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エッセイ/妹の誕生日プレゼントを買いに行く

今日、妹の誕生日プレゼントを買いに行く。
2歳違いの、仲の良い妹。
私が結婚して遠くに引っ越してから、妹と会えるのはせいぜい年に1回か2回。
お互いの生活が離れすぎて、遠くで暮らす妹が欲しいものは何なのか、何ならいらないのか、もうわからなくなってしまった。

妹の誕生日間近の週末。私は、急かされるようにして雑貨屋さんへ行く。
16Gのピアスがほしい。そうリクエストはもらったものの、ピアスをしない私は、16Gとやらがもうよくわからない。
目に入る、ちいさなパールがついた上品なピアスや、恐竜や食べ物をかたどったユーモアのあるピアス。
恐竜の骨格モチーフのチャームは、十中八九好きだろう。面白いもの好きの妹だから。
でも、だからこそ似たようなものをすでに持っているかもしれない。
一緒に暮らしていればそれとなくすでに持っているピアスのラインナップも教えてもらえただろうが、プレゼント選びにおいて、相手の今を知らないことは非常に不利だと思い知らされる。
妹の欲しいものがわからない。姉としての不甲斐なさに若干打ちひしがれながらも、なんとなく、妹が好きそうなものをひとつ手に取った。

そういえばあの子、癒しグッズが欲しいって言っていたっけ。店内をぶらぶらしながら思い出す。
仕事で相当疲れているみたい。レンジで温めて繰り返し使える、ふわふわ生地のホットアイマスクを買い物かごに入れた。

アイマスクやカイロなど、あったかグッズの近くをうろうろしていると、アロマのコーナーに目が止まった。
眠そうな羊のイラストが描いてあって可愛い、手のひらサイズのアロマスプレー。寝る前に身体や枕に吹きかけて使うとリラックス効果があるらしい。

私は迷わず、ラベンダーの香りを手に取った。
小学生の頃のクリスマスを思い出す。私たち姉妹はサンタさんから匂い袋入りのおそろいのぬいぐるみをもらった。
妹はラベンダーの香り。私はローズ。
私も妹ももらった自分のぬいぐるみの香りが気に入って、よく顔を近づけていた。

あの子、まだラベンダーの香り好きかな。
姉ちゃんはね、今でも、ローズの香り好きだよ。

そうやってさんざん悩んだ末になんとかレジに辿り着き、喫茶店で出てくるような緑色のクリームソーダのチャームが付いたピアス(おそらく16G)とホットアイマスク、それからラベンダーのアロマを、可愛らしいピンク色のラッピング袋に詰めてもらった。

ちなみに結局、ピアスの16Gというのは軸の太さのことで、よく売られているサイズだということを、スマホで調べて知った。

何を贈ったとしてもきっと、姉ちゃんからもらったものはなんでもうれしいと言ってくれる妹。
もうアラサーと言われる年齢の、だけどずっとかわいい私の妹。

プレゼントが妹に届くころ、おそらく連絡が来るだろう。
姉ちゃん、届いたよ、ビデオ通話で開封式しよう、って。
楽しみに待つことにしよう。

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