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【わたしとTAKEFU vol.8】TAKEFUの伝道師


TAKEFUの伝道師

vol.8 TAKEFU Sales Partner H


今回は、通信販売の会社「プロ・アクティブ」に勤め、TAKEFUの商品をお客様に届けてくださっているHさんにお話をお伺いしました。 快活で、きっぷのいいフランクな雰囲気のあるHさんとは、TAKEFUの商品がまだわずかだった頃から、今も変わらないお付き合いでお世話になっております。 彼女とTAKEFUの繋がりは、TAKEFUの歴史そのものでもありました。

―TAKEFUに出会ったのはいつ頃ですか?―

H「2004年、だったと思うんですね。私が勤めるプロ・アクティブに、自然食品店のバイヤーさんが「なかなか説明が難しい商材があるんだ」と持ち込んでくださった、それが始まりです。その時TAKEFUにはまだ四角い物しかなかったと思います。ボディタオルとか、キッチンクロスとか。当然お客様に紹介するために使ってみますが、その前に相田社長にお会いしたんです。その時知った思いが…話を聞いていたらね?「モノづくりにおいて、クレームが出ないことを第一にしてない」って仰ったんですね。当時のTAKEFUって、縮んだりパイルが抜けたり、毛布を元気のいい子が蹴ったら穴が空いちゃったりとか、強度はまだ発展途上だったんだけど、その分ものすごく優しくて、未だに私も一番のお気に入りってくらい柔らかかったの。他の繊維を入れれば強度は高まるし、その方がクレームも出にくいけれど、「僕はTAKEFUじゃなきゃできないことしかやらない」と。それって商売の上では難しいこと。なんて凄い作り手なんだろう!って、開発者の相田さん自身に感動しました。ひとつ有名な話があって、荒川の土手のグライダーの話って知ってる?」


―お聞きしたいです。―

H「相田社長の信念として、「クレームが出ないことを第一にしない」ことと、あともうひとつ、「誰に届けるか?」ということが物凄く明確だったんですよ。そこでグライダーの話なんだけど、相田さんがTAKEFUの仕事を始める前、色々な商品開発をされていた時のこと。荒川の土手で、男の子たちがグライダーを飛ばして遊んでて、それを女の子がひとり、羨ましそうに見ていたんですって。

 相田さんが「どうして仲間に入らないの?」って聞いたら、「男の子の遊びだから」と返されたと。それを聞いて、女の子が楽しめるグライダーを作ってあげようと思ったみたい。で、どうしたらいいかな?と考えた時、その頃売られていた戦闘機とか飛行機とか、THE男の子的なものではなく、海の生き物が空を飛んでたら面白いと思いついて、それをあの女の子にプレゼントしたいと思った。でも、赤の他人で、届ける術がない。その時、土手のすぐ側にセブンイレブンがあって、子供たちがたくさん入っていくことに気付いた相田さんは、作ったキットをセブンイレブンの本社に売り込みに行ったんだって。

 凄いでしょ(笑)?もちろん最初は怪しい人だと思われたみたいだけど、たまたま担当の人が通りかかって、そこからトントン拍子に話が進み、なんと発売が決定したんですって!その後あのセブンイレブンから商品が減っているのを見て、あの女の子に届いたんだなって思ったと。そしたらそれが大ヒットしちゃって、関東以外の色々なところにも置きませんか?とセブンイレブン側から要請があったんだけど、「お腹が痛いです」とか仮病を使って断ったらしいの。普通なら大喜びするような話じゃない?でも、その女の子に届いたからもういいや、って。その話を聞いて、私は通販で商品を誰かに届けているけど、作り手の思い、祈りみたいなものが形になったものが“商品”なんだと、初めて気づいたの。もちろんTAKEFUも同じだから、その思いをちゃんと届けたいと思いましたね。TAKEFUを扱うことによって商いの心をもう一度学ばせてもらいました。」


―凄い話ですね。社長のふたつの信念は、今も変わっていないように感じます。商品についてはどう感じましたか?―

H「最初にTAKEFUのタオルを手にしたとき、柔らかくて、くにゃあって、生き物チックじゃない?それに例えばボディタオルを、頭やお腹が痛い時に巻いたり、緊張している時に肩に乗せたりすると、すごく落ち着いたのね。そこでこれは、タオルの形をしている「癒しの布」なんだ!と思ったの。当時は自然食品店さんとかで、“抗菌性”をメインにキッチンクロス等が販売されていたと思うんだけど、私たちはTAKEFUが持つ“癒し力”を中心に、お客様にお伝えしていくことに決めました。仕事をしていく上では、ただ便利に、とか、快適に、美味しい、楽しい、が優先されがちだけど、生まれたままの祈り?というかな。「人が最も痛み苦しむその時に」っていう、あのフレーズも最初にお聞きしていたので、これは傷に寄り添う——傷っていうのは体だけじゃなくて、心の傷や弱いところに寄り添ってくれるものだなぁと。」


TAKEFUのボディタオル

―それをきっかけに、TAKEFUの本質的な良さが広く知られていくのですね。―

H「だけど縮むしほつれるし、最初は大変だったんですよ!だから大量流通で管理されるところではなく、ちゃんとわかってくれる人に届けようと思ったのね。私自身使っていて、縮んだりほつれたりしても、相田さんの思いを知ってるから許せるじゃない?「あぁ、なんて気持ちいいの」という感覚を大切にできる。だから、これは相田さんのお話を聞いてもらわなきゃいけないと思って、2005年かな?初めてお話会を開いたのは多分、私だと思います。根本的なものを一緒に分かち合える方に届けたいなと思って始めました。」

―そうだったんですね!お話会は今や全国に渡り、TAKEFUをお届けする上で大切な方法になっています。物性が安定しないのは商品の優しさを保つためですし、深い理解が必要ですよね。―

H「TAKEFUに出会って何年か経ったときに、50代~70代をターゲットにした大きな通販会社があって、私はそこの読者さんにはいつ必要になってもおかしくない世代だし、TAKEFUを知っておいてほしいと本気で思ったから営業に行ったのね。それで契約して、紙面に掲載になったの。だけど、大会社だから品質管理が物凄く厳しくて。その時もうTシャツ等が出始めていたんだけど、今とは違って袖の長さが少しずれていたりもしたのね。商品として問題ないものだからナファさん側は完成品として出荷するけど、大会社側の基準における“A品”以外は納品できないの。私もナファさんで一枚ずつ検品をしていました。ナファさんではA品のものを、別の基準でB品に選別する。そうやって作業してると、A品の山と、B品の山ができてくるわけですよ。そしたらね、それを見た相田さんが、「僕はそんなところに営業に行ってくれなんて頼んだ覚えはない」と怒り出しちゃって。「僕が作った子たちに、合格も不合格もない、A品もB品もない!」と。自分が生んだ子に、この子は通知表1だとか、言われたら嫌じゃない?私が目の前で分けている姿を見て、居た堪れない気持ちになっただろうなと思うと申し訳なくて。」

―同じ志を持っていても、すれ違うことがあったのですね。実際、大手会社を通じなければTAKEFUに出会えない方もいらっしゃるでしょうし、難しいですね。―

H「もう、何回泣いて帰ったかって感じですよ。こんなに一生懸命やってるのに!って。でも社長の気持ちも分かるし、あの時点でTAKEFUができたことを考えると…。最近のTAKEFUはもう商品として完璧だから、身につけたり使ったりするだけでファンになるじゃない?“着ればわかる”状態。物性も安定したし、そういうところも踏まえてこの20年で物凄い進歩を遂げたと思う!」


必要な人になるべく多く届いてほしい、でも商品の純粋な良さは失ってはいけない。この両翼がどちらも無視できないものであることは明白です。

時にはぶつかりながらも、バランスを取りながら進んできたからこそ、今のTAKEFUがあるように感じました。

もしかしたらTAKEFUもグライダーのように何人かにだけ届いていたものが、Hさんのような方のご尽力があったからこそ多くの方に届くようになったのかなとも感じます。

今度はHさんの、TAKEFU利用者としての思い出をお聞きしました。

H「父が亡くなる前、普通のタオルケットを重いって感じるくらい体調が悪かったのね。その時ガーゼ三枚合わせの“慈布ケット”ができて、父にあげたら、軽くてあったかくてTAKEFU100%で肌触りも良いし、凄く安心だって言って亡くなるまでそれを身に付けていました。TAKEFUは新しい命のために用意するのも良いけれど、あちらに旅立つ時に寄り添ってもらうのって、物凄く幸せなことだと思うの。父もそのひとり。ついこの間もね、お孫さんが生まれた時、先天性の心臓病があって半年しか生きられないと宣告されたお客様がいたんです。それでも一生懸命看病されて、TAKEFUでくるんだりとか色々して、二歳まで頑張れたんだって。その子がライナスの毛布みたいに、いっつもいっつもTAKEFUのタオルの周りにいたと。本当に大好きなそのタオルをお棺に入れてあげたから、安心して旅立てたと思います、と言っていただきました。ちゃんと相田さんの思いを届けられたかもなぁと、そういう手紙を頂くと思いますね。」


―正に「人が最も痛み苦しむその時に」使っていただいたのですね。ワッチキャップも、療養中の方に多く使っていただいていますよね。―

H「ワッチキャップもね、昔私のお客様のひとりが、「抗がん剤を使っていてかつらをかぶらなければいけないけれど、ベビーソフトを内側に当てるとスゴく楽です」と仰ったのね。これはTAKEFUの行く道として絶対あると思って、その方を相田さんに紹介したことがあるの。15、6年前かな?その時にはなかなか難しかったけど、相田さんはずっとそれを必要だと思って下さっていて、ようやくできた。本当に良かったです。」


―そこにもHさんのお力が関わっていたのですね。先ほどからお話を聞いていて「こうすべきだ」と感じた時の行動力に凄みを感じます。―

H「圧が強め?笑」

―いえいえ。やるべきことを思いついても、実際に行動に移し、積極的に生きることができる人ばかりではないと思うのですが、原動力はどこにあるんですか?―

H「知ってしまった良いことを自分に留めておくのは悪だと思ってるんですよ。“良い”っていうのも自分軸だから、他人にとってどうかはわからないよ?でも私が素敵だなと思ったものを一人占めするっていうのは、申し訳ないと思いますね。仕事柄なのかな?通知表によく、“明るく積極的”とか、“おしゃべりが多い”とか書かれていたから、小さい頃からの性格かも(笑)。でもこれって凄いことじゃなくて、ただ物凄く単純で、自分で言うのもなんだけど、素直なの。アグレッシブと言うより、はっきりしてるのかも。私、自分がピンとこないとすんごい無口になるんです。それがバレバレなの。お付き合いで「良いですね」とか言うとバレちゃうから、言わないようにしてる(笑)。」

―力配分が上手いのですね(笑)。そんなHさんのオススメは真っ向から信じられそうです。“良い”と感じる基準はあるのでしょうか?―


H「切った貼ったの価値じゃない、生命力が湧き出るようなことがどれほど大切かっていうのは学んできましたね。私は健康で無頓着だったから、自然のものがどれほど良いか分かったのは年取ってから。父を見送ったり、子供が大きくなって孫が生まれたりとか、やっぱり生死とかっていうことを感じるようになるでしょう。そうなると本質的なことが好きになる。年ですよ、年(笑)。あと人生において、本質を大切にしている人と一緒にいたいって思いません?繋がっていたい。TAKEFU以外で力を入れた仕事も、そこは共通していますね。」

―お話を聞いて、頑固に純粋に商品の良さを守る社長がいて、そこを尊重しながらも実用面として“届ける”仕事に尽力されたHさんがいて、その切磋琢磨があったからこそ今のTAKEFUがあるように感じました。―

H「頑固さが岩をも通す…じゃないけど、相田社長には、地球にはこれが必要なんだって、一途な信念があるからここまできてる。開発者は頑固くらいじゃないとできないんですよ。」


―自分が生み出すものを信じ切っていないとできないですもんね。―

H「本当にね。竹って、風にたなびく葉っぱは繊細だけど、芯はしっかりしてるじゃないですか。相田さん見てると、正に両方だなぁって。その祈りが商品になってるわけだから、届ける人間も必要だし、そしてそのバトンを受け継ぐ人も必要だと思います。あとね、相田さんのものづくりのなかで、竹を植えてそれを収穫して繊維にして生地にしてお洋服にして販売して、って、その全部の循環の中で誰も搾取しないこと、誰も痛まないことを最初から考えていらっしゃって、それってなかなかできない世の中じゃないですか。ジーンズが1000円で売れるって絶対おかしいじゃない?大切なことをやるんだからちゃんと生活ができるように落としつつ回していくっていうことを考えてる。だからね、どんなにいいことでもボランティアだと続かないって私は思っていて、これが事業として成り立っていることに意味があると思います。」

―最後に、TAKEFUのこれからに期待することってありますか?―

H「医療現場とか、本当に困ってる人がためらえなく使えるようになればと思いますね。介護や、出産や、もちろん病気の時に、手に取りやすい感じで広がっていくといいな。何気なく使ったものが、これTAKEFUだったんだ!てなるくらい。あとは個人的に、最後死ぬときにはTAKEFUにくるまれて死にたいっていうのを遺言にしておきます!ガーゼのパジャマを着て、初期のタオルケットをかけてもらおうかな。」

このインタビュー中、社長やお客様やご家族など、ご自身以上に周りの方のお話を多くお聞きしました。 Hさん自身は快活で輝いていて、どちらかと言えば強い主人公のように見えるのですが、いつも周りを想って、そこに幸せを感じる優しさと余裕のある方なのかなと感じます。

そして素直で嘘が苦手だというHさん。 商品を購入する消費者側からしてみると、これ以上に“オススメ”をお聞きしたくなる方はいませんよね。

開発者がいれば、モノづくりをする人がいて、そしてそれをお客様に“届ける”プロがいる。 TAKEFUはそうやって別方向の色々な力があってここまで歩んできたことを実感しました。その過程の中には衝突や、大変なことも少なくなかったかと思いますが、そんな思い出も笑顔でスラスラ語るHさんはかっこよかったです。

いくら良い商品が存在しても、実際使っていただかないことには意味がありません。

大切な仕事をしている方の、真に迫ったお話でした。





インタビュアー・みー

1992年生まれ。ナファ生活研究所直営店 Shop of TAKEFU "eau" 勤務。趣味は宝塚観劇、旅行、食事、ラジオなど。 好きな季節は夏。最近は友達とマーダーミステリーというゲームをやる時間が楽しい。特にお気に入りのTAKEFU商品はソフトフィットインナー、スパッツ、バスタオル。



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