見出し画像

「5年後も、僕は生きています ㊷原稿に愛を込めて」

㊷原稿に愛を込めて

2019年5月ころ、忙しい日常をぬって、吉尾さんとのやりとりは続いていました。

吉尾さんは僕の原稿を読んで、よく分からなかった部分や、もっと深掘りをした方がいい部分、そういうところをひとつ一つ解きほぐすように丁寧に質問してくれました。

それは僕では気づかなかったところばかりで、さすがとしか言いようがありませんでした。

そのおかげで内容が深まり、完成度、・クオリティーがさらに上がりました。

なるほど、ほんとうに良い編集者というのは、こうやって著者を導いていく存在なんだな~

僕は、関心せざるを得ませんでした。

吉尾さんとのやりとりを終え、彼がいっぱい付箋や赤入れをしてくれた、正真正銘の最終原稿のチェックが終わりました。


明日、この原稿を出版社に送ります。

その日の夜、僕はその原稿を抱いて布団に入りました。


最後に、この原稿に“愛”を込めよう。

イヤホンをスマホにつなぎ、あのKOKIAさんの“愛はこだまする”をかけました。

そう、あれからいろいろあった。

これから、この原稿を読む人たちはガンの人が多いだろう。

僕がいま、生きているように、みんな、生きて欲しい。

ガンという断崖絶壁の前で途方に暮れていた、あの日(2016年9月)の僕のような人たちへ、そこを通り抜けた「僕」からのメッセージを受け取って欲しい。



闘うんじゃない、

抵抗するんじゃない

諦めるんじゃない



それは「自分の魂の計画」の一環と理解して、受け入れて、降参(サレンダー)して、乗り越えて行くんだ。



大丈夫。

なんとかなる。

恐怖は幻想

不安はフィクション。

山より大きな猪はいない。

自分の魂の計画を信頼する。

「信じる」のではなく、「信頼する」こと。



そういう人たちへ、すこしでもこの“愛”のエネルギーが届きますように。
僕の経験が、役に立ちますように。

この原稿に“愛のエネルギー”が入りますように。



僕は原稿をぎゅっと抱きしめました。

あまりにもぎゅっと抱きしめたせいでしょうか、曲が終わったころには、原稿はちょっとしわくちゃになっていましたが、逆にそれでエネルギーがちゃんと入ったように感じました。

そして翌日、原稿を吉尾さんに送りました。

これで、この本「僕は、死なない。」は、完全に僕の手を離れました。
あとはもう、神さまにお任せです。


誰が手に取って、誰に読んでいただいて、その方が何を感じ、何を考え、どう変化されていくのか、全ては「神の采配」です。

僕のやることは終わりました。




9月に入ってから、僕は久しぶりに妻と旅行へ行きました。

行き先は那須高原です。

ますはアルパカ牧場へ。

アルパカ達が大きな目を輝かせながら僕に近づいてきます。

両手で頭をゴシゴシと撫でてあげると、嬉しそうに顔をぐいぐいとすり寄せてくる、かなり人慣れしているアルパカもいました。

大きくて優しく潤んだ瞳、少し微笑んだような顔、僕も妻も大いに癒やされました。

カピバラ君たちにも会ってきました。

素早く動くことが想像できないほど、ゆったりとしたその不思議な生き物は、悟りを開いた禅僧のように、平穏な目を遠くに泳がせていました。

「悟ってる、いや、これ絶対に悟りの境地に達してるよ、ほら、あの目…」

「ほんとうにかわいいね~。もっと小さかったら、家で飼いたいくらいだね。静かだしさ」

「そうだね~。カピバラは犬と違って、吠えそうにないからね」

僕はガンになった年(2016年)の秋に亡くなったダックスフンドの「けんた」を思い出しました。


(けんた)


ダックスフンドは猟犬でもあることから、「ケンタ」も警戒心が強くて声が大きく、良く吠えました。

でも、とってかわいかったのです。


もういちど、犬が飼いたいなぁ。


その日は小さなログハウスに二人で泊まりました。

それはほんとうに幸せな時間でした。ああ、ほんとうに平和な時間が戻ってきたんだ…



幸せとは「考える」ものじゃない。

幸せとは「感じる」もの。

幸せとは心の中に「起こる」もの。

幸せとは「happen」するもの。

「happen」だから「Happy」。



秋になるころ、吉尾さんから出版に関して次々に連絡が入ってきました。

出版予定は12月になることや、初版の部数、そして表紙のイラストなどです。

特に表紙は僕が想像していたものと
全く違っていました。

そのイラストはなぜか視線が行ってしまうような魅力がありました。


さすが、吉尾さん。


素晴らしい。




10月に入って、吉尾さんから連絡が入りました。

「AMAZONの予約が始まりました」

おお~出版って、こんなふうにすすんでいくんだな~



正式な出版日は12月18日に決まりました。

すべては順調でした。

しかし…



予想もしないピンチが次に待っていることを、そのときの僕はまだ知りませんでした。

㊸へつづく


第1話から読みたい方は、こちらから読むことが出来ます。

生還体験記です。

新刊です。
「読んだら人生が激変する」とご紹介頂けるほど、ご推薦いただいて感謝しかありません。10分ほどの画像です。よろしければ見てくださいね。

★4月24日の講演画像です


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?