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ロボット研究開発者はロボットの魅力を引き出し、魔力と戦わないといけない

昨日まで早稲田大学にて第37回日本ロボット学会学術講演会が開催されていました。その中のランチョンセミナーで1時間話をする機会を頂きましたので、話したかったことを補足します。

日本ロボット学会学術講演会とは

日本ロボット学会では、年に一回学会員などが集まり、4日間くらいに渡り、いわゆる学会が開催されます。研究者の方々が日頃の成果を発表したり、企業が展示を行ったり、一般向けにフォーラムやセミナーを行ったりもします。今年は結構ユニークな形で行われ、プレスカンファレンス巨大ガンダムプロジェクトのトークセッションなどもされていました。

その中で、(たぶん初の試みとして)ランチョンセミナーが企画されました。よく医学系の学会とかで開催されるお弁当が振舞われる中でセミナーが行われるやつですね。うちの会社は学会スポンサーでもあるので、セミナーの枠を頂きました。

基本は日頃の活動紹介

ランチョンセミナーなので、あまり学術的なことは触れず、基本的には日頃開発しているロボット関係の取組みを紹介しました。

「ベッドの一部が車いすに変形するロボット」や「病院などで薬剤を自動搬送するロボット」や「車いすによる移動を電動化・自動化する取組み」、などなど。

また、オープンイノベーションの仕組みとして作った「Robotics HUB」の活動とか、自己拡張を目的として活動を始めた「Aug Lab」とかも、活動の中身というよりかは、なぜそのような活動を行なっているのかということ中心に話をさせて頂きました。

ロボットを作ることが目的になってはいけない

事例などを通して一番言いたかったのは、特に企業でのロボット開発は、ロボットを作ることが目的化してはいけないということ。研究開発部門の場合には、開発が目的化してしまうことがあるかもしれないのですが、基本的にはお客さんが困っていることに対するソリューションを提供することを目的として、しっかり意識しないといけない。

これは当たり前のことなんだろうけど、ロボットには不思議な「魅力」というか、「魔力」があって、敢えて定期的に意識し直さないといけない。ロボットができて、目の前で動き始めたり、合体とか変形とかし始めると、とにかく、楽しい。これは間違いなく、ロボットの魅力です。特に、昔からアニメなどでロボットへの親和性が高い日本では、一気にのめり込んでしまう。その時に、「本当にそれってお客さんのお困り事の解決に繋がっているんだっけ?」と冷静に改めて考える必要があります。「そもそもロボット以外の方法で解決した方が良いのではないか?」「その動作は自動化する必要があるのか?」と、ロボットの魅力と戦う必要があります。

これを魔力と表現したのは、その力は思ったより強いから。実際に考え抜いたときに、ロボットでなくてはいけない理由に辿り付くケースは結構小さいものです。他のICTシステムの導入、専用治具の利用、仕事そのもののオペレーション改善などでかなりの点が改善されるケースが多いはずです。

お客さんはロボットが欲しいわけではありません。家で掃除する時間を減らしたい、人手不足を何とかしたい、と困っていることを解決したいのです。企業側が目的化するべきことは、サービスロボットを作ることではなく、ロボットを使うことでどんなサービスができるのかということ。

このことをしっかりと意識して、これからのロボット業界は進んでいくべきだと思っています。そのための知を集結、創造していく場が、ロボット学会になればよいなと思います。


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では、また来週。




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