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ドラゴンビューティー

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どこか「未来っぽいもの」 その種になりそうなもの。
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明日の風を纏う バスローブ

ケメコは、 忙しかった今日一日を、 振り返りつつ、粒子をシャワーで洗い流す。 外の世界でカラダに着いた様々な粒子、 ・あの人の顔色 ・あの瞬間の認識のズレ ・言葉にならないザワツキ 外の世界には、 様々な粒子がたくさん漂っているから、 それをシャワーで流す。 カラダに残し、纏うものと、 カラダから洗い流し、脱ぎ捨てるものに、 より分けて、 自分を 調える。 ケメコはシャワールームから出ると、 籠に用意しておいたバスローブを、 フワリと羽織った。 「 ん? 」

あのとき、森が揺れていたような…、

BGM用 YouTubeの画面が映し出す、 森の樹々の映像から、 なんだか風が吹いたような気がして、 すっかり忘れていたあの空気を想い出した。 過ぎ去った過去は、消えたのではなく、 バラバラな粒子となって、 どこかで風に舞っているのかも知れない。 あれは、中学生の頃だったかなぁ、 ある日、登校すると、 美術の教科書に載っている様々な絵画が、 長い廊下にたくさん貼り出されていて、 100枚ぐらいあっただろうか…、 朧げにしか覚えていない。 そのたくさんの絵の中で、 どの

穴に落ちて「シアワセ」という店を探している

自分を探していたら穴に落ちた。 ヘッドホンで、 ジェファーソン・エアプレイン聴いてたから、 穴に気づかなかったのかも知れない。 それ以来、 わたしは穴の中の街を彷徨って、 シアワセという店を探していたの。 でも、探しても、探しても、 なかなか、 シアワセという店は見つからないの。 似たような名前のお店を見つける度に、 何か手掛かりがあるかも知れないと思って、 入ってはみるの。 ある時、 「夢」というお店を見つけて入ってみたわ、 「夢」の扉を開けると、廊下があるの。

それは白髪じゃなくってホワイトラビット

そう言えば、 今年はウサギ年だからなのかなぁ〜、 ときどきホワイトラビットが、 私の周辺で飛び跳ねるんです、 ピョン ピョン ピョ〜〜ンって。 ところで、 ホワイトラビットって何で白いんだろう〜? もちろん毛が白いからホワイトラビットなんだけど、 でもそれって、白髪なのかなぁ〜? な〜んて、 たわいもない事を考えるのもどこか楽しい、 もうすぐ春な天気の良い日曜日です。 でもねぇ、 そういう時に跳ねたりするんですよねぇ〜、 ウサギって。 とつぜん、 「 白髪が出て

家族鉄道999にアナウンスが流れる 

自分の居場所を探して、 地球上空を旅する列車、 「家族鉄道999」は、 地上約9,000メートルの高さを、 マッハ2のスピードで、 ユーラシア大陸を通過していた。 列車が大陸の東に差し掛かかり、 高度を下げ、緩やかに減速を始めると、 前方のスクリーンでは、 車掌の挨拶が始まった。 その姿は、 地域による家族制度の影響がミックスされ、 性別、年齢、国籍、宗教、を織り込んだ、 まるで多様性の向こう側に住む、 宇宙人にも見えた。 車掌はこのエリアで降りる乗客に向け、 アナ

大門のガーファンクルにコンドルは飛んでゆく

水曜、予定のない午後3時、 普段なら、あまり降りない駅、 大門に降り立った、 コンドルが舞い降りるように。 まだ世間の退社時間には早いから、 この時間から開いてる店を探す。 ぐるりと360度、山の上から、 獲物を探すコンドルのように。 店先から上がる煙に、 コンドルは狙いを定めた。 焼き鳥で有名な秋田屋である。 昔から、その存在は知ってはいたが、 これまでチャンスがなかった。 「仕留めるなら、今だ!」 コンドルは翼をたたみ、 秋田屋の暖簾をくぐった。 ※ まず、中

心に溜まったクラゲを消す

もし、時間に少し余裕があるとして、 たとえば予定のない午後3時、 その時間を、 ある程度リスクなく、失敗のない消費として、 楽しむ映画 と、 その時間を、 将来、何に繋がるか分からないけれど、 少しリスクを掛け投資して観る映画 どちらも選択できますよね。 確かに、 毎日頭を使い続け、 細かい感情に対応し続けるほど、 無限の力を持つ頭じゃないなら、 コーヒータイムのように休憩したいだろうし、 かと言って、 毎日こんなもの見ていていいのか? 意味があるのか?という、

春を呼ぶ 呪文

北陸の2月はまだ寒い、 上空にシベリア冬将軍が、 陣取っている。 春を探しているケメコは、 どこかに春が顔を出してはいないかと、 近所をくまなく探したが見つからなかった。 春は中々顔を出さず、 寒い日が続いた。 ケメコは、 冬将軍の寒さを堪えて、セーター編んでみた。 ちゃんこ鍋に誘って、一緒につついてみた。 けれど、冬将軍はおいとまするどころか、 上空に居座っていた。 ※ 2月14日、バレンタインデー、 巷では、 チョコが、トレンドに入った。 ケメコは、トレンド

秘密基地という名の「ぬか床」

「も〜すぐ 春ですね!」っていう出だしの、 歌があったなぁ…。 春は、お引越しも増えるでしょうね。 ふと思った、 いや、なんか違うなぁ…、 匂った…、 それとも、よぎった…? ぐらいの感じかなぁ…。 風のように、気配はあれど、 まだ、形になっていないもの、 恐らく、形にはなりそうにないもの、 それが置ける場所ってないかなぁ〜、 しかも、かさばらずに…。 ところで、 その手のものって、何だろう? 暮らしの中の「その他」かな? 押入れの奥の、 整理してないコレクション

案ずるより横山やすし

私は妖怪を飼っている。 しかも妖怪はコンビだ。 街を歩いていると、 ときどき良さげなお店を見つけるが、 「えいヤァ!」と、 気軽に入れないお店がある。 裏路地にあって、 何だか面白そうだけれど、 ちょっと清潔感が気になる店とか。 すると、あいつが出てくる。 わたしが迷うと顔を出す、 大きな目玉の主、 妖怪:「きよし」 またの名を「躊躇」 「きよし」はしっかり者で、 あまり新しい冒険を好まない。 混乱が起きないように、 内部をいつもしっかり固めて、 キチンと清潔に暮ら

オススメの末期医療

ちょいと、キーワード検索したり、 ふと読んでみただけの記事であっても、 次には、ご丁寧にオススメが、 目の前にズラ〜と並ぶ時代。 なるべく効率よく、便利、が好まれる時代。 悩み深める、手間かける、が嫌われる時代。 だって、みんな忙しいから。 ところで、僕たちは、 何で、そんなに忙しいのだろう? アイデアが湧きすぎて忙しいのなら、 斬新で革新的なものが、 次から次へと日々誕生し、 日本経済は、破竹の勢いで、 どんどん前進しそうなものだけど、 どうやら「停滞している説」

ココロ温まる 話

シベリアは寒い。 シベリアは、その歴史も寒々しい。 太古の時代、人々はマンモスを追いかけ、 雪と氷の大地に初めて踏み入った。 それから時は経ち、 ソビエト連邦スターリン時代に、 シベリアは流刑の地として、 政治犯や犯罪者が送り込まれ、 一度行ったら二度と帰れない、 極寒の地獄だった。 凍てついた大地の下は永久凍土で覆われ、 今もマンモスが眠る、ロシア・サハ共和国、 北東部にオイミャコンという村がある。 そこは地球の北半球で、 最も寒い人の住む場所と言われ、 ー73℃を

ホラ〜、東京タワーが見えない

見えなくなっちゃったんです、東京タワー。 さっきまで見えていたのに、 見失っちゃったんです〜。 道で声をかけられた。 赤いスカーフを頭に巻いた、 童話に出てきそうな姿の、 お婆ちゃんだった。 わたし、東京タワーだけを目印に、 歩いてきたんです。 今日は、東京タワーお休みなんでしょうかね? でも、さっきまでは見えてたんですよねぇ。 それが、角を曲がったら、見えなくなっちゃったの。 それとも、 寒いから、土の中に引っ込んじゃったのかしら。 骨組みだけで、筋肉や脂肪がついて

お正月という名の「時間旅行」

トラからウサギへと世代交代をする、 今年の年末年始。 しばし忙しい都会暮らしを離れ、 ウサギ追いし、かの山、へ、 小鮒釣りし、かの河、へ、 忘れがたき、故郷へ  日常を忘れ、 異次元の宇宙、実家へと旅する人は多い。 また、 意味不明な横文字を多用する異次元世代を、 受け止める側の人も多い。 そこに待っているのは、 初めての孫の顔、 久しぶりの子供の顔、 改めてよ〜く見る親の顔、 かお、カオ、FACE、 まじまじと見つめ合う顔たちが、 テーブルを囲む。 見つめあ