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契約書の基礎固め #7 民法改正に対応するには?

契約書の「基礎」を確認するための記事です。契約書についてこれから詳しくなりたい方はぜひ読んでください。重要なポイントが「一気に」学べます。

契約書の基礎を短時間で身につけたい人のために

「どこから学べばよいかわからない」「契約書がチェックできるようになりたいけど、読んで何が分かればいいのかもわからない」

といった疑問にこたえます。

本記事の内容

・民法改正とはなにか
・民法改正したら契約書も変えるのか

そもそも民法改正とは?

ここでいう民法改正というのは、2017年5月26日に、民法(債権法)の改正法案(改正民法)が成立し、新しい民法が2020年4月1日に施行されることです。この改正は、民法制定以来約120年ぶりに債権部分を抜本的に見直すもので、改正項目はなんと約200項目に及びます。


この民法改正の全体像は法務省のウェブサイトで全て調べられますので、気になったらこちらを閲覧しておきましょう。

・法務省ウェブサイト(民法の一部を改正する法律について)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html
 
・主な改正事項
http://www.moj.go.jp/content/001259612.pdf

契約書も変えるの?

さて民法が変わったら契約書も変わるのか、ですが、変わる部分もあります。なぜかというと、民法で用語が変わったところがあったり、新しいルールが決められたり、これまであったルールがあらためて条文になったりしたため、それに対応する契約書の条文も、影響を受けるからです。

たとえば改正民法では「瑕疵担保責任」という用語は廃止され、あらたに「契約不適合責任」となります。そこで従来の瑕疵担保責任条項は、文言の修正をする必要がでてくるのです。

Before
旧民法(570条)「(隠れた)瑕疵」=瑕疵担保責任
 ↓
After
新民法(562条)「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」=契約不適合責任


よりくわしくは別の記事に書きましたので、よかったら読んでみてください。ここでは、初心者向けに大まかな解説にします。

改正民法に対応した契約書にするには?

では改正民法に対応した契約書をつくりたいときはどうしたらいいでしょうか? 書式を使うとき、改正民法に対応しているかどうかを確かめると良いでしょう。現在、続々とあらたな書式が提案されていますので、参考にしましょう。

たとえば以下の業界団体が案内しているひな形などがあります。

(1)IPA情報処理推進機構 改正民法に対応した情報システム・モデル取引・契約書
 https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20191224.html
(2)建設業のための重要契約書式 国土交通省 建設工事標準請負契約書
 https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000663.html
(3)不動産業のための重要契約書式 国土交通省『賃貸住宅標準契約書』
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html

まとめ

民法が大きく変わったことを知っておき、2020年4月以降に使う契約書は、あたらしい書式を意識して使うようにしましょう。

クイズ

正しいものはどれですか

①民法が改正したので、2020年4月からはこれまでの契約書がすべて使えなくなる。
②民法が改正したので、瑕疵という用語が入っていると契約が無効になる。
③民法が改正したので、法定利率が変動制になり、当面は3%とされた。

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