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存在を証明できない私たち 〜見えないにおいと届かない声〜

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化学物質過敏症とその周囲の人々の声を集めています やわらかくやさしい語りを目指して 不定期更新(月2回ほどを予定) 集めていますといいつつ試験運用中なので、予告なく変更・停止・… もっと読む
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自己紹介 と お仕事について

こんにちは。武濤です。 都内で家族4人+猫3匹で暮らしています。 会社員をしながら趣味の創…

武濤
2か月前
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新連載「存在を証明できない私たち 〜見えないにおいと届かない声〜」はじめに

 小春日和に新宿を急いでいた。  平日といえども靖国通りの歩道はまるで大河のようで、四谷…

武濤
2か月前
10

『遠回りして辿り着いた場所は、旅の途中だった』存在を証明できない私たち#01

 新宿は、懐が深い。  雑多で猥雑で下卑ていて、優しい。  どんな人間が現れようともやんわ…

武濤
2か月前
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『泥中の蓮』存在を証明できない私たち#02

 寒さの残る早春だった。空には銀鼠色の雲が垂れ込め、今にも降り出しそうである。私はほんの…

武濤
2か月前
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「存在を証明できない私たち」補足

というか、X(旧Twitter)への連続ポスト転載。 たいしたことじゃないのですが、こんな気持ち…

武濤
2か月前
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『愛ゆえに無香料』存在を証明できない私たち#03

 福山くんと出会ったのは、一次創作の同人誌即売会だった。  展示場などに机を並べ、ストー…

武濤
2か月前
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『そこに闇があるのなら』存在を証明できない私たち#04

 濱田さんとは不思議な縁で知り合った。それを説明しようとすると一章を割かねばならない。そのため、まず不思議な縁とだけ書く。  年始に彼女の事務所の方向へ用事があって連絡すると、すぐに応じてくれて国立駅で待ち合わせることになった。濱田さんは、化学物質過敏症に特化した建築家である。  時間より早く着いてしまった私を心配し、会うなり「久しぶりに降りたら雰囲気が違ったわ」と仰る。 「何年も前に再開発計画が出たんだけど」と南を向き、「あっちの方に一橋大学があって、ビルが建ったら学園