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注文住宅の基本2 〜各ハウスメーカーの個人的評価〜

※あくまでも筆者の個人的な感覚値で各社の主力製品に対して評価をつけています。建てたい家、個人の価値観、製品ラインアップによって評価は変わるので、気になるハウスメーカーがあればご自身で話を聞きに行くことをおすすめします。

積水ハウス

ひとこと:高コストだが、安心・安定感抜群
特徴:総合力の高さ
主力製品:イズ・シリーズ(軽量鉄骨+外壁ダインコンクリート)
その他製品(1):ビー・シリーズ(軽量鉄骨+外壁エコルデックウォール)
その他製品(2):シャーウッド(木造- 木造軸組構法)
その他製品(3):ビエナ(重量鉄骨)
デザイン性 ★★★★     技術・品質 ★★★★★  コスト ★★

デザイン性
天井高の窓サッシ、大開口&吹き抜け、フルフラットバルコニーベランダなど、全体的にデザインの自由度は高い。また、デザインの基本としてメーターモジュールを採用しています(一般的な工務店であれば尺モジュールが基本)ここ数十年で日本人の体高いデザインの自由度がありも可能。メーターモジュールを採用することで廊下の曲がり角や階段、トイレなどの幅が約7cm広くなり、動きやすさを実現します(一方で、尺モジュールと比較するとより面積を要するというデメリットもあります)また、高強度・高耐久性能と美しいデザイン性を兼ね備えたダインコンクリートの外壁(鉄骨住宅のみ)、および焼き物の豊かな質感が特徴のベルバーンの外壁(木造住宅のみ)も人気です。

技術・
品質
戸建住宅専業メーカーの大手として技術・品質は安定していて好評です。制振システムのシーカスなども採用していて、耐震性も十分備わっています。技術・品質の評判は賃貸住宅市場にも見られ、積水ハウスの賃貸住宅である「シャーメゾン」も消費者にとても人気が高いです。木造も鉄骨も両方ラインアップがあり、両方とも技術力・品質は高いですが、あえていうとより歴史の長い鉄骨住宅の方がより定番とも言えるかと思います。

コスト
ダインコンクリートを使ったフラグシップのイズ・シリーズは高級ですが、戸建住宅専業の大手メーカーとして幅広いラインアップを揃えており、コストも同様に幅があります。鉄骨と木造の比率はおよそ半々と言われており、木造のシャーウッドの方が鉄骨より少し安くなります。設備も様々なグレードのものがあり、選ぶもの次第ではコストを抑えられます。

ダイワハウス

ひとこと:コスパ重視の鉄骨大手
特徴:「天井の高い家」
主力製品:XevoΣ(ジーヴォ シグマ)(軽量鉄骨)
その他製品(1):GranWood(木造- 木造軸組構法)
その他製品(2):skye(重量鉄骨)
デザイン性 ★★★      技術・品質 ★★★★  コスト ★★★

デザイン性
「天井の高い家」のCMでもブランドを打ち出している通り、強靭な構造体により、最大2.72mの天井高(鉄骨メーカーの中では高い方)や、3m45cmの窓を2枚連続で設置可能な大空間・大開口を売りにしており、提案の中にも盛り込まれることが多いです。こだわれば色々とデザイン性の高いものも選ぶことができますが、コストを抑えることを目指す場合、設備には若干建売住宅感を人によっては感じてしまう部分があるかもしれません。また、技術的には天井高が可能であったとしても、土地の特性や斜線制限によって実質的な高さの制約が出てくることがあります。

技術・品質
ダイワハウスは戸建住宅以外にも高層マンションや商業施設・事業施設などの事業も手がけており(売上高でいうと戸建住宅以外の事業の方が大きいい)、鉄骨メーカー大手として技術・品質は問題なく高いと言えます。

コスト
ハウスメーカーの中では提示する値引き幅が大きく、鉄骨の家をコスパ重視で建てたい人にとっては検討すると良いメーカーです。ZEH、環境取り組みにも力を入れており、太陽光やエネファーム、蓄電池の導入を推進するために、他社と比べると安く提供している印象がありました。

旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)

ひとこと:都市型住宅ならヘーベル
特徴:「ヘーベルコンクリート(ALC)」、都市型の屋上付きの家
主力製品:CUBICなど(軽量鉄骨+外壁ALC)、FREXなど(重量鉄骨+外壁ALC)
デザイン性 ★★★   技術・品質 ★★★★  コスト ★★

デザイン性
外壁はヘーベルコンクリートしかないため、外観の見た目はある程度固定されます。また、標準の天井高が2.4mであり、一般的な2.5-2.6mの天井高と比べるとやや低いです。一方で、都市型住宅を意識した設計が多く、狭い土地でも屋上や吹き抜け、中庭などといった要素を追加した空間の広がりを見せるなど、狭い面積を工夫してデザインする提案は多く見られます。

技術・
品質
代名詞となっているヘーベルコンクリート(ALC; Autoclaved Lightweight aerated concrete 軽量気泡コンクリート)を使った鉄筋コンクリート住宅が特徴。軽量性、高強度、耐火性、耐久性、寸法安定性、遮音性、断熱性、調湿性の性能が高く、外壁として「都市の鎧」の役割を担います。建物が密集する都市部において、火災や地震から身を守るという観点で災害に強い家というイメージを前面に打ち出している鉄骨メーカーです。

コスト
都市型住宅を求める人に多く選ばれるため、屋上付きの3階建て(=重量鉄骨)などが多く、郊外の2階建て(=軽量鉄骨)が主力の会社と比較すると平均坪単価は高くなってきます。一方で、重量鉄骨同士、軽量鉄骨同士で比べると積水ハウスと似たような価格帯になってきます。他メーカーと比べると値引きは相対的に少ないです。

住友林業

ひとこと:木の温もりを感じながら住む
特徴:「木の家」
主力製品:My Forest BF (木造- ビッグフレーム構法)
その他製品:My Forest MB (木造- マルチバランス構法)
デザイン性 ★★★★  技術・品質 ★★★★  コスト ★★

デザイン性
耐力壁などの面で支える2x4などのメーカーと比べ、住友林業のビッグフレーム構法は柱で支えるため、構造を支える柱や壁が少なくて済むという特徴があります。そのため、最大7.1mの大開口なども可能であり、デザイン性の自由度はかなり高いと言えます。木のプロフェッショナルであるだけあって、木質感を前面に出したデザインに強く、家の木材と合わせた家具なども提案することができます。


技術・
品質
住友林業は高層鉄骨ビルなどにも使われるラーメン構造をベースに、独自の木質梁勝ちラーメン構造である「ビッグフレーム構法」で有名な木造住宅メーカーです。また、構造躯体と防水を最長で60年間保証するシステムもあります。
マルチバランス構法など、ビッグフレーム構法以外のラインアップもありますが、大半の人がビッグフレーム構法を選択し、それが売りでもあるので、住友林業を選択する際はビッグフレームで基本的に検討することがおすすめです。

コスト
木造メーカーの中では相対的に高級ブランド的な位置付けとなります。一方で、自由設計ではなくなりますが、Forest Selection BF(フォレストセレクションBF)と呼ばれるシリーズがあり、1,000パターンの決められた間取りの中から選択することで技術・品質を妥協せずにローコストで家を建てることもできます。

ミサワホーム

ひとこと:スキップフロアのワクワク感
特徴:「蔵のある家」
主力製品:木質パネル系の製品 (木造- 木質パネル接着工法)
その他主要製品:MJウッド(木造- 木造軸組構法)
デザイン性 ★★★★ 技術・品質 ★★★★  コスト ★★

デザイン性
建てる家の大きさを制限する要素の一つとして容積率がありますが、小屋裏収納は容積率の計算面積から除外することができます(直下床面積の2分の1、および天井高1,400mmの場合;その他諸条件あり)。この小屋裏収納を最大限に生かす形で設計をするのがミサワホームの「蔵のある家」です。その結果、ミサワホームの間取りの提案は他社と比較すると独創的なものが多く、ワクワクします(他社に同じ提案が技術的にできないというわけではないですが、ミサワホームはこの特徴的な提案を売りにしています)。
具体的には、スキップフロアと呼ばれる部屋や区画ごとに異なる高さを設定する間取りを設け、1.5階を設けたり、天井を高くしたり、小屋裏収納を設けて収納スペースを増やしたりするような設計を得意としてます。
空間を最大化するという意味では長けており、ワクワク要素を家に求める人には向いているかもしれませんが、段差と一緒に暮らす、および家の間取りが複雑になるため施工費が増えるという特徴があることは理解しておきましょう。

技術・構法
ミサワホームは木質パネル接着工法が特徴的な、「面で支える」木造住宅メーカーとして知られています。また、南極の昭和基地の建設に貢献していることでも有名です。建物を構成する木質パネルは工場で生産され、組み立て作業も複雑ではないため、均一で安定した品質を提供することができます。また、3.5mの高天井や吹き抜けなど縦方向の設計に強いです。木質パネル以外にも、木造軸組構法のMJウッドや鉄骨住宅も商品ラインアップにはありますが、そこまでしてミサワホームを選ぶメリットがあまりないので、ミサワホームで検討する場合は木質パネル一択でしょう

コスト
全く同じ間取りの家を建設する場合、積水ハウス・旭化成ホームズ・住友林業などと比較した場合、コストは相対的に安くなります。しかし、ミサワホームを選ぶ人は「蔵のある家」のコンセプトに惹かれ、より間取りに凝る(=構造的により複雑で施工費も高い)ことも多いため総額は他社見積もりとあまり変わらない、といったケースもよく見られます。なので、積水ハウス・旭化成ホームズ・住友林業などと同じ価格でより凝った設計の家が建てられる、という風に捉えるのが良いかと思います。

三井ホーム

ひとこと:家が魔法瓶のような断熱性
特徴:高断熱・高気密(全館空調、屋根断熱)の家
主力製品:ラングレーなど(木造- プレミアムモノコック構法)
その他主要製品:ルーカスなど(木造- プレミアムモノコック構法)
デザイン性 ★★★ 技術・品質 ★★★★ コスト ★★

デザイン性
ルール化されているツーバイフォー構法に則って設計がされるため、間取りの自由度という観点では他ツーバイフォー構法のハウスメーカーと大きな差はありません。ただ、屋根材の断熱性が優れており、屋根裏部屋やロフトなども快適な温度設定が保ちやすいため、そうした空間の使い勝手は格段によくなります断熱性を生かした全館空調の採用比率も高いです。三井ホームとしても屋根裏部屋・ロフト、全館空調を積極的に提案する傾向があります。

技術・構法
三井ホームはプレミアムモノコック工法を用いた木造住宅を売りにしています。系統としてはツーバイフォー構法(枠組壁構法)、また、断熱性(特に屋根材)が優れていることが特徴です。魔法瓶のような作りになっていることから室内の熱が外に逃げず、三井ホームの家の屋根の上の雪だけがなかなか溶けない、とまで言われています(そのため、降雪地域では屋根材の使用に制限がかかることもある)。そして、その断熱性を生かし、ルームエアコン1台で実現できる全館空調システム「スマートブリーズ ワン」を導入することもできます(40坪以下の住宅が対象)。

コスト
ツーバイフォー構法を採用するハウスメーカーの中では高品質・高級ブランドのメーカーに位置づけられます。花粉症などのアレルギーを抱えている人や、普段からあまり窓を開ける習慣がない人には三井ホームの断熱性はありがたいですが、普段から窓を開けて生活する人にとっては高い金額を払ってまで三井ホームを選ぶメリットは薄いかもしれません。

一条工務店

ひとこと:オリジナル住宅設備の提供で高品質・低コスト実現
特徴:住宅設備も含めた内製化、全館床暖房
主力製品:アイ・スマート(木造- ツーバイフォー構法)
その他主要製品:セゾンなど(木造- ツーバイフォー構法)
デザイン性 ★★ 技術・品質 ★★★★ コスト ★★★★

デザイン性
ルール化されているツーバイフォー構法に則って設計がされるため、間取りの自由度という観点では他ツーバイフォー構法のハウスメーカーと大きな差はありません。しかし、一条工務店で家を建てる場合、住宅設備は基本的に一条工務店がグループで開発・生産しているオリジナル製品から選ぶことになります。モデルハウス仕様が 「標準仕様」と謳っている通り、モデルハウスで見る住宅設備が全て標準価格に含まれており、設備のグレードもそれなりに良いものを提供しています。しかし、オリジナル製品の縛りがあるがゆえに設備に関して特定のこだわりがある人にとって設備の面でのデザインの自由度は低いと言えます。そのため、一条工務店を検討の場合はモデルハウスを見学し、嗜好が合うかどうか確かめることが推奨されます。

技術・構法
一条工務店はツーバイフォー構法(枠組壁構法を用いた木造住宅が主力商品となります。「家は、性能。」というスローガンを掲げ、たくさんの実大実験を通して蓄積された技術は評価されており、特に断熱性と全館床暖房に定評があります。

コスト
住宅設備を含め、自社グループで全て開発・生産を内製化しているため、高品質なものを比較的低価格で提供しています。また、他社で行われる価格交渉・値下げも基本的にはなく、大変わかりやすい料金設定となっています。

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