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能ある鷹は爪を隠す

メディアが報じない自衛隊の実力

 「能ある鷹は爪を隠す。」という諺がある。
 これは
   優れた能力のある者はそれを
   無駄にひけらかしたりしない
ということのたとえである。
 
 日本の自衛隊の実力、つまり対戦能力は世界的に見てもかなり高いらしい。
 ところが自衛隊は、中国のように他国に対して建造した空母をひけらかしたり、大量に作った航空機や艦船を使って周辺諸国に示威行動をしたりするなどして、ことさら軍備をアピールするようなことはしない。
 まあ「専守防衛」という縛りもあるのだろうが、能ある鷹は爪を隠しているのである。

 また日本は悪しき憲法の縛りもあって、いまだに「自衛隊」という言葉でごまかしたままであるが、世界的にみればれっきとした軍隊である。
 そして国内は、先の大戦後の自虐史観で歪められたメディアやその論調に引きずられた世論によって
   軍備イコール悪
という空気に支配されている。
 しかし最後に国を守るのは、どこの国でも軍隊である。
 平和を守る最後の砦は軍隊である。

 そうであれば、その実力は高いに越したことはなく、高ければ高いほど他国にとって脅威となり、それが平和をもたらす。
     腕っぷしの強い子供がいじめられないのと一緒だ。 
 子供でも分かるそんな理屈が通らないのが今の日本の言論空間であるが、そんなことはさておき、平和を守るためにも自衛隊の真の実力を知っておくことは大切である。

 ただどこの国でも国防に関することは、国家の最重要機密であるため、国民がその詳細についてそう簡単に分かるはずもないという一面もある。
 しかし今や情報の時代で、ミリオタなど自衛隊員もビックリするほど詳しい人も少なからずいる。
 またSNSなどあらゆる情報網を駆使すれば、ある程度自衛隊の実力というものも垣間見える。

 今日は、自衛隊の真の実力の一端を、私が知っている範囲で陸・海・空ごとに少し紹介したい。
  
 現在、航空自衛隊とまともに戦える軍隊はアメリカ空軍だけしかないと言われている。
 そしてパイロットの練度、つまり人的能力はむしろ航空自衛隊が上だとか・・・
 それを証明するエピソードがある。
 過去に自衛隊のパイロットが米軍との合同演習においてF104Jという古い戦闘機を使い、最近まで主力であったF15という戦闘機を撃墜判定したことがあるらしい。
 これがどんなに凄いことかと言えば、F15はこれまで実戦で一度も撃墜されたことがないからだ。
 しかもそれを撃墜(判定)したのが時代遅れの戦闘機に乗る日本人だったからだ。

 またF16というさらに新型の機体に乗る米軍パイロットが、F15に乗る航空自衛隊のパイロットと模擬空戦訓練を実施したところ、予想では圧倒的に優位になるばずだったF16がなぜかそのF15と互角だったらしい。

 これらのことに驚愕した米軍はすぐにその原因を調査したが、最終的に出した結論は
   パイロットの技量で一世代分の
   ハンデは消える
というものだった。
 つまり、どんなに敵の機体が新しくても技量の優れたパイロットだったら古い機体でも戦えるということである。
 いかに日本の航空自衛隊のパイロットの練度が高いか証明したようなものだった。

このような青年が日本を守っている。

 先の大戦においても、日本のゼロ戦搭乗員の技量は極めて高く、緒戦において無類の強さを発揮した。
 特に開戦前は
   日本人などまともに
   飛行機も飛ばせない
となめきっていたアメリカ軍にとって、ゼロ戦は信じられない存在だったらしく、その心魂を寒からしめた。
 ゼロ戦のあまりの強さに、当初アメリカ軍はパイロットに対して
   ゼロと会ったら逃げろ
と命じていたという嘘のような話がある。
    戦争中なのに敵と会ったら戦わずに逃げろとまで言うほどだから、どれほどゼロ戦を畏怖していたかよく分かる。

 しかし最終的には、物量で押し寄せてきた米軍に抗しきれず、ベテランパイロットの消耗も重なり、さらにはその育成も遅れて航空優勢を保てなくなった。
 ただ我が国のパイロットは、敵の数に臆することなく、その士気は最後まで高かった。

 なんのことはない。
 過去も現在も、パイロットの実力は日本のほうが上だった。

「大空の侍」を著した有名なゼロ戦パイロット
故坂井三郎氏

 そのようなパイロットと世界最高のアメリカ製の戦闘機を保有する現在の自衛隊が弱いわけがない。
 おまけに日米同盟という世界一強固な軍事同盟もあって、まさに鬼に金棒だ。
 そう簡単に日本に手出しはできないはずだ。
 ロシア空軍に至っては
   自衛隊機を相手にする時は
   3機であたれ
と指示しているらしい。
 中国と並んで日本に対する領空侵犯だけは得意なロシアだが、いざとなると戦いたくないらしい。
 それでいい・・・。
 「寄らば切るぞ!」 こそ真の専守防衛だ。

 次に海上自衛隊であるが、なんといっても日本は回りを海に囲まれた海洋国家であり、その広い海域を守るために、開国以来海軍の育成にはことのほか熱心だった。

 特に日露戦争において、当時世界最高の海軍と称されていたロシアのバルチック艦隊をほぼ壊滅させた日本海海戦は有名である。
 その時も、当時の司令官東郷平八郎をして
   100発100中の砲一門は
   100発1中の砲100門に優る
と言わしめたほど、その艦隊砲兵の練度は極めて高く、この練度の高さが日本軍の強さの秘密とも言えた。
 この海戦が、当時欧米列強による植民地支配で塗炭の苦しみを味わっていたアジア・アフリカ諸国をどれだけ勇気づけたことか。

旗艦「三笠」に立つ東郷平八郎司令官


 現在世界の海軍力でも、数の優劣はさておきその実力では、日本の海上自衛隊はアメリカ海軍についで第2位と言われている。
 むしろ2位以下全ての海軍力を合わせても、米軍の半分にも届かないらしい。
 かつてはイギリスが
   七つの海を支配する国
   イギリスは日の没する
   ところがない国
と言われたほど世界の覇権を握っていたが、現在はそれがアメリカに取って代わられた。
 ただ最近はその覇権を少しずつ中国が蝕もうとしているが、実際の戦力を考慮すればアメリカの足元にも及ばないだろう。
    なにせ中国は、近代的な海戦の経験が一度もない国である。

 海での戦いというものは、日露戦争当時の
   大艦巨砲主義
つまり、戦艦同士の戦いで雌雄を決するという時代から、先の大戦時の
   航空主兵主義
つまり、航空母艦から発艦した航空機が敵の艦隊や陸上基地を叩くという時代を経て、現在は航空主兵主義をとりつつも、その前提となる
   潜水艦戦
つまり、海中から敵の行動はいかに早く察知するかという戦いが極めて重要になってきている。

今日も日本の海のどこかで・・・

 特に前述のとおり日本は四方を海で囲まれた国であるから、潜水艦の役割りは極めて高い。
 ある意味日本の平和は、常時隠密行動で警戒している潜水艦部隊によって守られていると言っても過言ではない。

 日本の海上自衛隊の潜水艦部隊も、航空自衛隊に負けず劣らずその練度が高いらしく、現時点でアメリカ海軍と合同演習ができるほどの実力を有しているのは、日本の海上自衛隊くらいらしい。

 しかしここでも憲法の縛りで、日本は他の先進国が保有している原子力潜水艦を持っていないが、そこはモノづくり国家日本である。
 日本は原子力潜水艦を上回るような性能の通常型潜水艦を保有しており、潜水艦の重要な性能である潜航深度と静粛性では世界一と言われている。

 その性能を生かして、過去には米軍との合同演習(リムパック)で、アメリカ空母打撃群という世界最強の戦闘ユニットの防衛網を突破して、その中心的存在である空母を撃沈した判定を何度も出しているらしい。
 アメリカも内心は
   日本が味方でよかった
と思っているはずだ。

世界最強の日本の潜水艦

 最後に陸上自衛隊についても触れておきたい。
 日本は大陸国家と違って、回りを海に囲まれた海洋国家であるため、他国からの侵入に一次的に対処するのは、海上自衛隊か航空自衛隊ということになる。
 したがって、陸上自衛隊がその先頭に立って戦うというシチュエーションとなれば、戦争としては最悪の事態になっているということになる。

 おまけに航空自衛隊や海上自衛隊と違って、人間そのものが最終的な戦闘単位となるため、最も危険な部隊かもしれない。
 先の大戦でも我が国の陸軍は、個々の武器弾薬や食料・水などを携行して歩くという歩兵が主な組織構成の最も過酷な兵科だった。
 このため、経済力にものを言わせて機械化が進んでいた米軍組織には最初からかなう術もなかったのである。

 ただ現在は戦車や各種戦闘車両も充実し、ミサイル防衛システムにも力を入れるなど、昔とはイメージも違ってきているように思う。
 しかしそれでも最終的には肉弾戦となることも想定される最もリアルな戦闘部隊であることに変わりはない。

 陸上自衛隊で特筆すべき対戦能力を保有している部隊のひとつが戦車部隊だ。
 アメリカのヤキマという演習場で行われたNATOの戦車射撃競技会があった時に、日本の陸上自衛隊部隊もオブザーバーとして参加したことがあるらしい。
 その時陸上自衛隊は90式戦車という戦車で参加したそうだが、この戦車は全ターゲットのうちミスはひとつだけで、並み居る欧米の部隊に大差をつけて優勝した。
 ところがその夜のレセプションであった表彰式の時に90式戦車の乗っていたクルーたちに笑顔はなかった。
 このため他国の軍人がその訳を聞いたところ
   1発はずしたのが残念だ
と悔しがっていたそうだ。
 これを聞いた他国の戦車クルーたちは
   クレイジーだ
   100発100中の戦車を相手
   には絶対戦いたくない
と会場にいた記者にこぼしたという。

陸上自衛隊の戦車の雄姿

 先の大戦においても、その末期(というか終戦になってからてあるが)において、占守島という千島列島最北端の孤島に配置されていた
   士魂部隊
という戦車部隊の死闘がなければ、北海道は今頃ロシア領になっていたかもしれない。
 あまりにも多くの日本人が知らなすぎる戦史である。  

 また陸上自衛隊に求められているのは、なにも対戦能力だけではなく、災害派遣やPKOによる国際派遣など多岐にわたる。
 ここでも陸上自衛隊は、被災地や海外の派遣地において住民から感謝されているが、日本のマスコミはなぜか彼らが称賛される姿を伝えようとしないのである。
 自衛隊は世界で唯一、隊員数より救った命のほうが多い武装組織とも言われているほどなのにである。

東日本大震災現場にて
PKO派遣部隊

 このように自衛隊という組織は、軍隊本来の持つ対戦能力でも優れているばかりでなく、国際貢献という点から見ても他国の軍隊と比較して飛びぬけた実績を有している稀有な組織である。

 前述のとおり、日本のメディアは、なぜか彼らのことを高く評価するということをしないが、ここではあえてそれを批判せず評価したいと思う。
 なぜなら、自衛隊の真の実力を隠すためのカモフラージュとして役立っているからだ。
 メディアもたまにはいい仕事をするものだ。
 やはり能ある鷹は、いざという時のためだけに爪は隠しておいたほうがいいだろう。
 

 

   
   
      
    

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