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夫婦で早朝カメラウォークをするようになった話〜ホシハジロ私設応援団結成〜

我々夫婦は、長い間、夜型生活だ。近くに夙川(兵庫県西宮市にある川)があり、散歩道としては絶好なのに、妻はあまり散歩に行きたがらなかった。
二人共、原則、在宅勤務ということもあり、ほとんど外出することがない。

ところが、この数日前から一変した。今日はその話を書いてみる。


2024年1月30日・ホシハジロと出会う

私(夫)は、カメラが好きだ。
仕事で撮影することもあるので、まあ、機材はある程度は揃っている。野鳥も撮ることは撮ったが、撮影しやすいカルガモやコサギなどが多かった。

時々、カワセミが撮れて、それだけで満足していた。

そんなある日。夕方にカメラをもって夙川を散歩していた。2024年1月30日のことである。
時間もあるので、浜辺まで夙川を南下していた。その時、夙川でよく見かけるカルガモの集団と出会った。

ところが、カルガモ集団がざわついている。どうも、一羽、ちがう種類のカモがまじっているようだった。

それが、この子だ。

後で、アプリで検索すると「ホシハジロ」であることがわかった。

珍しいなあ、と思いながら、シャッターを切った。
どうも、この子は、カルガモの集団に近づこうとしていて、警戒されているようだった。何となく、表情が悲しげに見えた。

帰宅して、Appleの「写真」に入れる。そうすると、自動的に鳥の種類を教えてくれる。

「ホシハジロ」という種類らしい。
え?絶滅危惧種?渡り鳥?

・・・もしかして、仲間からはぐれたのかな?

そんなことを、妻に話してみた。

妻、ホシハジロに同情する

この話を聞いて、妻から意外な反応が返ってきた。普段、全く野鳥とかに興味がない(私が撮影に行くのに付き合う程度)妻が、

「ホシハジロ・・・かわいそう」

と言い始めた。

いやいや。。。確かに、仲間と合流してくれたらいいなあ、とは思うけれど・・・自然界のことだしなあ。。。と思っていたら、いきなり

「明日の朝、ホシハジロの応援に行く!」

と言い出した。残念ながら、翌日の朝は私が仕事で外出予定のため、2月1日の朝、早起きして夙川に行くことになった。

「応援って何するの?」

みなさん、そう思いましたよね? 実は義父からも同じ質問がありました。

張り切った妻は、「明日、朝からホシハジロの応援をしに行く!」とLINEで義父母(妻の両親)に報告。熱心に、ネット情報をもとに、ホシハジロの習性や状況を説明。

そもそも、我々夫婦は二人共在宅ワークなのでいつも朝はゆっくり起きる。ところが、就業時刻に間に合うように朝の散歩から帰ってくるには、普段よりもかなり早く起きなければならない。正直、睡眠を重視する妻がそんなことで早起きするとは思えなかった。

何がそんなに妻の心に響いたのかわからないけれども、

「見届けなければいけない」

という気分になったらしい。

2021年2月1日朝。

二人でカメラをそれぞれ持って夙川へ。
途中、カワセミと出会い、その撮影をしていたら、時間がかなり経ってしまった。

カワセミ

始業時刻に間に合うように帰ろうと思った矢先だった。

ホシハジロのつがいに出会う

ホシハジロのつがい。右上がオス、左下がメス。瞳の色が違うので区別できる。

「ああ、オスと合流できたのだな」

と一瞬思ったのだが、どうも、以前見たメスとは顔が違う!
撮影してきた写真を見比べても、やはり毛色というか、表情が微妙に違う。

残念ながら、違う個体だと認定

単純にホシハジロを見たいというわけではない。はぐれていたロンリー・ホシハジロを応援することが目的なのだ。まだ「見届けなければならない」という妻の目的は達成されていない。

妻、ロンリー・ホシハジロに出会う

翌2月2日はあいにくの雨。その日は朝散歩はやめた。
妻が「雨かあ・・・」と残念そうにしていたのが印象的だった。

普段、在宅のためあまり天気予報を気にしないのだけれども、久しぶりに週間天気予報をよく見る生活となる。

2月3日は寒いけれども、晴れた。土曜日だ。
普段なら、土日は平日以上にゆっくり起きるのに、妻はスパッと起きていた。

この日は、非常に多くの野鳥と出会えた。そして、ついに・・・

目的のホシハジロとの遭遇

ロンリー・ホシハジロを撮影しながら、一生懸命、応援する妻の背中
この子が、探していたホシハジロ

目的のホシハジロとも出会えた。

めでたしめでたし。

と思っていたら・・・

ミッションは終わっていない。(らしい)

妻曰く、「(ロンリー・ホシハジロが)仲間と合流するまでが応援だ」とのこと。

う〜ん。。それ、達成されたかどうかってどうやって我々は検証できるのだろうか?

仲間に合流していたら、もうここには居ないのではないかと思うし、居ないからといって合流できたとは限らない。

当然、そのことは妻もわかっているのだが、毎朝早起きして夙川を散歩するのが楽しくなったようだった。いろいろな野鳥を観察できることも。

現在、カワセミとの遭遇率100%

今回の朝の習慣となった散歩でわかったことがある。

それは、妻が、カワセミを見つけるのがうまい、ということだ。
私が気づかないのに、「あそこにいる」とスッと見つける。そのおかげもあって、現在、毎日カワセミと出会っている。

カワセミ(メス)

また、毎日出会うカメラ愛好家(野鳥愛好家)の方ともおしゃべりすることも増えてきた。

実は、お店の店員さん以外で、地元の人と話すことなど、滅多にない。

「おはようございます」

この挨拶だけでも、心が洗われる。

本日、2月9日。本日も二人で朝散歩に出掛けてきた。やはりカワセミと出会えた。

しかし、

あれ以降、ホシハジロとは出会えていない。

幸せになってくれていたらいいのだけれど。

キンクロハジロには出会った。しかし、怪我をしていて、昨日・今日と、陸でうずくまっている。

どうしたらいいのか気になり、自治体の森林管理の部署に電話してみたが、「もうしわけないのですが、野鳥は自然のまま手を加えないのが原則で、我々にもどうしようもないのです」とのこと。

何が原因かわからないが、人為的でないことだけは願う。

その電話の内容を妻に伝えたら、目が真っ赤になっていた。
せめて、辛かろうとも、行ける限り毎日キンクロハジロに会いに行くことになった。

ミッションは続く。

時々、ゴミは拾おうと思った。
こんなに自然豊かな川だが、空き缶やお菓子の袋、タバコの吸い殻など、ゴミが多い。条例で禁止されているのを知らずに河原でタバコを吸う人もいる。

私たちにできることなど、些細なことだが、この朝の散歩が心地よいものとして続けていけるために、できることはあるはずだ。

何日続くか分からないけれど、妻が結成した「ホシハジロ私設応援団」は時々目的を変えながらも、これからも続けていこうと思っている。

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