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モダンで始めるハイランダー『イゼット・ルーツリー』のすゝめ

はじめに。

 皆様、マジック・ザ・ギャザリングの"モダン"は遊んでいますでしょうか?

 現代マジックにおいて、カードプールが広くて使われているカードの種類が少ないレガシーと、プールが狭く使われているカードが多いパイオニアの間にあるモダンは、個人的に最もエキサイティングな1v1フォーマットだと思っております。

 今まで統率者戦しかプレイしていなかった自分にとっては構築や対戦様式に慣れるまで1年ほどかかってしまいましたが、今回は自分が愛して止まないデッキの話を書いていきます。

今回の名脇役(主役ではない)

モダン『イゼット・ルーツリー』


 全ての相棒デッキに言える事ですが、構築を偏らせる事で1枚分のアドバンテージを確定させられる上、各種インカネーションサイクルなどへのコストを作れるなど利点が生まれます。

「呪文追い、ルーツリー」を相棒として使用する条件が"土地以外は各種1枚しかメインデッキに挿せない"という事で少々難しいようにも思えますが、前述の通りモダンはプールが広くパワーカードに溢れるフォーマットなため入れたいカードには事欠きません(ちなみに望むならルーツリー本体はメイン1、サイド1で2枚採用が可能です)。

 入賞リストやネット上に落ちているルーツリーデッキを覗いてみると、その多くが3マナ5マナのテフェリーを使うタッチ白や、除去を厚くしハンデスを搭載したタッチ黒が多いですが、現代モダンにおいては「血染めの月」のバリューがとても高く、自分は青赤2色でまとめています。

 最近あまり見なくなってしまったクラシックなアーキタイプ"ブルームーン"と、モダンの使用率トップ層に常駐している"青赤ラガバン"を足して割ったようなリストですが、マジックの基礎をしっかり学んだ方にはとても簡単に回せる、中速のイゼットコントロール的なデッキです。

 下環境の青赤のカード群には考慮や表現の反復、邪悪な熱気や対抗呪文など4枚積みしたくなるようなスペルが星の数ほどありますが、構築から対戦まで長く楽しめるデッキなので是非挑戦してみてください!

代替品も完全な劣化ではない!

基本的な立ち回り

 動き方は一般的なコントロールデッキとほぼ同じ。

①ドローソースで手札を整えて土地を伸ばす
➁1−1交換を続けていき、要所の0−1や1−2交換で差をつける

 以上の2点を守ってゆき、激情や濁浪の執政で削り切るか、各プレインズウォーカーで蓋をします。相手のアーキタイプや先手後手、盤面の状況にもよりますが、メイン戦で早めに引き込んだ血染めの月(と大魔術師)は積極的にキャストするので、序盤はフェッチで墓地を増やしつつ、ショックランドorファストランド→島→島と置くのが理想です。

 特に意識したいのが、"土地が3枚で止まっても負けないが、4枚以上ないと勝てないデッキ"というのを理解した上で、今回はどうフィニッシュ出来るか?を常に考える事です。

いつ〔+2〕を使う?

 青赤ラガバンと比べると墓地を参照する機会が多いうえに若干特殊で、単純に昂揚を維持しつつ濁浪に食べさせるだけでは駄目なのが唯一難しいところでしょうか。

 肥やす手段が少ないので除去のためとはいえ調子に乗って溶岩使いや陥没口で追放しすぎると、トレイリアの恐怖を引いた時にもれなく能面みたいな顔になります……

有利、不利対面

 細かな除去や打ち消しが厚いため、高スタッツを連打するトライバルズーのようなタイプ以外のクリーチャーデッキには有利、流行りの続唱や独創力コンボにもある程度有利に戦える印象。

 メインから月を搭載しサイドにも対策を割いていますが、着地したタイタンやカーンが倒しづらいのでアミュレットやトロンなどの土地コンボは苦手な対面。やはりタフネス4以上を赤の除去で対抗するには邪悪な熱気が恋しくなります。

除去のために色を足す必要なし

 コントロールデッキの天敵であるバーン、ライブラリーアウトあたりはいわゆる噛み合い次第といったところ。ガイドやカニから入ってくれたら良いですが、ひたすら本体にスペルを投げられるとさすがに間に合いません……。外科的摘出はハイランダーの性質上効きませんがフェッチを多用するため、LO戦は書庫の罠を捌けるかどうかにかかってきます。

ハイランダー構築の魅力

 ルーツリー(ハイランダー構築)の魅力というと、

・リストが読まれづらく、対策されづらい
・相棒分のアドバンテージ差がある

 等の戦略的な面はもちろんありますが、精神的な面で、

・高価な同じカードを複数枚揃えなくて良い
・毎回違った戦術を取るので飽きが来づらい

 といったところがあり、これが個人的にはハマるキッカケでした。

 統率者戦と違い、通常フォーマットでは同じカードを複数枚採用可能なため戦術の再現性がとても高く、その点が飽き性の自分には合いませんでした。もちろん、強い勝ち手段を安定して繰り出せるのはとても素晴らしいと思いますが、「次これを引いたら噛み合うなぁ」、「これが今来るならこちらのルートにしてみようかな」などと、ドローの度に頭をひねる楽しさに共感していただける方も多いのではないでしょうか?

 アレンジの幅も大きく、集合知ゆえ自由枠の少ない環境デッキよりも自分好みに改造出来るのもGOODです。

 パイオニアやレガシーでもルーツリーを相棒に添えたデッキは様々な形で作れるらしいので、もしこのnoteを読んで少しでも興味を持ってくださった方は、実際に組まずとも自分なら何を使うかとカードギャラリーなどを観ながら妄想していただけたら幸いです。

『バーテンダーの視(め)』はお酒や料理を題材にバーテンダーとして生きる自分の価値観を記したく連載を開始しました。 書籍化を目標にエッセイを書き続けていきますのでよろしくお願いします。