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エッセイ/カマンベールの重鎮感

カマンベールチーズを買った。切れてないタイプの、生協で、税込み約380円だったカマンベールチーズ。

カマンベールチーズが好きだ。外側の白いところの噛むとプチっとする食感も、中の黄色いところのとろとろ濃厚な味も。
夫と何かを半分こするとき、いつも夫に大きい方をあげる私が、この時ばかりはこっそり少し大きいほうをもらってしまうくらいに、カマンベールチーズが好きだ。
おつまみにして良し。料理に使って良し。アヒージョやトマト系洋風鍋の真ん中に据えたものなら、手抜き料理も一気に豪華な晩餐に姿を変える。
カマンベールチーズさん、さすがです。わが家の懐事情からすると決して安くはないけれど、何とも素晴らしいポテンシャル。

そんなふうにうやうやしく扱ってしまうから、わが家ではカマンベールチーズの出番はなかなかやってこない。
カマンベールのアヒージョにする?それともどーんとハンバーグにのっけちゃう?いや、いっそ調理しないでおつまみとして食べてしまおうか…いやいや、何だかもったいない気がする…。そうだ、ネットで「カマンベール レシピ」で検索をかけてみよう。
そんな風にして、大体1週間は使い道を考え続けているような気がする。

要するに、もったいぶりすぎてしまうのだ。
仕事で今日はいつもより疲れてる気がするから、贅沢してカマンベール!などと、なんとか理由をつけて、やっと食卓での再会が叶うこともしばしば。
あとは生理中でお腹が痛いとか、体調不良もごちそうを食べる良い免罪符になる。

そんなふうに美味しい食卓に思いを馳せたところで、ぼちぼちと今日が終わろうとしている。
今日も一日、仕事と帰宅後のあれこれをがんばった。家事は手抜きだけど、娘は笑顔だったから問題なし。
ふと思い立って冷蔵庫の扉を開けると、どっしり構えるカマンベールチーズ。
その重鎮感に、今日もこっそり癒されている。

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