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書く人にとって「悩み」は武器になる

悩みごとってなくならないな、と思ったんですよね。

悩みごとが多い人も少ない人もいると思いますが、ぼくはわりとずっと悩んでいるようなタイプの人です。

で、いつも「この悩みごとがなくなったらスッキリするだろうなー」って思うんです。

たとえば肩こりで悩んでいて、しかもちょっと手が痺れてきたりなんかして、そのときはめちゃ悩みました。脳の病気なんじゃないか、とか考えたりして。そういうときは「肩こり」とか「痺れ」で頭がいっぱいになります。

で、「この悩みがなくなったらすごくスッキリするのになー」って思うんですね。そのあと結局、整体に行ったり、整形外科に通ったりして、肩こりや痺れは緩和しました。

するとスッキリするかなと思いきや、すぐに別のことで悩み始めるんですよね。お金のこととか、会社をどうしていこうかとか、あの原稿どうなるんだろう、とか……。

結局、ひとつの悩みがなくなった途端にその「脳の余白」の部分に別の悩みが流れ込んでくるわけです。

「悩みがなくなる」なんて、幻想

だから「すべての悩みがなくなる日が来る」というのは完全に幻想だということに最近気づいたわけです。

何十年と悩みをゼロにしようと思ってきましたが、無理。やっぱ無理です。悩みはなくならない。

ただでも、そう思ったら急に楽になったような気もします。

ようは「いつか悩みがなくなってスッキリするはずなのになくならない」と思ってるからそれがストレスになっていたわけです。「いつかスッキリするはずなのに、その日が来ない!」というのがストレスだった。

でも「悩みがある状態が普通だ」と思った瞬間に、「ま、これでいいのか」と思えて、ストレスがなくなった感じがあります。

悩みを無理になくそうとか忘れようと思うと逆につらい。

悩みはなくならないんだから、あきらめるしかありません。この「あきらめる」というのが結構大切かなと思ったんですね。

悩んでも意味がない、と言われても

よく「悩むのなんて意味ないよ」とも言われます。

それもわかります。

たしかに悩むって、いちばん意味のない時間ですよね。「死ぬのがこわい」という悩み(?)があっても、そこにめちゃくちゃ脳を使ったところで、永遠の命が得られるわけじゃない。

「肩こりがつらいなあ」って思い悩んでも、肩こりがよくなるわけはなくて、整体院に行くなり整形外科に行くなりしなければ治りません。

悩むんじゃなくて、行動したほうがいいよ。解決方法を探ればいいよ。そう言われます。ぼくもそう思っていました。

でもね、とも思うんです。

それができれば苦労はしません。「悩むのは無駄な時間」と思いつつも、どうしても悩んでしまうのが人間というものなんです。

というわけでいまのぼくの結論は「悩みはなくならない。だから、あきらめよう。悩みとともに生きていこう」という感じです。

悩みがあるから企画になる。ネタになる

ひとついいことをお伝えします。

ぼくは編集者という仕事をやってますが、書いたり企画したりする仕事の人にとっては、この悩みというのは「商売道具」になると思うんですね。

悩むから企画が生まれる。悩むから書くネタが生まれる。

悩みは武器になるんです。

もし毎日の生活に満足で、これからの人生に何の不安もなくて、すべて満たされていて、毎日が楽しいという人は、何の企画も出てこないでしょう。

「毎日仕事をして、休日は趣味を楽しんで、将来も安泰です」みたいな人は特に書くこともないでしょうし、書くモチベーションもないでしょう。

現状で満足だからです。

一方で、悩みごとがある人というのは「これどうしようかな?」「どうやったらよくなるかな?」「なんでこうなってるんだろう?」と日々考えています。それをうまく料理すれば「企画」に生まれ変わるはずです。新しい「アイデア」が生まれるはずなんです。

ぼくはつねづね「企画は悩みから生まれる」と言っています。

肩こりに悩んでいるなら「リモートワーカーのための肩こり解消法」という企画が生まれるかもしれません。お金に悩んでいるなら「先行き不透明な時代の最強投資法」みたいな企画になるかもしれない。

悩みは裏返せば、つねに「企画」になります。

「書く」ということに関しても同様です。

「なぜ人は書くのか?」と突き詰めて考えてみると、誰かに何かを伝えたいから書くわけですよね? 伝えたいことがあるということは、伝えることでなにかがさらによくなると思っているから書くわけです。

その先に理想の世界みたいなものがあって、そことのギャップがあるから文章を書きたいというモチベーションになる。

この文章だって、「悩んでいる人がラクになるといいなー」という願いをこめて書いています。その先に「理想の世界」みたいなものがあるから、何かを伝えようとするわけです。わかりにくいかな……。

悩むから企画できる。悩むから書くことができる。

せっかく悩むことができているのだから、それをどんどんアウトプットしてカタチにしていけば「価値」になります。せっかく悩んでいるのだからクリエイティブにつなげないともったいないな、とも思うんです。

しかも悩みというのは「本気で思っていること」ですよね。本音です。本音にはかならず「熱」がこもっているわけです。感情がこもっている。だから、おもしろいコンテンツにもなりやすいのです。

「悩む」というのはつらいことなのですが、せっかく悩んでいるのだからそれを生かして「アウトプット」につなげれば有効活用できたりします。(当然悩みにもレベルがあるので「そんなのんきなこと言ってられないよ」というケースもあるでしょうが……。)

悩みが次々に出てくるということは企画やネタがどんどん出てくるのとほぼイコールとも言えそうです。「悩みの達人」になることで、いい企画者、いいライターになれる……かもしれません。

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