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【一人で勝手に旅気分】339

(過去の旅についての振り返りです)
★あのメッセージは詰まるところ自分自身に対するものだった(2016年年3月27日)

【記事累積:1980本目、連続投稿:913日目】
<探究対象…シンガポール、メッセージ、後悔の念、後ろめたさ>

今日の「ナゼ・ナゾ」は、シンガポールの写真です。この写真を撮影したのは、シンガポール第1期の最終日前日の夜でした。さて、どんなところが「ナゼ(疑問を持った)・ナゾ(気になった)・アンテナ」に反応したのでしょうか。

3月後半になるといつも思い出す出来事があります。それは4年間のシンガポール第1期の生活がいよいよ終わりを迎え、翌日朝のフライトで日本に帰らなければならない夜の出来事です。どの職場を離れるときも、職員室の荷物の撤去が大きな課題で、余裕を持って職員室を後にすることができておりません。日本で勤務していたときは3月31日の深夜までかかって、泣きそうになりながら(別れの悲しさではなく、片付けの大変さで)撤退戦に臨んでいました。そして、早稲渋に勤務していたときも同様で、明日の早朝のフライトなのに、前日夜に職員室の片付けをしていたのです。

早稲渋のときも、シンガポール日本人学校のときも、終業式を終えるとほとんどの先生は早々に第三国に旅行に出かけるため、既に終業式のあと数日経っていたこのときも、職員室には昼間から誰もいませんでした。事務局の方も学校閉鎖期間に入ったということで出勤しておらず、事務局の方からはIDカードや貸与PCを返却する際、直接受け取れないので退勤するときに机上に置いていってくださいと伝えられていました。そんな状態ですから、誰もいない職員室で寂しく片付けをしていたわけです。

今日の写真に写っているのは、シンガポールを去らねばならないタイムリミットが刻一刻と近づいているときの校内と学校周辺の写真です。私がここに注目した理由は何であるのか推察してみると、片付けを終わらせないと帰国できないにも関わらず、夜になって担任をしていた生徒に向けたメッセージを教室の黒板に書いていたからだと思います。

メッセージを書いていた時間帯は22時を回っていたと思います。翌日のフライトが午前5時30分くらいだったので、シンガポールに滞在できる時間は空港でのチェックインなどを考えると、6時間あるかないかでした。その状況にありながら職員室の片付けを途中でやめて、自分の教室に行き、写真に映っているようなメッセージを書いたのでした。片付けを早く終わらせなければならないことは頭では分かっていたものの、持っていた学年を卒業まで担当せずに離任することの後ろめたさが払拭できておらず、片付けている途中、その気持ちが波のように打ち寄せてきていました。そうして、その状況に対する現実逃避のような形で教室に行ってメッセージを書いていたのだと思います。

今回の「ナゼ・ナゾ」は、急いで片付けを完了しなければならないのに、なぜが教室の黒板にメッセージを書いていた写真でした。そのときは既に春休みに入っていたので、黒板にメッセージを残したとしても、生徒がそれを見る機会はありませんでした。春休み中には各教室にクリーナーさんが入るので、自分が書いたメッセージがそのままで4月を迎えることがないことも分かっていました。しかし、拭えない後ろめたさを何とかしたいという思いから、メッセージを書いてみたのでした。生徒たちには離任の際に、来年度は担任ではなくなるものの、「日々の教養」というタイトルのメッセージをSNSで送るつもりなので、ぜひ見てほしいと伝えていました。そのため黒板のメッセージは、のちにSNSにアップできるように写真に撮ったのでした。

しかしフライト時間が差し迫っている中で、わざわざ黒板にメッセージを書こうとしたのは、後ろめたさの払拭という現実逃避とは異なる、もう一つの現実逃避があったからだと思います。それはなかなか進まない片付けから目を背けて気分転換したかったというものです。実は、この片付けからの現実逃避は、メッセージを書くという行為だけではなく、それより早い時間帯に一度学校の外に出て、近くのホーカーで夕食をとったり、フルーツカップを買って学校に戻ってきたりと色々していたのでした。

「離任に際して黒板にメッセージを書いた」、それだけを聞くと生徒に向けたものだと思われますが、メッセージの文面に注目すると、離任を決めた自分の判断は本当に正しかったのかという後悔を振り払いたい気持ちが滲み出ています。このときは次の勤務先が決まっていなかったので、後悔の念はかなりあったと思います。そのためこのメッセージは、後悔まみれの自分を励ますために書いていたというのが正直なところだったのではないでしょうか。

そしてあのメッセージを書いてから8年が経ちました。当時担任していた生徒たちのほとんどは社会人になっていると思います。社会に出て様々な決断を迫られる場面を経験する中で、あのメッセージが僅かながらでも影響・貢献してくれていたら嬉しいなと思います。3月末が来ると最近は特に、そのことを考えることが多いです。そして同時に、自分を励ますために書いたという意味合いの強さから、自分の決断は適切かどうかについても考えてしまいます。

「後悔のリスクのない決断などない」
しかし決めたのだから進むしかない。
決めたのだから仕方ない。決めたのだから迷わない。

果たして現在の自分はどうだろうか。
有言実行というのはなかなか簡単ではありませんね。

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