旅・旅行をより鮮やかにするためにおすすめの芸術の本2冊目。

前回の記事で紹介した「13歳からのアート思考」は、美術・芸術に興味を持ちきっかけとして最適な本だが、
この記事でおすすめする本は、「芸術の見方・本質を知る」のに最適な本。

正直、この本をどうにか紹介したくて、前回の記事を書いた。
タイトルも表紙もかたいが、読んでみると意外とそんなことない。
一人でも多くの人に、この本が届きますように。。。

本を知ったきっかけ～自転車で旅する美大生との出会い～

日本を自転車で旅していた時のこと、
確か岩手県 宮古のゲストハウスで、同じく自転車で日本を回っている美大生に会った。

私が北上、彼が南下と進む方向が逆だったこともあり、キレイだった景色、美味しかったお店などの情報交換をした後、お互い旅の目的を話あう。

私：”旅をしながら、創作活動のアイデアを探している”という意味？？
美大生：結果としてそうなる可能性はあるけれどそうではない。
私：？？？

私が全く理解できず困っていると、美大生は以下のようにつづけた。

私も絶景やグルメに対してあまり興味がありません。

ただ、自転車での旅の中で、”キレイな景色を見た時の感動”、”空腹時にしみるごはん”、”一人野宿する孤独”、”夏の暑さ、冬の寒さ”、”体中から発せられる痛み”などを感じた時、「生きてる」って思いません？？（←私はこれに激しく同意）

この感覚が「美」であり、旅はそれと直接対話できるから「芸術」なんです。
世界の大きさを感じるという点では、旅は無宗教の国で宗教を感じる手段の一つともいえると思います。

私は美大で、「美」を学んでいます。
話してる感じ、たけさん（私）と似てる感覚だと思いますよ。ただ、これまでのバックグラウンドや学んでる学問が違うから表現の仕方が違うだけで。

そう言って、1冊の本をおすすめされた。
[芸術とは何か 千住博が答える147の質問]

芸術という抽象的なモノを、具体的に考える

中高一貫の進学校育ちで、大学は医薬だけのキャンバスで育った私には、芸術家の知り合いなどいない（まあ元々友達も少ないが（笑））。

絵心も皆無の私は、自然と美術という学問を避けていたし、「芸術とは何か」など考えたこともなかった。

当時、美大生の言っている意味は全く分からなかったけれど、本を読んでみて”なんとなく”彼の伝えたかったことがわかった気がしたのと同時に、絵心皆無な私でも芸術をしていいんだという気持ちも芽生えた。

この本は、芸術という抽象的なモノをどのように感じるか、具体的に示してくれるの本であると同時に、芸術を通して哲学ついて考える本なのかもしれない。

印象だった質問

この本は147個の質問に対して、千住先生が回答するという形式で書かれている（なので、内容の割にスイスイ読める）。

本の内容を書いてしまうとネタバレというより、薄い/浅い言葉になってしまうので、147の質問の中から、私が面白いなと思った質問をpick upしてみました（多いですね。これでも絞ったのですが。。。）。

質問だけ見ると、難しいテーマが多いなと思ってしまうかもしれませんが、読むと「もっと気軽に美術館に行っていいんだ」という気持ちになるはずです（←いい意味で裏切られました）。

• インターネットは芸術をどう変えましたか？

• 芸術作品と工芸作品の境はありますか？

• すぐれた絵画とはどういうものですか？

• 有名画家にも駄作はありますか？

• 日本画と西洋画の違いはなんですか？

• 究極の日本画/西洋画を5作品挙げてください。

• 現代美術を理解するためには、学習が必要ですか？

• 描く順番はありますか？

• 技法とテーマ、どちらが大事ですか？

• 多くの画家が苦労してきた色とは何ですか？

• 芸術は他人に教えることができますか？

• オークションは、どういうものですか？

• 美術館では多くを観るべきですか、お目当てに絞るべきですか？

• 美術館や展覧会に行く前に、作品集などで事前学習すべきですか？

• 画家はどのような視点で観るのですか？

• 評価が高い作品でも好きになれないのは、鑑賞眼が劣っているからですか？

• 芸術家にとって、「死」とはなんですか？

• 三大欲求が満たされないのに、「美」を求めることは変ですか？

• 最高の芸術作品とはなんですか？

• 芸術とは何ですか？

おすすめのNote

ちょっとでも、この記事が面白いと思った方、是非この方のNoteも読んでほしい。
直接、著者の千住博先生に会われたということで言葉が重い。最高のNoteだと思いました。

さいごに

こんなような話を、TABIPPO主催の世界一周ゼミのオフ会で話したら、
”DREAM”（TABIPPO主催の世界一周コンテスト）の参加者の中に、日本画を専攻している子がいて、世界中の岩・石を絵の具として使い絵を描こうとしている子がいたという話を聞いた。

砂漠の砂、茶色の粘土、灰色の泥・・・
それら”天然の絵具”を用いて、その土地で彼？彼女？はどんなモチーフをどのように描くんだろう。

美大生って面白いなと思ったし、SNSの発信力で優劣をつけるのもいいけれど、そういう学生にこそ、大人がお金を出してほしいなと心から思った。