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「デジタル看護入門」第9回 〜血圧測定とICT〜

 今回は、血圧測定です。これも看護師さんにとっては、ごく普通の看護技術かと思います。血圧測定も、バイタルサインのひとつでありますが、体温測定や脈拍測定とは違い、実際の血圧測定には、ある程度の訓練が必要であり、看護師をはじめとする、ごく限られた医療従事者でなければ、血圧測定はできません。少し特殊なバイタルサインであるといえます。

 いまでこそ血圧計はアネロイド式が主流になっていますが、一昔前までは、体温計と同じく、水銀を使用した水銀柱型血圧計が一般的でした。「コロトコフ法」による測定では、目盛りで血圧値を読み取る方式であり、血圧の単位は「mmHg」ですが、本来、これは水銀(Hg)を何mm押し上げるのに相当するパワーという意味があります。水銀式血圧計は、現在でも一部の病院などで使用されていますが、いまではほとんどが水銀を使用しないアネロイド式の血圧計に移行しています。看護師さんなどの測定者が、聴診器を使用して、コロトコフ音を確認しながら目盛りを見て測定しますので、なかなかの技術が必要です。みなさん、看護学校で、放課後に同級生同士で、一生懸命練習した思い出があるかと思います。

 一方で、電子血圧計も開発がされてきました。初期の電子血圧計では、コロトコフ法を用いており、コロトコフ音は電子血圧計に搭載されたマイクロフォンによって検出して、数値を導いていました。水銀式またはアネロイド式血圧計は、同じ看護師さん同士でも、熟練の度合いによって誤差が出やすかったり、コロトコフ音も、腕の太さなどによって、状況によっては、聴き取りにくいこともあります。こうした理由から、現在では、電子血圧計は、病院の外来や、慢性疾患の病棟などでも、一般的に使用されてくるようになりました。

 電子血圧計はさらに進化し、「オシロメトリック法」という脈波をもとに血圧を測定する方法が開発されました。これは逆にアナログ(いわゆる普通の血圧計)では測定できない、電子血圧計による独自の測定方法です。脈波とは、圧迫された血管が心臓の拍動に合わせて起こす振動のことで、センサーで脈波を検出し、測定していきます。一般の方が使用する際にも誤差も少ないことから、測定値の信頼性が格段に向上しました。現在では、この「オシロメトリック法」が電子血圧計の主流となっているようです。

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