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二つの光

光は生き物だと思う。毎日変わる。毎時間変わる。1分ごとにも変わっていく。写真は光がなくては撮ることはできない。その意味でも写真は光とともにいきている。

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私の作品はプリントされた写真にスリットを入れて再び光に晒すことでつくられる。光によって固定された世界が、再び光によって変化することに小さな喜びを感じる。二つの光が一つの世界にあるからだ。

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この写真のモデルは京都で撮影した。その写真をプリントしスリットを入れ、パリの東、ブローニュの森近くの公園でまさに日の沈む直前の太陽の光を反射させる。二つの生きている光が混じり合う。モデルの持つ世界が少し崩れ、またそこに新しい美が生まれる。そういう瞬間が好きで私はこのシリーズを作り続けているのだろう。

スクリーンショット 2019-12-19 2.21.38

渋谷の写真。その写真をプリントされた紙にスリットを入れる。そこに再び光を透す。こちらも朝のパリの光が、地球の裏側の渋谷を崩し、波に晒す。


太陽の光は本当に制御できない。それをフイルムで撮ると全くの博打のような撮影になる。しかし上がってきた写真を見たときにそこに光が入っていることに安心する。生きている光が確かにそこにあるからなのだろう。

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同じ流れの写真をもう一枚だけ。
手にもつ写真。この写真は宮島で撮った。その写真をプリントしスリットを入れて朝の光に晒す。そこの波光ができている。しかしこの波光の光は瀬戸内海の光では無く、パリの光だ。二つの光が交わらないものを交わらさせ、新しい世界を作っていく。
私はまたどこかに住むのだろう。そこで過去にいた場所で撮った写真の世界と「今」の光を混ぜ合わせるのだろう。そこに新しい世界が生まれることを信じて。

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