ワキガの悩みと私 後編-ワキガ手術(剪除法)-

前編からの続き
……というわけで、私はワキガ手術を決意するのでした。

ワキガ治療は主に剪除法(皮弁法)ミラドライというものがあります。
剪除法は脇に穴を開け、そこから器具を通してアポクリン腺を切除するといった方法です。
対してミラドライは、強い熱を照射しアポクリン腺を破壊するといった方法であり、
切開するわけではないので傷跡が残りにくいというのが特徴です。

私が選択したのは剪除法でした。
当時他の人達が上げていたワキガ手術のレポートを読み、
剪除法の方が確実性が高いように感じたことや、
傷口が小さいとはいえ切開手術を親知らずの抜歯以外で経験した事がないため
実際に手術を受けてるときの感覚や術後の経過が
どういったものなのか興味が湧いたからです。
また、私が手術を受けたクリニックでは
仮にもし効果がなかった場合1年以内であれば
無料で再手術が可能という点も魅力的に感じました。
……というよりも、
やはり手術を受けたのに「中途半端にニオイが残りました」
では納得出来ないので、確実性のために
保証があるものを選んだ……といった方が正しいですね。

私が手術を受けたのは岩手県の盛岡市にある
タウン形成外科クリニック」というところです。
岩手県民の方にはテレビCMでお馴染みのところですね。
手術の1ヶ月前にカウンセリングを受け、その際に手術内容の説明もされました。
以下はその内容です。

・術後ニオイは約80%、汗は約50%カットされる
 (100%ではない)
・脇毛もほぼ生えなくなる
 (自分は元々脱毛してたのでほぼ問題なし)
・傷が完全に消えるのには2~3年かかる場合もある
・術後暫くは両脇が黒ずんだ状態になり、
    突っ張ったような感覚や盛り上がったような感覚があるが
    それらは徐々に治っていくとのこと
・術後5日間は両脇を固定するため肘から上の腕は動かせなくなる
・洗髪は自分でしてはいけない
・術後10日~2週間は重い物を持ち上げてはいけない
 (傷に影響する)
・一回り大きめの前開きの服
 (パーカー・介護用シャツなど)を用意しておく
 (両脇を開けなくなるため普通の服を脱ぎ着できなくなるため)

……といった内容でした。

色々と制約が多くありますが、
当日私は関東に引っ越す準備のために仕事を退職しており
すでに無職であったため、1ヶ月程度であれば特に問題無いと思い、
そのまま手術の予約を入れました。
ちなみに術後から回復まで1ヶ月という期間のため、
夏休みや冬休み、春休みなどの長期休暇の際に手術を受けに来る学生さんが多いようです。
社会人だとなかなか長期休暇は厳しいでしょうし、
そういう方にはミラドライの方がいいのかもしれませんね。

また剪除法での手術の大まかな説明も受けました。

・脇に穴を開けて、
 そこから器具を使ってアポクリン腺を除去していく
・縫合後、脇周辺に小さな穴をいくつか開ける
 (患部に血がたまらないようにするため)
・ロール(包帯を固く巻いたもの)を両脇に挟み固定する
・手術費用約26万円(内3万円程は予約金として支払い)


……といったものです。
手術費用26万円はなかなか痛い出費でしたが、
これでワキガの悩みから一生解放されるのであれば
決して高くはない金額かと思います。
また、場所によってはワキガ手術は保険適用で受ける事もできるようなのですが、
残念ながら当時私が調べた限りでは岩手にそのような病院は無かったため、
もし今後手術を検討するのであれば、
まずは保険適用で手術を受けられる病院が近くにないか
探してみるといいと思います。

そして1ヶ月後、手術の日を迎えます。
手術室に案内された後、
そのまま手術台の上で上半身裸になり、
タオルをかけながら手術台の上で仰向けのまま待機していました。
カーテンの向こうで手術担当の医師と看護師が話しているのを
ぼんやりと聞きながら待つ事15〜20分くらいでしょうか。
少し長く待たされたものの、かえってそれが手術の緊張をほぐし
程よくリラックスできたかなと思います。
ようやく医師と看護師の方々が来て、手術が始まりました。
まずは両脇の消毒後、
麻酔注射(これがなかなか痛い!)を数本ずつプツプツと打たれました。
その際、右脇は特に何も問題は無かったのですが、
左脇は麻酔直後から腕〜指先にかけての痺れが起きました。
その際プツンといった感覚があり、そのことを伝えたところ
「大丈夫、時期に治りますよ」とのことでした。
(実際に治りましたが痺れはしばらく続きました)

まずは右脇からワキガ手術開始です。
首を固定され、また顔をタオルで覆われていたため
手術の様子を見ることはできませんでしたが、
皮膚を切って強く引っ張る感触はありました。
引っ張っている感覚はおそらく傷口の縫合なのかな?と思います。
ちなみに麻酔のおかげで痛みは全くありませんでした。
その後脇にロールを縫い付け固定されました。
右脇の手術終了後、左脇も同様に行い、
その後肩を動かさないように胸元あたりまで包帯で巻かれました。

手術後、執刀してくださった医師に
「(アポクリン腺が)結構多い人だった」と言われ、
自分のことながらちょっと笑ってしまいました。
その後は看護師の補助のもと服を着せてもらいました。
退院時に痛み止めを処方され、痛みが極端に激しい時はすぐに来院してくださいと説明を受けました。
(あまりに痛い場合、患部に血がたまっている場合があり放っておくと皮膚が壊死してしまう恐れがあるため)
その後はそのまま電車に乗り帰宅しました。
片道100km……交通の便が悪いところが岩手の辛いところだなと思います。

・当日夜~3日目の午前中あたりまで
手術を受けたのは昼頃でしたが、夕方からは徐々に麻酔が切れ痛みが出てきました。
両脇を強く捻りながらつねられるような激しい痛みで、
痛み止めを飲んでも気休め程度といった感じでした。
脇を固定されているため腕の可動域も非常に狭く、
終日安静で過ごしていました。
……まあ、それでもNintendo Switchで痛みに耐えながら遊んでましたが……。
この痛みのピークは3日目の昼過ぎくらいに来て、その後は徐々に収まっていきました。
ちなみに濡らすのも厳禁のため入浴・洗身は不可能でした。(下半身~腹部までの洗浄は自分自身で可能です)
パジャマやシャツの着脱は母親に手伝ってもらっていました。
この点から見ても、一人暮らしであったり、夏場であれば
剪除法を受けるのは向いていないのかなと思います。

・3日目~5日目
手術の痛みはなくなりましたが、
今度は寝がえりを打てないことによる背中の痛みが激しくなりました。
母に度々背部をマッサージしてもらいましたが、ぼきぼきと音がなる程度には凝っていました。

また、5日目は経過観察のための通院日であり
クリニックへ行き経過報告をしました。
両脇の様子を確認していただいた後、特に問題なしということで
脇を固定していたロールを外してもらいました。
固定が外れたため腕の可動域はいくらか広くなりましたが、
動かす際に筋が突っ張るような感覚がありこれもなかなかの痛みでした。
看護師曰く「なるべく動かすことで徐々に痛みが和らいでいく」とのことでした。
その後消毒液と抗生物質の塗り薬、そしてガーゼを処方されました。
傷口は消毒液を塗った後に抗生物質を塗り、ガーゼ保護しテープで固定していました。

・5日目~10日目
筋が突っ張る痛みはありますが、とにかく元に戻るようになるべくこまめに肩を動かしていました。
そして固定が外れたため、頭を洗ったり着替えたりするのは
以前と問題なく行えるようになりました。
ただし勢いよく行うと突っ張りで痛くなるためゆっくり行っていました。
両脇の傷口の痛みはほぼありませんでしたが、
代わりに今度は肌にガーゼを固定しているテープによるかぶれに悩まされました。
また、脇から二の腕へと徐々に黄緑色の内出血の跡が下がってきました。

また、10日目も経過観察のためクリニックに行き、
傷口の状態を見てもらった後に抜糸を行いました。
抜糸はチクッとした痛みがありましたが問題なく耐えられる程度でした。
抜糸後も傷口は開いているように見えるものの、特に出血はなく、
看護師からは「徐々にくっついていく」と説明を受けました。

・11日目~17日目
その後も消毒&ガーゼ保護の患部処置を続けながら経過を見ていました。
両脇とも多少のつっぱり感はあるものの、
痛みはだいぶ軽減し背中に手を回せる程度には回復しました。
また傷口の様子ですが、右脇に比べ左脇の方が傷の回復は早いように感じました。
というより、左脇は麻酔時のあの痺れの件もあり回復が遅かったのかもしれません。
入浴や洗身も可能となりましたが、
患部の洗浄は優しく行うように指導されていたため
その通りに行なっていました。
傷口は水を掛けても特に沁みることもなく問題なく洗えましたが、
両腕についたガーゼ固定用のテープの粘着質がなかなか落ちなくて大変でした……。

17日目にまたクリニックへ行き経過観察を行い、
「あと約2週間ほどで傷が乾くと思うので.その時にまた来院するように」との説明を受けました。

・18日目~31日目
両腕の可動域は以前とほぼ変わりないレベルまで戻りました。
また動かした際の痛みはほぼ治まりましたが、つっぱり感は多少残っていました。
また、事前に説明を受けた通り脇の下が張るような感覚もあり黒ずんだような状態となりました。
傷口は左脇が24日目あたり、右は30日目あたりでほぼ塞がっていました。
右の方が回復が早く感じていましたが、傷が塞がるのは左脇のほうが早く、
これは恐らく右利きであり右腕を頻繁に動かしていたからなのかなと思います。

そして肝心のニオイに関してですが、
なんと汗をかいても気にならないレベルまで軽減されました。
事前の説明で約80%カットと言われていましたが、
十分に満足できるレベルであるように思います。
(流石に大汗をかいて放置するとほんのわずかに臭いますが、それでも人並以下の臭いかと思います)
また脇汗の量も確かに減り、元々多汗気味な体質でしたが、
脇よりも先に腕や首周りの方が汗をかいていると思うくらいには
脇汗の量は減りました。
また脇毛に関しては元々手術前の時点で細い毛が数本しか生えておらず、
手術中医師から「脇毛の毛根ほとんどないね」と言われるほどでしたが、
手術後からは完全に無毛と言い切っていいほど全く生えなくなりました。

31日目に再びクリニックにて経過観察を行い、
今後は処置も必要ないとのことで定期通院も終了となりました。
ただし幹部は半年間ほどは強く洗わない方がいいとのことでした。


……以上が私の受けたワキガ手術のレポートとなります。
現在は手術から約3年が経過しており、両腕の突っ張りもなく
何の問題もなく手術前と同じように生活しています。

脇のニオイがしなくなるだけで、精神的なプレッシャーからは圧倒的に解放されました。
ただひとつ少し残念なのが、右脇は綺麗に治ったのですが
左脇は薄らケロイド状の傷跡が残ってしまった事ですね。
手術跡は2〜3年掛けて綺麗になっていくとのことでしたが、
左脇は現状これ以上の変化はなさそうです。
とはいえ、そんなにグロテスクな傷跡でもなく
脇を露出する機会もほとんどないため特に気にはしていませんが、
傷跡が残る可能性をどこまで飲み込めるかも
剪除法を検討する際に考慮した方がいいかと思います。

これを読んでいる方でワキガに悩んでいる方がいましたら、
私は今後の人生も踏まえて是非受けた方が良いと自信を持ってオススメします。


もしこの内容が参考になりましたら、
お気持ち程度に投げ銭していただけると助かります。
(なくても大丈夫です)
ここまで読んでくださりありがとうございました。

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