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長詩:時

時が立っていく
時は立って
私たちはそれを愛でて
私たちはそれに殺される
立っていく時は
愛おしく
残酷に
伸びていく
時がまわるものとは
人間が勝手に決めたことである
時は本当はまわっていない

* *

時が経つ
という言葉がある
そう
時は経っていくものである
過ぎていくだけ
しかし
私たちは時が立って伸びていくのを見ることができる
しかし
私たちは誰もが時が完全に倒れるのを見れることは決してない

* *

ああ時よ
止まってくれないか
そう言っている間に
時は立っていく
すくすくと
時が死んだと枯れたと思っても
時は足元に芽吹いてすくっと立ち
伸びていく
これは人によっては絶望だろう
これは人によっては希望だろう
人によってはなんでもないことかもしれない
恐ろしいのは
時がないと感じること

* *

時が立っていく
死者の中にも時は恐ろしく立ち続けている
死んだ私たちは見れないが
時は細部に立つ
その腐った目に
そのつくられない血に
その骨に
その記憶に
おお!恐ろしい
だがこの上なく甘美だ

* *

時はすくすくと立っていくが
傾くことはある
私たちは恐怖に直面すると
時が傾いていくのを感じることができる
傾いて
傾いて
傾ききったと思う時
私たちは死に直面する

* *

立っていく時に対して
私たちは何ができるのだろうか
ただ見つめるだけなのか
時というものには誰も触れられない
傾いていく時を直すこともできない
見つめる以外にできることといえば
時の周りをまわるだけ
そう
だから
人は時をまわそうとするのだ
しかし
まわっているのは時ではない
まわっているのは他ならぬ私たちだ

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