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人生って何歳までやり直せるんですかね?

12年続いた北京生活に終止符を打って本帰国するのに不安な要素は、やはり安定した生活手段の確保だ。

今のところ、来年に予定している子どもの高校受験でどこに合格して通うことになるかが確定しないうち、勤務先を探して出勤するのは難しい。

そのため、当面はフリーランサーとして生計を立てていく予定だ。活動は既にはじめている。

中国でやってきたことを真っ新にしてリセット、というほど完全なリセットではないものの、それまで会社勤めが多かった身からしたら、今年の本帰国はやはりリセットといえるだろう。

2010年、北京に移住してきた時のことを少し思い出す。

移住する前、「最低10年は頑張ろうと思っているけど、俺に出来るだろうか?」という不安が常に頭にあった。

海外生活自体がはじめてだったし、当時は中国語も話せなかった。ほぼゼロレベルで。

それまで日本では主に音楽業界、CDやDVDなどのパッケージ商品を扱っていて、最後だけ輸入玩具を扱っていたエンターテインメント系を軸としたキャリア。

でも中国ではそうした仕事で日本人材の募集はない。中国でのエンターテインメント系の日本人求人といえば、いわゆる”抗日戦争”ドラマや映画での日本兵役だ。

そうしたキャスティングを専門でやっている人が知り合いにいるのでたまにエキストラでの出演依頼の打診があるのだが(笑)

話を戻して、日本でのキャリアとは全く異なる道を進まなければならなかった北京での職探し。日本語教師という選択はあったけど、それは最終手段としておくことにした。

北京でみつけた最初の仕事はIT系のオフショアプロジェクトのマネージャー職だった。かろうじて中国語力不問だったために、この仕事を見つけることが出来た。

しかし、2010年当時の日本人現地採用の給料なんてホント安いもので、日本語教師であれば5000人民元が普通だったし、求人票を眺めていて一番高かったのが10,000元の営業のお仕事。しかもその仕事、上海だし。そんな時代だった。

当時の人民元/日本円のレートが1元12円台。ぶっちゃけるけど、中国最初の仕事の月給は8,000元からのスタートだった。当時のレートで計算すると日本円で10万円ちょっと。

「子どもとの生活のために海を渡ってきたけど、こんなにも下がるのか… この選択は正しかったのだろうか?」とやや落胆したのを思い出す。会社からの一時帰国のための補助も何もなかったので、しばらく日本に帰る費用すら捻出できそうにないことも覚悟した。

でも、「ここから新しいキャリアをつくっていく」と覚悟を決めて、中国語も働きながらビジネスレベルまで持っていき、転職も比較的容易になり、給料も最初の倍になった。そこからアベノミクスでの円安もあり、さらに1.5倍に。

これで「よしイケる!」とそれからも頑張り続けた。語学だけでなくコミュニケーションスキルやビジネススキルも新しいものを学び続けた。

その結果、現地採用でありながら年収1000万円にも手が届くところまできた。本業だけでなく不労所得などコミではあるけれど。

それまで足掛け10年。ようやくここまで来たか…と少しだけ自分の頑張りを誇らしく感じられるようになった直後だ。

交通事故で重傷を負ってしまったのは。

当時は企業の総監職に就いていたものの、事故の影響による脳挫傷が職場復帰後の数か月で悪化してしまい、職責を担えないと自ら伝えて会社を去ることになった。

とはいえ、事故になったことを悔やんでもいない。

自分以外の他人はこうしたことを見聞きすると、「あのとき、ああしていれば」という。「気を付けてさえいればそんな目に遭わずに済んだのに」と言う。

しかし、当の本人は少しもそんなことを思っていない。これは宿命だと感じていたので、事故に遭ったことを悔やんだことがなく、事実として淡々と受け入れている。「やっぱりこの道じゃないのか」と。

仮に今回の交通事故がパラレルワールドでは気を付けて避けれていたとしても、恐らくそれに匹敵するか、それより悪い自体に見舞われていたはず。

どのパラレルワールドでも人生に起きる出来事・禍福のバランスは取れていると、そう感じる。

37歳で中国に渡り、10年かけてこうして積み上げてきたものはある。

しかし、もう50歳という年齢が見えてきたアラフィフでまたキャリアをリセットしなければならなくなった。

今回の本帰国では、10年前と同様にリセットなど可能なのだろうか?

当時よりも色んな技術が格段に進歩しているにもかかわらず、こっちは既に10年も年取ってしまった。その分、ついていくのも大変だ。

体力もだいぶ落ちている。1歳上なだけの友だちもこの間突然倒れた。いつ何が起きても不思議ではない、そんな年齢になっている。

年取ってもまだやり直せるのか?
もうさすがに無理なのでは?

でも、こうも思う。チンケな命にしがみ付いているくらいなら、少しくらい太く短くてもいいのかも。

もう一回、頑張ってみようよ。
と自分自身に言って聞かせている。


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