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JC論:手法ありきのとき、委員長はどうするべきか

ついに禁じ手のお話です。
非常に残念なことに、正副で背景・目的が十分に議論されていないまま、委員会に事業手法だけが下りてくることがあります。陳腐化した継続事業や、外部とのおつきあいでやっている事業など、本当に青年会議所でやるべきなのか不明な事業をやらなければならないことが、残念ながら未だに存在しています。では、委員長はどうすればいいのか、という話です。

まず背景・目的を確認する

とにもかくにも、担当の副理事長や、副理事長がわかっていなければ所信を書いた理事長に事業をなぜやるのか、何を目指しているのかをトコトン尋ねましょう。意外と、「聞いてないからわからない」、ことも良くあるのです。委員長には委員会メンバーに伝える責任があるのですから、わかるまで聞くのは当然の責任です。

継続事業であれば始めた先輩などに聞きに行きましょう。何十年も続いていて、始めた先輩に会えないのであれば、できるだけ古い先輩に聞きましょう。なぜその事業を始めたのか、何が目的だったのか、それは達成されたのか、などを尋ねましょう。先輩は必ず教えてくれます。始めた人の話は最近作られた「似非伝統」を打破する良い方法です。

そこでしっかり納得できる背景・目的が理解できたら、背景、目的に向かって手法の改善に取り組んでください。通常はそれで議案書ができるはずです。

注意すべきは、その年に合わせて目的を明確化することです。世界平和は事業目的たりえません。その年の所信に記載された時代の背景に合わせて、できるだけ明確化された目的を定めましょう。そして「継続事業の続け方」で書いた通りその目的が最大限に達成できるよう努力しましょう。

大抵の場合ちゃんと正副は背景、目的を理解してこの手法がベストだと思って計画をしています。このプロセスを経ずに単にやりたくない理由付けで手法を否定するのも困ったものです。

背景・目的が不明確な場合

一方、残念なことに青年会議所では必ずしも正副がきちんと理解せずに手法だけを委員会に押し付ける場合もままあります。こういう時、委員長はどうすればいいのでしょうか。メンバーの成長の機会として活用する方法と、換骨奪胎する方法の2つがあります。

メンバーの成長の機会として活用する
手法ありきの場合は大抵継続事業か、何かの真似です。しかし、背景・目的が不明確または完全に陳腐化していて、手法も外部との関係から大幅には見直しづらいという場合があります。お祭り事業などが良い例ですね。

こういう場合は、仕方がないのでメンバーの成長の機会として活用することに注力しましょう。ただやるのではなく、お手本があるので、お手本を超えられるように一つ一つの活動を分解し、最も効率よく最大限の効果が出るように活動を行うという訓練の場にするのです。メンバーにはメンバーの能力を高めるためにこの事業を行うことを明言し、一人ひとりの特性に合わせてやるべきことを割り振ります。

この時議案書は、例になった計画議案をもとに、メンバーの能力をどう伸ばすのかに焦点が置かれて記載されることになるでしょう。手法の中心部分以外のにぎやかしなどにはできるだけ力を割かないほうが効果的です。どうせ大した目的でなければ、人なんて集まらなくても仕方ありません。それはその目的を押し付けた正副の責任です。

ただ、メンバーの訓練であるからには評価が必要です。形式的か形式的でないかに関わらず、メンバーの成長を評価しましょう

換骨奪胎する
その手法の一般的な目的とは全く違う目的を定めましょう。(もう既に死んでしまった)商店街の活性化」という陳腐化した目的で、例年開催している「商店街でのお祭り」という手法を取らなければならないのであれば、商店街という場所とお祭りの動員力を使って別の目的を定めて実施することを考えましょう。要は、場所と動員力だけを使って、全然別の目的でやるということです。

例えば、防災意識の向上を目的として避難場所を回るパレードをやるとか、地域での子育て意識の向上の目的として子供優先のお祭りをするとか、手法は同じでも目的を変えて社会実験やキャンペーンを行うのです。もちろん議案の書き方としては、陳腐化した目的を一応置いておく必要はあるかもしれませんが、そんな目的のために大きな力を割く必要はないでしょう。自ら定めた目的のために全力疾走しましょう。

結局のところ、リーダーは委員長

青年会議所の組織で真にリーダーと言えるのは、理事長と委員長です。委員長が委員会のリーダーなのだから、委員長が納得しないで、事業が成功することはありません。一方で、メンバーの成長のみに走る委員長や、自分で目的を見つけて事業を換骨奪胎する委員長を会議で止めることなどできはしません。

正副はこのことを理解して、ちゃんと背景・目的をもって事業を構築させてください。そして、委員長はその責任の重みを感じて、背景・目的をしっかりと意識して事業を計画・実施してください。

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