勇者と賢者を分かつもの:人は身近な人の死を受け入れ、乗り越えることでしか前に進むことはできない

私だけでなく、通常は誰にでも当てはまることだが、身近な人の死は悲しいことで、誰もが悲嘆に暮れることは当然である。しかし、身近な人の死を受け入れるか否かで、その後の人生が大きく変わることがある。

ここで、上記の事例として、鏡飛彩(以下、飛彩。『仮面ライダーエグゼイド』に登場する外科医で、仮面ライダーブレイブに変身する。なお、「brave」は「勇者」を意味する)、および、笛木奏(以下、笛木。『仮面ライダーウィザード』に登場する物理学者兼魔法使いで、仮面ライダーワイズマン(白い魔法使い)に変身する。なお、「wise man」は「賢者」や「魔法使い」を意味する)を取り上げる。

2011年、鏡飛彩は恋人である百瀬小姫(以下、小姫)を失った。しかし、小姫のデータは、檀正宗幻夢コーポレーション初代兼第4代社長(以下、正宗)が所有するプロト ドラゴナイトハンターZ ガシャットに封印されていることが分かった。
その事実を知った飛彩は彼女を復活させるために、正宗に従うことになった。しかし、飛彩は外科医としての職責を全うすることで、正宗に逆らった。その結果、グラファイトにより瀕死の重傷を負った花家大我(以下、大我)を救い、大我との信頼関係を再び築くことができた。但し、その代償として、飛彩は小姫を永遠に失うことになった(しかし、実際は、小説『マイティノベルX』で彼女の復活が示唆される)。
それでも、いや、それだからこそ、飛彩は大我に「自身の望みは果たされた」と告げ、かつ、今までの非礼を謝罪することができた。

その一方、笛木は自分の娘である暦(難病に罹っていた)を失った後に、「娘を蘇らせるためにはどんな犠牲もいとわない」や「他者が不幸になっても娘を失った悲しみに比べたら小さい事」と歪み、暦の蘇生を決意した。
笛木は人造ファントムであるカーバンクルを作り、自分の体の中に取り込むことで、仮面ライダーワイズマンに変身し、魔法が使えるようになった。次に、暦の遺体に「賢者の石」を埋め込んだ。
笛木はサバトにより、その遺体を暦の記憶を持たない魔力で動く人形コヨミとして一時的に蘇生させるだけでなく、操真晴人を魔法使い「仮面ライダーウィザード(以下、ウィザード)」に変えた。なお、副産物として多数のファントム(グレムリンこと滝川空もその1人)が作り出された。
その後、笛木は稲森真由ら3人を新たな魔法使いに変えた。
ついには、操真晴人ら4人の魔法使いを使って、サバトを行うことで、コヨミを暦として完全に蘇生させようとした。しかし、このサバトは仁藤攻介の妨害により失敗に終わった。
その後、笛木はサバトを再び行おうとしたが、コヨミに拒絶された。
最後に、笛木はウィザードにより致命傷を負った後に、グレムリンにより殺された…。

飛彩は小姫の死を敢えて受け入れることで、大我との信頼関係を取り戻すことができた。
その一方で、暦の死を受け入れることができなかった笛木は、暦を蘇生させるためとはいえ、数多くの人間の命を奪うだけでなく、その周囲の人間の運命を狂わせた。因果応報とはいえ、笛木は、魔法使いの副産物の1人である滝川空に殺された…。
結局、人は身近な人の死を受け入れ、乗り越えることでしか前に進む、即ち、真っ当な人生を送ることはできないということか…(再度繰り返すが、小説『マイティノベルX』で小姫の復活が示唆される)。

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