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「デジタル看護入門」看護のDXに必要な100のポイント

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数年前から、「看護教育のDX」を研究テーマとして活動している筆者が、できるだけわかりやすく「看護とICT」について解説していきます。実際の看護学校で活用できるようなさらにポイント… もっと読む
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#DX

「デジタル看護入門」第14回 〜在宅医療とICT その1〜

 前回の最後に、在宅療養をしている患者さんにも人工呼吸器が使用されているというお話をしましたが、今回は、在宅医療における医療機器、とくに呼吸器系の解説をします。いくつか種類がありますので、簡単にご紹介します。 ★HOT(Home Oxygen Therapy:在宅酸素療法) おそらく呼吸器系の疾患の患者さんの在宅療養で、一番歴史のある療法かと思います。昔は、機械ではなく、直接、あの大きな酸素ボンベから直接、酸素吸入を行っていましたが、現在では、空気中から酸素を取り出す、吸着

「デジタル看護入門」第13回 〜人工呼吸器とICT〜

前回は、呼吸の観察に関する医療機器を解説してきましたが、今回は、おそらく看護師さんが一番苦手とする医療機器である「人工呼吸器」です。なぜ苦手なのか、それは人工呼吸器の種類や機能がとても多く、さらにICT技術の進化により、どんどん人工呼吸器もバージョンアップされているからです。進化が遅い医療機器も紹介してきましたが、人工呼吸器に関しては、進化がとても速い医療機器のひとつです。 人工呼吸器は、呼吸不全の患者さんへ使用されます。人工呼吸器を使用する目的は、呼吸の状態を改善する

「デジタル看護入門」第12回 〜呼吸の観察とICT〜

 前回までの解説で、パルスオキシメーターと聴診器について、お話ししました。今回も「呼吸」に関する内容ですが、じつは呼吸数や呼吸の程度を測定する機器は、厳密にいうと心電図モニターで間接的に測定する機器(心電図モニターの3誘導の装着部位(赤・緑・黒)が、呼吸による胸郭などの動きで、それぞれの移置が変化することにより、呼吸状態を感知して、呼吸の程度と呼吸数を測定しています。)くらいしかありません。呼吸の程度や呼吸数については、ICT技術が進化しても、医師や看護師の直接的な観察、つま

「デジタル看護入門」第11回 〜酸素飽和度測定器とICT〜

 今回は、ひとむかし前までは、一般的な患者さんのバイタルサインとしては、それほど測定されていなかった「酸素飽和度」いわゆるサチュレーションです。パルスオキシメーターが高価であり、まだあまり普及していなかった頃は、ICUなどの重症患者さんのベッドサイドモニターなどで「酸素飽和度」を測定するしか方法がありませんでした。ICT技術などの進歩により、パルスオキシメーターがコンパクトになり、体温計のように持ち運びができるようになり、そして安価になりました。今では看護師さんひとりひとりが

「デジタル看護入門」第9回 〜血圧測定とICT〜

 今回は、血圧測定です。これも看護師さんにとっては、ごく普通の看護技術かと思います。血圧測定も、バイタルサインのひとつでありますが、体温測定や脈拍測定とは違い、実際の血圧測定には、ある程度の訓練が必要であり、看護師をはじめとする、ごく限られた医療従事者でなければ、血圧測定はできません。少し特殊なバイタルサインであるといえます。  いまでこそ血圧計はアネロイド式が主流になっていますが、一昔前までは、体温計と同じく、水銀を使用した水銀柱型血圧計が一般的でした。「コロトコフ法」に

「デジタル看護入門」第6回 〜バイタルサインとICT〜

 バイタルサインといいますと、おおよそ体温、血圧、脈拍数、呼吸数、そして最近では酸素飽和度いわゆるサチュレーションなどが代表的なものですね。もちろんそれだけではなく、呼吸音、心音など、患者さんのフィジカルアセスメントを行うためには、たくさんの観察ポイントを確認していく必要があります。  こうした患者さんのバイタルサインを観察するために、看護師さんはどのようなICTを活用しているでしょうか。普段あまり意識されないかと思いますが、私たちはバイタルサイン測定のために、たくさんの医

「デジタル看護入門」第五回 〜進化しない医療ICT?〜

 看護師さんの身近な通信技術として「ナースコール」があります。もはや当たり前すぎて「ナースコールがICT?」と感じる看護師さんも多いかと思いますが、ほとんどの病院で、中央配管のあたりから有線でつながれ、ベッド柵に巻き付いたナースコールが主流かと思います。大学の近くの1000床ほどの大病院でも同じく有線です。このスマホの時代になぜ有線という旧式のままで進化が遅いのでしょうか? もちろんナースコールも機能が向上しており、ワイヤレスのものや、テレビ電話のように映像付きで患者さん

「デジタル看護入門」「離島の保健師をやってみた」合同テーマ 番外編③ 〜実際に離島で経験した医療✖️ICT その3〜

ICT事業導入後、2年間は、特定保健指導対象者にアクティブタグを配布し,運動面でのデータ(毎日の歩数)とバイタルサインのデータ(毎日の血圧・体重)を蓄積しながら、健診結果をもとに「ヘルスメック」という健康管理支援ソフトを使用して,健康管理や保健指導を行いました。「フレッツフォン」というテレビ電話を使用して、遠隔保健指導も実施しました。  ICT実証実験対象者60名に対してアンケート調査を行っており、毎日の運動量の変化が、日々の生活改善のきっかけとなったと答えた対象者が半数