【いとへんの旅】青森・南部裂織(さきおり)、そして「民芸」についてわたしが考えたこと。
日本各地の布や生地をめぐる「いとへんの旅」をしています。
青森県では、南部裂織(さきおり)工房「さきおりCHICKA」さんへお邪魔して、裂織の世界をのぞかせていただきました。
「さきおりCHICKA」 主宰の三好千佳さんに、裂織について教わってきました。裂織(さきおり)とは、その名前の通り、古い布を裂いて織った織物のことです。
かつては名もなき家庭の主婦の生活の工夫だった南部裂織は、こぎん刺しや南部の菱刺しと同様、昭和初期の民芸運動(※)によって発見され、注目されるようになりました。
そして現在。
もともとは再生させる技術であった「裂織」を、伝統の技法は守りながらも、こんなにカラフルで親しみやすいものに落としこまれたのは、やはり若い作家さんならではのアイデアとセンスだと思いました。
じつをいうとわたし、「民芸」って、ちょっと落ち着いていて、渋いイメージがあったのです。
でもこの「さきおりCHICKA」さんの南部裂織はカラフルで、いかにも民芸っぽくなくてかわいいと思いました。
なんでそんなこと言っているかというと、わたしより少し年上の方に、「布や衣装をめぐる旅をしているんです」というと「ああ、民芸の旅をしているのね。年齢を重ねるとそっちへ行くのよね」と言われて、ふと違和感を感じたからなんです。
民芸(民藝)運動とは
ただ、たしかに「民芸(民藝)」ということばは、こうして旅をしている時にも、民俗学や芸術論や文学などの学問を学ぶ上でも、たびたび引っかかってくるキーワードではあったのです。
なんかものすごくいい考え方ですよね。今まで埋れていた地方の民衆的な工芸品の美しさに目を向けたというのは間違いなく素晴らしいことです。なのにわたしが違和感を持つのはどうしてなのか。この違和感の正体を知りたいと思って、少し「民芸(民藝)」について調べてみることにしました。
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ドレスの仕立て屋タケチヒロミです。 日本各地の布をめぐる「いとへんの旅」を、大学院の研究としてすることになりました! 研究にはお金がかかります💦いただいたサポートはありがたく、研究の旅の費用に使わせていただきます!