見出し画像

契約書の基礎固め #3 契約書の整えかた

契約書の「基礎」を確認するための記事です。契約書についてこれから詳しくなりたい方はぜひ読んでください。重要なポイントが「一気に」学べます。

契約書の基礎を短時間で身につけたい人のために

「どこから学べばよいかわからない」「契約書がチェックできるようになりたいけど、読んで何が分かればいいのかもわからない」

といった疑問にこたえます。

本記事の内容

・契約書のテンプレート
・条項の基本的な構造

契約書の書式はこうなっている

契約書はある程度テンプレート化されています。インターネット上でも書式を探せばいくらでも出てきます。でも、自分でも構造を知っておいた方が応用が効くので便利ですよ。ポイントは以下の通りです。


タイトルに決まりはない

必ずタイトルをいれましょう。タイトルとは文書の先頭の、「契約書」とか「業務委託契約書」という部分です。なんと書けばよいか最初は迷いますが、実は決まりはありません。「契約書」と書いても「覚書」と書いても、効力に違いはないです。とはいえ、内容とあまりにもかけ離れたタイトルをつけると不便です。一般的に通用しやすいタイトルにしておきましょう。

前文もくわしく書いた方が良い

前文とは、契約書のタイトルと、最初の条文との間の、要約部分です。なくても契約が無効になるわけではありませんが、ここが具体的に書かれていた方が、契約の趣旨を間違いなく解釈できるためぜひ書いておきたいところです。

条文の構造

条文はご存知のとおり、第1条、第2条というように、条を単位にして箇条書きされます。条の中にも「項」で段落分けしたり、号で箇条書きしたりといった書き方があります。これらは書式を使っていれば迷いなく覚えてしまえると思います。


日付と署名欄

日付は忘れやすいので気を付けましょう。締結日を書きます。署名欄は、
住所、名称、肩書、氏名を書きます。当事者の名前を間違えないように、正確に書きましょう。住所も書くのはより特定性を高めるためです。住所などを省略されてしまうと、同姓同名の方が署名しても区別ができません。

書式の例

             〇〇契約書
第1条(目的)
 甲は、乙に対し、本契約の定めるところに従い甲の製造・販売する別紙記載の機械部品(以下「本件機械部品」という)を売り渡し、乙はこれを甲より買い受けるものとする。
第2条(商品の引渡)
 本件機械部品の引渡は、〇〇○年○月○日までに、乙の事業所にてなされるものとし、当該乙の事業所での受領をもって乙への引渡は完了する。
第3条(商品の検品)
 乙は、甲より本件機械部品の引渡を受けた後、本件機械部品に数量不足または直ちに発見できる瑕疵がある場合には、当該引渡後7日以内に甲に申出るものとする。甲は、かかる通知のあった瑕疵のある商品については、遅滞なく甲の費用をもって追加引渡または代替品の引渡を行う。
第4条(代金の支払)
本件機械部品の単価は、金○○○円(うち消費税額○○円)とし、特別の定めのない限り、荷造包装費、運賃、積み下ろし費用、保険料その他一切の費用を含むものとする。
2 乙は本件機械部品の代金を、当月末日締切、翌月月末支払(当該日が土曜・日曜、祝祭日等の休日となるときは、その後の最初の営業日)にて甲に支払うものとする。
3 前項の支払に際して、乙は甲からの請求に基づき、甲の指定する銀行口座に振り込む方法により支払うものとし、振込手数料がかかるときは、これを乙の負担とする。
第5条(協議解決)
本契約に定めなき事項または本契約の解釈につき疑義が生じた場合は、別途甲乙協議することにより、対応を検討するものとする。
以上、本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名捺印のうえ各1通を保有する。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
甲 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号
〇〇〇〇株式会社
代表取締役 〇 〇 〇 〇     印
乙 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号
〇〇〇〇株式会社
代表取締役 〇 〇 〇 〇     印


こまかいことですが、条文には見出しがついているとわかりやすいです。第〇条、と「条文番号」を書き、括弧書きで「見出し」を入れます。見出しは、厳密にこれでなければならないという決まりはありません。わかりやすければ何と書いてもよいです。ただしあまり特徴的なことを書くと、何か意図があってそうしたように思われるので、やはり見慣れた見出しが良いと思います。書式にあるものを変えずに使うとよいです。

もうひとつこまかい点ですが、「項」にも番号が振られます。ただ例外的に第1項にだけは番号(項番号)を振らないことが多いです。そのかわり第1項の行頭は空白をいれる(字下げする)ことが多いです。

まとめ

契約書の構造はある程度決まっています。基本的には書式を上書きして作成すれば問題ありません。でも基本的なことは知っておいたほうが、アレンジなどで応用がきかせられるようになります。

クイズ

「契約書」では責任が重いが、タイトルを「覚書」としておけば効力は弱いから気楽に締結できると考えてよいですか?

もしこの記事が少しでも「役に立ったな」「有益だな」と思っていただけましたら、サポートをご検討いただけますと大変嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。