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古宇利島の「文化を自然と着用できる」Tシャツをデザインしました

沖縄県今帰仁村。観光の文脈で注目を集める古宇利島。観光地としての注目を集める一方で、島に古くから伝わる文化や暮らしは隠されており、オーバーツーリズムなどの課題が顕在化しているという側面もあります。

古宇利島の観光名所、ハートロック

沖縄はむかし、「字」(あざ)の単位が行政区として用いられ、現在の市町村名に続く「区」は、この字の単位がそのまま使われています。

古宇利大橋がかかるまでは離島であった「古宇利字」、いまは観光で訪れる方はなかなか目にするよう整備されていないのですが、この島に古くからある文化を伝えていく、そのことを観光コンテンツとしても機能させていく想いを共にし、さまざまな取り組みをご一緒させていただいています。

沖縄に観光で訪れる方の多くが、沖縄にちなんだTシャツを着用しながら滞在されています。

沖縄Tシャツの代表格はインスタグラムでも人気ハッシュタグに


Tシャツをメディアとして、古宇利島の文化を自然と知れるTシャツを作成したい。古宇利区よりそのようなお話をいただき、この取り組みははじまりました。

デザイナーはマップの企画に引き続き、松下ひかるさんに務めていただきました。


どんな背景でデザインを


まずは要件定義を行い、古宇利区に共有することからはじまりました。
目指したのは、現在、見えている観光的な側面と、島の方でも一部の方しか入ることが許されていない神事などの「間」にある文化を伝えること。

観光客の方が求められているもの100%によせるのではなくて
かといって、いきなり神事などを見えるようにしていくことは現実的ではないので
その間を表現したいな


上記のような背景から、観光コンテンツとして認知度が高いものはおさえつつ、古宇利で昔から大切にされてきた、たとえば祭りにもなっている伝説の素材や、古宇利だけの方言まである生きものなどをフラットにイラストで配置し、いま有名なもの「だけじゃない」、古宇利の文化を表現しました。

デザインはリクエストから2種類を用意、イラストはスクエア型に配置+手書きで「古宇利島」と書いたものと、イラストをランダムに配置し古宇利はローマ字で表記したものを作成しました。

たとえばクジラのことを「ピーチュ」と呼んでいたり、ムラサキウニのことを「ガシシ」と呼んでいたりすること。なかなか知らないですし、そのような多面的な文化を知ってもらうことが、その文化はこの島に長く住んでこられたみなさんがつくってこられたのだということを知ってもらうことが、この場所に敬意を持ちながらたくさんの方が訪れてくださるようになる、そのような流れの一助になれればこんなにうれしいことはないと思っています。

古宇利の方言はこの本にとてもお世話になりました


販売後の反響は「とっても人気」だそうです


Tシャツの販売は今月頭からはじまっており、現在のところ道の駅ソラハシでのみの販売となっています、が、にもかかわらず、初回発注のものは完売!ということで、追加での発注をおこなっています。うれしい!

フロントはシンプルに、恋の島を表現するハートマークに
柄違いをお揃いで着るとかわいいのです!


観光で訪れる方に「かわいい!」と思ってもらえるようなクオリティと、同時に、この土地に長く続く、地元の方にとっても大切にしたいものを同時に残す仕事ができたとしたらとてもうれしく思います。そしてこのような考え方は、日本中どこでもそうかもしれませんが、特に経済における観光の割合が大きい沖縄だからこそ、ちいさなところから、自分たちの文化を誇り、その誇りに思う文化に敬意を持ちながら観光客の方がこの場所を目指す、という人の動きをつくっていくことが大事だなと強く思います。

地元の方も着てくださっているのが、とてもうれしい。


Tシャツを購入したい!という方や、このような背景を持った商品を企画したい方、お気軽にご連絡をいただければうれしいです。

Tシャツのデザインというちいさな一助ではありますが、守られるべきものが守られ、そのうえに敬意を持ちながら観光客の方も訪れる。そんな沖縄を目指した仕事をこれからも重ねることができればうれしく思います。


古宇利島Tシャツデザイン
designer|松下ひかる
directer|中尾岳陽


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