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被害企業による”厳罰化”、是か非か?

 最近のニュースで企業側の対応が変わってきたな…という内容が増えてきたと思います。その典型が

これも該当ということになりますね。

 この厳罰化の流れって集約すると以下の通りじゃないのかな?と思いますね。

  1. 厳罰化やむなし、という支持や否定的に見る人々の減少

  2. 日本が経済的に厳しい中、企業もこうしたことで起こる損害が見過ごせなくなった

  3. 客側の自制が、以前よりなくなっている

  4. インターネットやSNSの発達により、ローカルで済んでた案件も簡単に拡散して全国化する

  5. 不満を抱える層が、常に”叩いても良し”というネタを探している

細かくあげればもっと出てきますが、ずっとネット上で見てきた反応や事件の内容・背景を見ているとこれらが多いと感じています。

 まず、1については確実に流れとしてあると感じていますね。数年位前だと、こうした処置をとったとしたら…

わかりますけど、そこまで厳しく…ねえ?

といった反応がまだ強かったのでは?と思う。

 しかし、コロナで何かと我慢や抑制という状況が続く中で飲食業に勤めている人たちは特にそうでしょうが、こうしたトラブルに対してかなりストレスを感じていたはず。売上はあげないといけない、でもお客が来る可能性が低い。そういったプレッシャーが、特にこうした広汎な客層を相手しなければいけない企業にとっては悩ましいところだったでしょうし。

 そのため、

どこまで、こちらが我慢しなきゃならないんだ?

というストレスを理解・共感する人たちがこの3年の間で増えたのでしょうね。

 続いて2については、経済成長をしてない日本のジリ貧も関係しているでしょう。コロナの影響で飲食業は特に打撃を受け、お客というパイが少ない中で来てもらうことのハードルが高い。今回のチェーン店の場合、個人商店とは違って評判に対する影響が拡散しやすいので見過ごせないと判断したのでしょう。

 実際、株価は下落。ネットでも汚いだろうから行かない、と飲食においての取り返しのつかないダメージを負いつつあった。こうした流れを見たら、時間との勝負であることは過去の事例でも知っているでしょう。だから、店舗内の備品完全洗浄という大規模な手段でもって可能性はゼロです、とアピールしなければならなくなった。こういうコストの事を、加害者となってしまったくだんの子には全く理解できないでしょうね。

 最後の方は3とも共通しますが、未成年であっただけにこうした分別や自制が利かなかったのは想像はつく。当人たちだけが大悪人という訳ではないが、企業の思惑や社会背景という今の環境による結末だ、というに過ぎない。

 ちょっとばかり興味深かったのは、今回の事で

お客様は神様ではない

というのがハッキリしたこと。これは良かったと思っています。高度成長期なら、ドンドン右肩上がりなのでAというトコじゃなくてもBという選択が取れた。だから企業側も、拡大するつもりがあるなら包括的に取り込む必要もあった。でも、今は客の奪い合いだけではなく

企業価値を上げるお客

に絞り込む必要がある。このあたりの変化がわからないと、ああいう

俺は客なんだぞ

という人がいまだ出てくる。こういう人たちは、今だとなぜ自分がそういう態度で追い出されてしまうのも分からないのでしょうね。

 そして何より残念であり、やはりなと思ったのが4です。皮肉にも寿司のチェーン店で起きたのと同然に

ネタにしたつもりが自分がネタに

なってしまった。あっという間に特定・拡散。こうした履歴はネット上に半永久的に残るので、人生としてもいきなり十字架背負ったのも同然。ここに関してだけは、いかに当人が愚行だったとしても行きすぎです。

 それが、5ということ。これは不満を実社会で抱えている人たちの

ガス抜きの対象

になってしまったのですよね。以前だと、法整備が追い付いていなかったので著名人や目立つ人に対する

誹謗中傷

も事実上野放しになっていた。しかし、情報開示請求による特定など、法整備が進んだせいで今後そういうことはハイリスクへと転化。確実にガス抜きできる手段は絞られつつある。そのうちの一つが、コレなのです。

 私としては、こうした状況を見る限り今回の事は

厳罰化という企業姿勢は理解できる

のでやむなしという考えですが…

ネットリンチは厳しく取り締まるべき

という意見です。

 彼の場合、刑事告訴という流れであれば犯罪者となりかねませんがまだ前段階にすぎません。民事であれば犯罪者ではない。にもかかわらず、さらし行為にあってしまった。こういうところも、ブレーキをきかせる法整備が必要になってくるのでは?とみています。
いぢょー。


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