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「上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!」に学ぶ、正しいメクジラの立て方

恥ずかしながら、知った気になっていながら本当はまったく知らなかったなということのひとつにフェミニズムがあった。

そこに、例の東大の祝辞である。わたしはもちろん東大に入るような成績優秀者じゃなかったが、これまで子どもの頃からずっと感じてきた、女にしかわからない恐怖感や理不尽さなど、言葉にできない違和感の答えが、ようやく見つかった気がしたのだった。

そんなわたしが、書店でこの本を手に取らないわけはなく、読み進めていけばいくほど、ひざを打つ手が止まらなかった。

ああ、日本にはびこっている男女の不平等の根が深いことといったら!わたしたちのDNAに刷り込まれてしまっている…。男が気づかないだけでなく、女自身も気づいていないことにまで、「それ」は及んでいるのだ。

問題提起をした作品をイラストエッセイというかたちで紹介してきた漫画家の田房永子が生徒役となって、上野千鶴子と対談という形式で展開されていくこの本は、セクハラ、出産・育児、 母と娘、結婚や恋愛など、さまざまなかたちで手を変え品を変え姿をあらわすモヤモヤの正体を暴いていく。ああ、こんなところにも、そこから解き放たれるには、わたしたちが声をあげていくほかないのだと気づかされる。そして、「女性が活躍する社会」といわれてから久しく、なのに一向に輝けないわたしたちに必要な思想こそがフェミニズムなのだ。

蛇足だが、個人的には、フェミニズムってネーミング自体も変えたほうがいい気もする。本文中で田房氏も「フェミニズムです、といい出しづらい」といっているが、それって、男女同権という意味合いが伝わっていないからなのだと思う。ピッタリくる反対語すらないなんて、そこから考えないといけないかと思うと、フェミニズムへの道のりは思っている以上に長いのかもしれない。ということで、わたしはこの本を機に、この先も安心してメクジラを立てていこうと強く心に決めたのだった。

メクジラー成田

上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!
上野千鶴子・田房永子(大和書房)
http://www.daiwashobo.co.jp/book/b482126.html

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