜かれましたね…

それから、エキナカにもサウナの広告が掲出されるようになりました。公共の場で、実際にサウナの文言を目にすると、人々は「サウナって流行っているのかも…?」という認知を、リアルの接点を通じて獲得することができます。実際に目で触れてみる、という体験価値も馬鹿にはできませんね…

Web広告の勢いが加速している昨今ですが、まだまだ4マス広告の存在感があるのが日本の広告市場の特徴です。広告は不要なものとしてユーザーから避けられがちな状況にありますが、広告市場の文化と多様性に着目してみると、広告主体としての気付きと新たなアイデアが見つかるかもしれません。

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