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はじめての「角打ち」体験で新しいお酒の楽しみ方を知った話

はじめて、「角打ち」を体験しました!

角打ちとは、酒屋さんの店先で、買ったお酒をそのまま飲むことです。

酒屋さんの店先

角打ち(かくうち)とは

角打ち(かくうち)とは:酒屋さんの店先で、その店で買ったお酒をそのまま飲むこと。もともとは升の角から直接お酒を飲むことを「角打ち」と言い、そこから酒屋の隅で立ち呑みスタイルで飲むことを「角打ち」と呼ぶようになった。

ところで「角打ち」と聞くと、お酒に詳しいツウなおじさまたちがたしなんでおられるイメージがあると思うのですが、今回は女性だけのグループで「角打ち」体験をしてみました。

これが女性でも気軽に楽しめる新鮮な体験だったのでご紹介したいと思います。「角打ち」はじぶんのペースでサクッと飲めるので、じつは意外と今の時代にフィットした「お酒の飲み方」だと言えるかもしれません。

では、行ってみましょう!

日本酒の生産量第一位の都道府県は?

日本酒の生産量第一位の県は、なんとダントツで兵庫県なんだそうです。兵庫県に住んでおきながら、まさか一位だとは知りませんでした。もちろん「灘の酒」ってよく聞くなあとは思っていたのですが(そりゃそうでしょうよ)、一位はイメージ的に京都とか新潟かな、と思っていました。(京都は第二位、新潟は第三位)

その兵庫県のお酒の大半を造っているのが、兵庫県の神戸市〜西宮市にある「灘五郷(なだごごう)」という地域です。

清酒の生産量、販売量ともに断トツの日本一を誇る兵庫県。その大半を造り出すのが、神戸市東部の灘区から西宮市の甲子園球場辺りまでの海岸沿いに並ぶ「灘五郷」だ。
灘五郷は、西から西郷、御影郷、魚崎郷(以上、神戸市)、西宮郷、今津郷(以上、西宮市)と呼ばれる5つの地域の総称。「白鶴」「大関」「日本盛」「菊正宗」「剣菱」「沢の鶴」「白鹿」「白鷹」といった清酒ブランドの本拠地が点在する。

nippon.com より

灘五郷でたくさんお酒が造られるようになった理由は、「山田錦」という酒米の産地が近かったこと、六甲山からのミネラルたっぷりの「宮水」、そして冬に六甲山から吹き下ろす冷たい風(六甲おろし)の影響で寒造りに適していた、などの地形的な条件に恵まれていたことが挙げられます。(ちなみに神戸は温暖な印象があるかもしれませんが、本気の六甲おろしはめちゃくちゃ寒いです)

また、海沿いの灘五郷は流通拠点としても優れていました。「樽廻船(たるかいせん)」と呼ばれる船で各地へ運ばれた灘の酒は、杉樽で熟成されて香り高く、人気を博したそうです。

樽廻船(模型)

今回、はじめての「角打ち」体験で訪れたのはその灘五郷のうちのひとつ、「魚崎郷(うおざきごう)」にある酒屋さん、「濱田屋」さんです。

「地酒とワインの濱田屋」さん

今回は副業先の職場の同僚、20代〜50代の女性ばかり6名での「サクッと忘年会」を兼ねての集まりです。メンバーのなかにはお酒が強くて大好きなひともいれば、お酒はあまり強くはないけど好き、お酒はもともと大好きなんだけど最近あまり飲まなくなったひと(わたし)、ふだんはあまり飲まないけどちょっと飲んでみたいひとなど、いろいろです。

「角打ち」なら基本的に長居はできないし、じぶんのペースでお酒が飲めるのでいいかも、ということでこの場所での開催となりました。翌日出勤のひともいたので。

濱田屋さん

濱田屋さんは、灘五郷を中心にしたお酒(日本酒)と、ワインを扱う酒屋さんです。店主の濱田さんがオススメのお酒やワインを教えてくださいます。

「角打ち」ってどういうシステム?

「角打ち」ってどうすればいいのかな? と、最初は戸惑いますよね。でもわりとシンプルなシステムでした。レジに持っていって、お金を払って、店内の飲食スペースで飲む、という流れです。

濱田屋さんでは、お店のレジの近くにお酒コーナーがあって、ここから好きなお酒を選んでグラスに自分で注ぎ、レジに持って行ってお金を払うようになっていました。じぶんで注げるのがいいよね。

大きなグラスと小さなグラスがあって、大きなグラスでだいたい一合くらいでしょうか。小さなグラスの場合はこの瓶にかけられた値札から半額になります。

レジの周りには、ちょっとしたお酒のアテや、おばんざい、おでんなんかもあります。

なんだかどこもこれも魅力的ですよね。美味しそう。これらも、食べたいものがあればレジで会計します。

この、酒蔵パンが、クリームチーズが入っていてもっちりしてて最高でした。日本酒と同じ発酵方法を用いて、麹と、米と、小麦で作ってあるんですって。これが日本酒に合わないわけはないでしょう。しかも安い!

お会計が済んだら、お店の隅にあるイートイン(飲食)スペースに持って行き、いただきます。

今回わたしたちは6名だったので、奥にあるテーブル席を予約していました。グループでの利用の際は席の予約も可能だそうです。

ワインもたくさん

濱田屋さんは酒屋さんなので、ワインもたくさんあります。

ここでボトルを一本買って、それをみんなで飲むのもあり。楽しい〜。

店主にオススメしていただいたブルゴーニュの赤を乾杯用にいただきました。

では、乾杯です。

カンパーイ!

ひさびさの乾杯

乾杯のあとは、各自で!

みんなでワインで乾杯し、あらかじめ頼んでおいたお惣菜やお造りなどの分を(酔っ払う前に)割り勘にしたあとは、あとは各自のペースで飲み進めます。

これがね、ほんとうにいまの時代にちょうどいいなって思いました。

お酒が弱い人は、最初の乾杯ぶんをちびちびいただきながら、会話やおでんをたのしめばいい。

お酒が好きな人は、大きなグラスに好きなお酒をついできて自分でお金を払って、がっつり飲んでもいいのです。

わたしは最近お酒をあまり飲まなくなったけど、基本はお酒が好きなので、いろんな種類をちょっとずつ試してみたいタイプ。だから小さいグラスで、200円とか225円とかの金額で気になるお酒を研究気分で試していました。

最初にいただいたのは、「夜明け前」、長野県のお酒です。

文芸を学ぶ社会人大学生ならここはやはり「夜明け前」でしょう〜!

透き通った水みたいなスッキリとした味。「夜明け前が一番暗い」という言葉のように、ひんやりした夜明けの暗さを想像させます。好きかも。おいしい。さすがは島崎藤村、じゃなかった、小野酒造店さん。

次はやっぱり地元のお酒をいってみたくて、次は兵庫灘、しかもここ魚崎郷の浜福鶴にしました。

うん、しっかりとした辛口。六甲山伏流水、灘の地酒というだけありますね。こう、強くてミネラルっぽくてがっしりとした、船! って感じ。

そう、目を閉じると船、まるで目の前に大きな船が見えるかのようです。わはは、まだ酔ってませんよ、たぶん。楽しーい。

船、ドーン!

いろんなお酒があって、ワクワクします。気になるお酒があったら店主に話を聞いて、買って帰ってもいいのです。だってここは酒屋さんなのだから!

わたしはお正月用に、兵庫・明石のお酒、「来楽」を買って帰りました。フルーティなお酒だそうです。お花の酵母を使っている花乃蔵 アベリアというお酒(いちばん右端の赤いラベル)もありました。

わたしが選んだのはそのお隣の青いラベルの花乃蔵 月下美人。月下美人の花の酵母を使ったものだそうですが、月下美人だなんてどうやって集めるんでしょう。不思議。興味しんしんです。お正月が楽しみ。

茨木酒造 https://rairaku.jp/

「角打ち」は新しいお酒の楽しみ方かも

ほかのみんなは、めいめい、飲んだり、飲まなかったりしています。店内に売っているこだわり食材(カレーのレトルトなど)を買っている人もいました。

なんかすごくいいなあと思います。このマイペース感。

はじめにみんなで乾杯したら、あとはそれぞれじぶんのペースで。飲む量も使うお金もじぶんで決められる。これってすごくいいですよね。あまり飲まない人が損することもない。

その場所と時間を共有し、共通の話題で盛り上がりながらも、飲み方は自由。

なんか、新しいかも。角打ちってあんがい、コロナ後の世界にぴったりのニューノーマルなお酒の楽しみ方かもしれません。

コロナで変わったお酒の飲み方

じつはわたしが最近あまりお酒を飲まなくなったのは、やっぱりコロナの影響でした。コロナ渦のステイホームのとき、最初はずっと「家飲み」をしていたんです。でも家だとだんだんと飲む量が増えていって、体調にも影響し、「こりゃやばいな」と思ってお酒をやめようかと考え始めました。

でも、こういうときにお酒を飲むのは大好き! やめたくない! という機会はやっぱりあるじゃないですか、それがどんなときなのかをじぶんで考えてみたんです。それは次の3つの機会でした。

  1. イベントやパーティでひとと集まるとき

  2. 旅先で、その土地の地酒や地ビールで乾杯するとき

  3. ドレス(わたしの本業はドレス作家です)を納品したときにプハーッと

これってよく考えると、みんなコロナでやりにくくなったことばかりなんです。人と集まるのも、旅も、ウェディングドレスの仕事も。じゃあ、べつに飲まなくてもいっか。と思って、コロナ以降すっぱりと「お酒は好きだけど飲まなくてもいいソバーキュリアス(※)」になっていたわけです。

ソバーキュリアスとは:お酒を飲める人、または飲んでも問題ない人が「あえてお酒を飲まない」という選択をするライフスタイルのことを意味します。

沢の鶴「酒みづき」ウェブサイト

マイペースで飲めると好きなことの話ができる

でもこうやってやっぱり、ひとと集まって飲むのは楽しいものだなあと思いました。久しぶりに外でお酒を飲むので最初はちょっと心配もありましたけど、(何しろ最近は年に4〜5回くらいしか飲まないので)角打ちならじぶんのペースが保てて最高だと思いました。

それに、飲んでみて気がついたことがあるんです。みんな、じぶんのペースで楽しめると、会話のなかにいわゆる「仕事の愚痴」のようなものがぜんぜん出てこないのです。

そりゃあね、仕事だからいろいろあるわけじゃないですか。でもそれが不思議と出てこない。みんなめいめい、好きなことの話をしていました。好きな作家やアートや、推しの対象や、旅やグルメのはなし。たぶん、じぶんのパーソナルスペースやじぶんのペースがちゃんと守られていると、人は愚痴を言わなくなるんだな、と思いました。

でも、みんなで場を共有してゆるくつながっている。

「角打ち」、最高じゃないですか。これはまちがいなくコロナ後の新しい時代のお酒の楽しみ方のひとつです。

よい酒 よい友 よい人生

よい酒 よい友 よい人生! 

いい言葉です。

では、カンパーイ!


「はじめての角打ち体験」で、新しいお酒の楽しみ方を知った話でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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この街がすき

ドレスの仕立て屋タケチヒロミです。 日本各地の布をめぐる「いとへんの旅」を、大学院の研究としてすることになりました! 研究にはお金がかかります💦いただいたサポートはありがたく、研究の旅の費用に使わせていただきます!