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電子契約は難しくない!【クラウドサインもDocuSignも使ってみて思ったこと】

「電子契約ですか? 
たしかに便利そうだけど、
・・・今回は紙でやります。」


電子契約にまだ抵抗感がある方も多いと思います。契約は「相手のあること」なので、紙を想定している相手方の印象も考えると、あえて電子契約でなくてもいいかな、という気持ち、とてもよくわかります。

僕自身も「ぜったいに電子契約がいい」という派ではなく、むしろ内容によっては契約書は今でも「紙がいいな」と思っているくらいです。
ただ、使ってみるとやはり圧倒的に「楽」。なんといっても電子は楽なのです。あらがえない魅力があります。あくまでも契約の方式は手段。ようするに選択肢なのであって、ここは「紙と電子契約」両方使えるようになっておくのがベストではないでしょうか?

なあんてえらそうに言ってますが、僕もまだクラウドサインとDocuSign(ドキュサイン)しか使ったことはなく、浅い経験知しかありません。
それでもあえて結論します。ぜんぜん難しくはないのであなたも一度は使ってみましょう!


フリーランス、士業にもおすすめ

電子契約サービスはいまや多数あります。
電子契約サービスってそもそもなにか? (法的に正確な定義は各社の資料をお読みいただくとして)簡単にイメージでいうと、自分と相手との「間」に、所定の電子契約クラウドサービスを「挟む」ことで、このシステムにやりとりの正確な履歴がファイルとともに残ります。これにより、あたかも「立会人」の面前で両者がやりとりしたかのような状況をつくりあげ、めでたく「合意の記録を残せる」ようにしたしくみです。

そのようなサービスの大手である、クラウドサインもDocuSign(ドキュサイン)も、大企業向けのサービスだと思われますが、僕は個人やスモールビジネスにとっても、活用メリットが十分にある気がします。
たとえばフリーランスの方なら、お客さんからイラストや原稿、撮影のご依頼を受ける際の「お申込み書面」をつくって活用してみてはどうでしょう? あるいは士業の方なら「委任契約書や顧問契約書」などをメールでさらっとクライアントに送れますね。

使い方も簡単です。
ようするに書面をメールで送るのと、操作はほぼかわりません。メーラーではなく、各社のクラウドサービスにログインして、そこから宛先(メールアドレス)を指定して相手に書類(ファイル)を送るだけです。

なぜ利用を躊躇する人が多いのか?

そんなに「簡単」なら、なぜ躊躇する方がいるのでしょうか? 

電子契約に対しては、数年前は、法的な文脈(有効かどうかなど)を懸念する声が多く聞かれた記憶があります。ただ、その後の法改正や解釈の周知などが功を奏したのか、最近は法的課題ではなく、単に「やったことがないし相手がOKするか不安だから」というユーザビリティや、ブランド認知にシフトした印象です。

たしかに、電子契約は紙と違って、ようするに物理的な操作イメージが湧かないんですよね。(僕もそうでした。)

今や利用の「壁」の本質はおそらく、「その電子契約書とやらはどうやってつくるのか?」 が、まだイメージしにくいこと。
ちょっと大げさにいえばここは各社が、重要なユーザのインサイト(本音)を見落としているような気がしますね。あまりにも当たり前すぎて、かえって積極的に訴求できていないのかもしれません。

特にDocuSign(ドキュサイン)なんて、ウェブページ上の説明は「いかにも英語を直訳した」風の、かたい日本語が並んでいます。言葉って不思議で、直訳風の説明ってなんとなく「とっつきにくい」気分にさせるんですよね。

初心者って、電子契約にするには「なにか電子契約らしいもの」を特別につくらないといけない気がするものです。

もちろんそんな必要はありません。
いつもの自分で(つまり、Wordとかで)作った自作のファイルを、そのまま締結用のファイルとして使えます。ここが理解の分かれ道です! 電子契約といったって、自分で作れるんです。ただそれをアップロードして、指定したメールアドレスに送るだけのことだったのです。
どうでしょう。簡単に感じませんか?

電子契約書はシステム上でカスタマイズして完成させる

するどいあなたは、
「でも、署名欄はどうするの?」 
と思いますよね。

そうなんです! (ここが僕もイメージできなくて、少し抵抗がありました。)でも繰り返しになりますが簡単なことなので大丈夫です。つまり、ここでいう電子契約は、自分でつくった契約書等のファイルをまずアップしまして、そこへシステム(クラウドサインやらDocuSignやら)の画面上で、フィールドを貼り付けていくことでカスタマイズして、完成させるのです。アップしてからほんのひと手間加える感じですね。

「フィールド」というのは、契約の相手が、あなたから送信されてきた電子契約書に、任意に自分で「文字」(文字のほかにチェックボックスや手書き署名、ハンコの印影などのバリエーションもあります。)を入力できる部分のこと、ようするに相手に書き込んでもらうための「空欄」になる部分です。(なので電子契約したい契約書をつくるときは、あらかじめこのフィールドを設置するスペースをイメージしながら作っておくといいです。)

で、ファイルを送られた相手は、その空欄部分にたとえば自分の「氏名」なんかを入力できるわけです。フィールドを貼り付ける作業は、最初は「ほんの少しだけ」ですが、時間がかかると思います。ただそれが手間に感じられるのは慣れるまでのこと。
実際、この記事を書こうと思ってから僕は、自分の委任契約書をつかって実際にクラウドサインとDocuSign(ドキュサイン)の両方ともで、新規設定してみましたが、長く見積もってもそれぞれ「3分以内」で終わりました。

もちろん、この最初のカスタマイズ作業にかかる時間は「貼り付けるフィールドの数」とか複雑さによっても違うはずですが、契約書ならたいていは署名欄のところだけで済みます。クラウドサインとDocuSign(ドキュサイン)に関しては、ユーザインターフェースが良く、操作が直感的(マウスで書類の所定の位置にドラッグアンドドロップするだけ、みたいな操作)なので、まったく心配いりません。

コツ① フィールドは最小限にまとめるとよい

言いたいことはすべて言ってしまいました。最後にコツを3つ挙げて終わりたいと思います。
まずカスタマイズのときに、任意に入力してもらう「フィールド」を増やし過ぎてしまいますと、相手も入力が手間になると思います。なので、できれば、フィールドの数は必要最小限にするよう心がけるといいと思います。

相手は送られてきた契約書等の書類を、その「レイアウト」のまま読みます。そのため、たとえば「署名欄」が書類の「末尾」にあれば、(当たり前ですが)その場所までスクロールして、空欄を見つけて、署名などを書き込みます。

そのためもし、書面のあちこちに分散して「入力箇所」があると、おそらく「入力漏れ」が生じやすくなり、そうなると画面上で「次へ」を押して完了させたくても、前に進めない、といったつまづきのきっかけを与えてしまいます。(不慣れなときって、こういう地味なところで意外と手が止まるんですよね。)

これは僕だけかもしれないですが、フィールドのカスタマイズ作業は、最初は一回では終わらないかもしれません。一度自分でつくった契約書を、システム上にアップして、それからフィールドを貼り付けていくときになって、どうもしっくりこなくて、契約書のレイアウトを変えたくなるためです。

当初はフィールドを貼り付けることを想定しないで契約書を作ったために、たとえば余白がもう少し大きい方がいいかな? みたいな、ちょっとした編集をしたくなるのです。僕の場合はいったんシステム上からそのファイルを削除して、やり直しました(しかもこれを2回やりました笑)。やはり最初は一回、テスト用につくった書類をご自身のスマホ宛てに送信してみるなどして「予行演習」しましょう。

コツ② 相手に送る際のメールの文面は、丁寧に書くのがおすすめ

首尾よくシステム上で契約書ができて、フィールドの設定(署名欄などの相手方の入力欄の貼付け)もできたら、あとは指定したメールアドレスに「送信するだけ」で、契約締結依頼ができてしまいます。

そうです! 送信するだけなんです。

あの、ページ数を確認しながら製本したこと、契印忘れがないか、製本テープがシワなく貼れるか緊張したこと、印紙はいるのかどうか心配したこと、封筒を準備して郵送したこと・・・など数々の場面が胸に去来しますよね。そういうのが一切不要になってしまうわけです。楽で仕方ないですね。
送られた相手も、パソコンはもちろんスマホでも難なく入力、送信ができますから、本当に手軽に、あっという間に締結が完了します。

それでこの、相手に送る時のメールなのですが、システム側から送られるので、相手からすると少々、唐突というか、冷たい感じ、ぶっきらぼうに感じるかもしれません。というわけで、送信のみでも手続き上は可能ですが、せっかくコメントを入れることができますから、相手が不慣れな場合はできるだけ丁寧に書いた本文を添えた方が良い気がします。

長文にする必要はありませんが、相手にしてほしいアクションを具体的に書くのがいいと思います。たとえば、


「ご住所とお名前を入力する欄を設けてありますから、そちらへご入力の上、送信してください。それにより弊社との契約の締結が完了いたします。」


みたいな言葉が添えてあると、受け取った相手も安心かもしれません。

コツ③ 契約書の末尾に「記名押印」とあるが変えるべき?


僕も戸惑ったのですが、一般的に、契約書の末尾には、以下のような決まり文句が書かれています。

本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。

竹永行政書士事務所 契約書の末尾の表現

細かい表現は違いますが、だいたい意味はこのようなことが書いてあります。でもこれは紙の契約書にハンコを押すことが前提となっている表現です。先ほどから、電子契約書といっても「自分でつくったものでいいのだから簡単だ」と、何度も申し上げましたが、ではこういう文言は矛盾しないのでしょうか?

文例としては「本書」とあるところを「電磁的記録」といいかえます。また、「記名押印」は「電子署名」といいかえることで、意味が通るようになると考えられます。

つまり、

本契約締結の証として、本契約の電磁的記録を作成し、甲乙双方が電子署名のうえ、各自その電磁的記録を保有する。

竹永行政書士事務所 電子契約の場合の末尾の表現

のようにアレンジするとよいでしょう。


まとめ


電子契約サービスを使った契約締結はとても簡単です。そしてなにより、締結作業が飛躍的に楽になります。

全ての契約を電子契約で締結すべきとまでは考えていませんが、選択肢のひとつとして、使ってみることをおすすめします。

少しでもあなたの実務の参考になっていたら幸いです。


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