聖心女子大の最寄り駅は、日比谷線の広尾駅です。聖心女子大は、渋谷区の広尾にありますが、すぐ傍の東側の外苑西通りを越えると港区南麻布で、有栖川記念公園やドイツ大使館、ノルウェ一大使館などがあります。広尾にもチェコやペール、コンゴなどの大使館があり、北側は日赤看護大と日赤医療センターです。大使館近辺はsecurity が非常にしっかりしています。つまり、町田や川崎のような文化世界とは、まったく真逆です。高級感あふれる町並みの中に、桜・楠・ヒマラヤ杉などの豊かな緑に固まれた聖心女子大のキャンパスはあります。

　元々は旧久邇宮邸のあった場所で、旧久邇宮邸の門を、正門として使っています。京都の格式高い門跡寺の門を潜るような雰囲気です。当然ですが、守衛さんがいて、警備は厳重です。10月の中旬には学園祭が実施されますが、招待客以外はキャンパスには入れません。女子大の中でも、最も警備が厳しい大学です。聖心女子大の正式名称は、University of the sacred heartですが、学部は文学部だけしかありませんし、実質はCollegeです。キリスト教精神に基づいたリベラルアーツ教育を実施している学校です。

　聖心女子大は、1800年にマグダレナ・ソフィア・バラと云う修道女が、パリに創設した聖心会がルーツです。聖心会は、教育修道会です。翌年の1801 年にアミアンに、最初の聖心会の学校を設立します。現在、世界の30ヶ国に、147校の聖心会の学校があります。つまり、広尾の聖心女子大は、World Wideなネットワークを持った聖心会の多くの学校のひとつなんです。ですから、世界各地に聖心女子大の姉妹校があります。

　文学部だけのColegeですが、8つの学科があります。英語英文学科、日本語日本文学学科、哲学科、教育学科（教育学専攻・初等教育専攻）、心理学科、国際交流学科、人間関係学科、史学学科の8学科2専攻です。1年次は、キリスト教学や語学、体育など全学必修科目と1年次生のための基礎課程演習を受講します（これ以外に、General Lectureと言われている一般教養の講演もあります）。2年次から、学科（専攻）が分かれます。大学に入学する時点で、学科まで決めるのは、時期的に尚早だと、大学側は考えているわけです（早稲田や慶応の文学部も、同じシステムです）。人気の高い、心理学科や教育学科の場合、ある程度の成績を取っておかないと、進めません。

　聖心女子大には、制服があります。入学して1ヶ月間は、制服で登校することになっています。儀式の時も、制服を着るのがきまりです。グレーの清楚系の制服です。就活の時にも活用できますし、冠婚葬祭の時にもformal wearとして使えます。ないよりは、あった方が、断然、便利だと言えます。聖心女子大は、お嬢様系のハイソな学校だと世間では認知されていますから、校章を襟元につけて着用する制服には、それなりにブランド力があります。

　聖心女子大は、カトリックの学校ですが、カトリック独特のあの感じはなくて（日本のカトリックは、カトリックが本来持っているおどろおどろしさを、かなりsophisticatedしています）礼拝堂も、simpleかつpureで質素、敬度な雰囲気があふれでいます。カトリックルームと呼ばれている相談室もあります。「懺悔（ざんげ）」となると、やっぱりおどろおどろしくなってしまうので、ちょっとした悩みを、気軽にsisterに相談すると云ったノリだと想像できます。

　プロテスタント系の学校に較べると、カトリックの学校の方が、ミッション系っぽい雰囲気は、あります。11月25日以降の待降節（アドヴェント）の時期なると、クリスマス一色です。聖歌隊のキャロルもありますし、朗読同好会によるキリスト生誕の朗読劇なども披露されます。4年生が、下級生に聖心スピリッツを伝えるトーチライト・プロセッションと云う儀式もあります。ASEACCU (Assocition of Southeast and East Asiart Cathric Colleges and Universites）の国際学生会議も開催しています。

　聖心女子大は、お嬢さん学校だと、一般に思われていますが、本物のお嬢さんは、ごくごく限られた一部です。附属高校から進学して来た学生は、それなりの数いますが（全体の3割くらし、）大半は普通の家庭の子弟です。が、ごくたまに、アニメ「けいおん」のむぎちゃんや、ラブライブのマキちゃんのようなお嬢様がいます。マキちゃんのようなツンデレでは、もちろんなくて、naturalな天然系です（文化が違い過ぎて、どうしても普通の学生に混じると、天然系に見えてしまうんです）。そういう本物のお嬢様と仲のいい学友になったとしでも、スイスやフィンランドの別荘とかには、簡単に遊びには行けませんし、自ずとお付き合いには限界があります。

　聖心女子大で、一番有名なOBは、美智子妃殿下です。あまりにもハイソすぎて、コメントできません。2番目に、有名なのは国連の難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんです(if緒方貞子さんの名前を知らなかったら、即座に検索して調べて下さい。乃木坂や欅坂のメンバー名を知らなくても、アカデミックな大学の世界では、何ら困りませんが、緒方貞子さん名前を知らないと、常識のないおバカさんだと思われてしまいます。聖心女子大のOBが、国際公務員や海外のNGOで活躍しているのは、緒方貞子さんが、道を切り拓いたからです。聖心女子大には、世界中の聖心会のネットワークがありますし、カトリック教会そのものが、末端の教会まですべて聖職位階制によって組織されていますから、海外で活躍するchanceやきっかけは、探せばいくらでもあります。同じミッション系でも、プロテスタントは、聖公会（イギリス国教会）を除けば、基本、単独の組織なので、ネットワーク的な広がりは持ってません。

　聖心女子大の部活・サークルは、まあ基本、他の女子大と同じですが、聖心女子大ならではと思わせてくれる部・サークルもあります。たとえば、千葉に乗馬施設を持っている馬術部。騎乗レッスンは無論のこと、厩務作業と云った下積みのactivityも体験できます。

　聖心ラジオステーション委員会は、隔週、広尾商店街で生放送をしています。商店街と一緒に「広尾walk」と云う冊子も発行しています。地域活動の一環だと言えます。

　女子大には珍しい自動車部もあります。公道ではない練習場でレッスンをするので、運転免許がなくても、乗車できます。自動車部にも大会があります。speed raceの大会ではなく、教習所で実施している仮免見きわめ検定みたいな大会です。

　クロワゾンネ部は、七宝焼きの部活。心臓にロンギヌスの矢が突き刺さっているような、おどろおどろしいものは作らず、普通のハートとか蝶とかがモチーフです。

　学内最大の部活は、アナウンス部。学生数は、 全部で2200人くらいの小規模な学校ですが、アナウンサーは、沢山出しています。部員全員が、Victor・東京FM公認のDJ・MDライセンスを取得でき、年に数回、定期的な発表会もあります。