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JC論:結びに

公益社団法人日本青年会議所の会頭・直前会頭として、約2年にわたってJC論を書いてきました。まだJC論編集チームによる逆引きQ&Aなどは多少続くことになるでしょうが、2020年をもって私は卒業しますので、私鎌田長明がJC論を書くのはこれで最後になります。なぜJC論を書いたかは別に記しましたが、青年会議所は常に現役メンバーがどうあるべきかを考える団体ですから、いつかまた別のJC論を書く人がたくさん出てくればいいと思っています。だから、私のJC論の結びとして、青年会議所への5つの期待を書いて終わりたいと思います。

1、多様性に満ちた場所となる

現在の青年会議所の多様性は高くありません。JCIクリードの第5節にあるように、高い多様性こそが青年会議所の神髄だと思います。男性ばかりの青年会議所、一定の特徴を持つ人しかいない青年会議所は長続きすることはないでしょう。ぜひ指標を設けて、メンバーの多様性の確保に挑戦してもらいたいと思います。

メンバーだけでなく、LOMにも多様性があっていいと思います。女性だけのLOMやLGBTといったジェンダーLOMがあってもいいでしょうし、特定業種のLOMがあってもいいでしょう。現在あらゆる分野の青年部といわれる組織が弱体化する中で、特定業種のLOMやその集まりが○○青年部の代わりとなるというのももしかしたらありかもしれません。そんな自由度をそもそも青年会議所という仕組みは持っています。

2、「青年だからできること」ができる所となる

「青年だからできること」ということをぜひ追及してほしいと思います。大都市だけでなく、日本全国津々浦々にあって、青年だけで決められて、一定の予算とマンパワーがあって、社会の多くの分野とコラボレーションができるのは青年会議所だけです。だからこそ、青年だからできることを追求する責任があります。前例やきれいごとに甘えるべきではありません。そして、青年会議所には、単年度制というチャレンジできる仕組みがあります。青年だからできる発想、パワー、議論、無駄をどしどしやってほしいと思います。恐れることなく、ぜひ世間や先輩たちに「こう来たか」とうならせる活動を行ってほしいと思います。 

3、社会を繋ぐ場所となる

SDGsの17番の目標がパートナーシップであり、JCIの5つの戦略にconnect(繋がり)があることは、社会の各分野を繋ぐことは、それ自体に価値があることを示しています。「繋がり」をスローガンに掲げるLOMはたくさんありますが、じゃあ「新たにどことどこを繋ぐの?」と聞いても、明快な答えが返ってこないことがよくあることは残念です。メンバー同士や現役とシニアが繋がっていることなど当然であり、社会のこれまで繋がっていなかったところを繋げてこそ青年会議所です。青年会議所と○○のパートナーシップも重要ですが、「青年会議所が○○と○○を繋げた」、という方が価値があることを認識してほしいと思います。

4、お金の集まる場所となる

社会を変えるためにはお金が必要であることは疑いようがありません。お金が集まらない、集められない団体はあまり社会に必要と認識されていない団体です。もちろん会費という形でお金を集めるのも一つの方法です。しかし、会費や大会登録費等だけでは限界があります。お金の集め方を毎年毎年真剣に議論し、お金を集まる場を作る必要があります。事業計画の細部の議論よりも、どうやってより多くのお金が集まる事業になるのか、もっと言えば団体になるのかを真剣に議論するようになってほしいと思います。

5、社会的責任を果たす場所となる

青年会議所でもコンプライアンスの重要性が良く言われるようになっていますが、コンプライアンスの目的は、「べからず集」を守ることにあるのではありません。コンプライアンスの目的は、組織が社会的責任を果たすことです。青年会議所が一定の社会的責任を果たす上では当然のことながら法令を遵守しなければなりません。だからこそ、コンプライアンスを確保できる仕組みが必要なのです。

一方で、青年会議所はその果たすべき社会的責任を自ら決める団体でもあります。自分たちがどんな社会的責任を果たすべきなのか、しっかり議論をして、そして自覚してほしいと思います。少なくとも理事メンバーぐらいは自分のLOMがどんな社会的責任を果たすべきなのかをはっきり言えるようになってほしいと思います。

そして、広く社会に対して、青年会議所がその社会的責任をしっかり果たしていることを明確に(できれば数字で)示してほしいと思います。例えば2019年度私は「青年会議所を日本一SDGsを推進する団体にする」というビジョンを掲げ、実際に2019年にはLOMも含めると全国で2000以上のSDGs関連事業が行われ、その総予算はLOM30億円以上、200万人以上を動員しました。自画自賛ではなく、間違いなく日本で最もSDGsを推進する団体に青年会議所はなったと思います。実際に安倍首相からも日本青年会議所としてジャパンSDGsアワード特別賞を受賞しました。青年会議所はこういうことができる団体なのです。

これから増々各団体にはその社会的責任が果たされているのかが厳しく問われる時代になってくるでしょう。その時青年会議所が、誰もが認める社会的責任を果たしている団体と認知されるように願っています。

当たり前のことが当たり前にできる団体へ

上記の5項目は、既に多くの人が言っている「当たり前のこと」にすぎません。しかし、青年会議所という単年度制でどんどん人が入れ替わっていく団体においては、「当たり前のこと」が当たり前にできることは極めて難しいものです。独りよがりに陥らず、仲間内の都合で決めるのではなく、誰が見ても素晴らしい活動を行ってほしいと思います。

私自身もいろいろ偉そうに語った以上、これからの人生の中で、しっかりと当たり前のことをやって実績を出していきたいと思っています。

最後に

青年は本来可能性に満ちたものですが、あなたを可能性に満ちたものにするかどうかはあなたの選択です。

人生このままでいいのだろうか、社会はこのままでいいのだろうか、でもどうしていいかわからない。そう考える若者が集う場所が青年会議所であってほしいと思います。

全ての青年会議所メンバーの活躍を楽しみにして、私は青年会議所を去ります。

さようなら。ごきげんよう。

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