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森田正馬「夏は暑く人前は緊張するもの」

あがり症など対人恐怖症や強迫性障害などに対する療法である、森田療法の創始者、森田正馬は次のように言いました。

「・・・人為的の工夫によって、随意に自己を支配しようとすることは、思うままにサイコロの目を出し、鴨川の水を上に押し流そうとするようなものである。思う通りにならないで、いたずらに煩悶を増し、力及ばないで、いたずらに苦痛に耐えなくなるのは当然のことである。それなら自然とは何であるか。夏暑くて、冬寒いのは自然である。暑さを感じないようにしたい。寒いと思わないようになりたいというのは、人為的であってそのあるがままに服従し、これに耐えるのが自然である」

これは昭和初期に森田が書いた文章でありちょっと読みづらい所もありますが、概ね理解していただけるのではないでしょうか。

これは、すなわちあがり症の方が緊張することはあってはならないと考え、否定することへの問いかけです。

自然に湧き上がる不安や恐怖などの感情を抑え込もうとすることは、自然の摂理に反した不自然なことであり人為的なことではないだろうかということです。

緊張は緊張するしかないし、不安は不安でどうしようもありません。

その自然な感情を否定して抑え込もうとする、そのあり方が逆に緊張や不安を増長させているのです。


私もいろいろやったものです。

試合前のボクサーのように気持ちを強く持って緊張場面に臨んでみたり、

緊張することなど考えないようにしようなどと他のことを考えようとしたり、

聴衆のことをジャガイモだなどと強く自分に言い聞かせたり、

呼吸法などやろうとしてみたり、

いやー、ことごとく無駄というか逆効果でしたね。

かえってあがっている自分に意識を向けさせ、あがりを強くさせるだけでした。

私は知らなかったのです。

自分の弱さ、不完全さを認めることこそが本当の強さであることに。


この世の真実は逆説的なことが多いです。

溺れないようにもがけばもがくほど溺れてしまうが、水の流れに身をまかすことで逆に身が浮かぶ。

二宮金次郎も逆説的に言っています。

たらいの水を自分のほうに引き寄せようとすると水は向こうに逃げていく。

相手にあげようと押すと壁に跳ね返って此方に返ってくる。

あがらないように、緊張することがばれないようにとすると却って緊張してしまう。

緊張してもいい、緊張していると受け入れることで、かえって緊張が和らいでいく。

いったい我々の努力は何なんでしょう?

目指すべきことは自分自身への執着から離れ、その時々のあるがままになりきることにこそあります。

不安な時は不安になり、作業をしている時はその作業に集中する。

あがるならあがるしかない。

その時々のものごとになりきることで、自分自身への執着から解き放たれていくのです。

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