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「最後のジェダイ」の好きなところを、正座して100個言いたい。

小学生になった気分で、ワックワクした。

馴染みの黄色いロゴをジャーン!!と迎えた瞬間からスター・ウォーズらしい展開を期待している気持ちが、体中にぱんぱんになってるのに、思った通りに全くならなくて、そのならなさっぷりにドキドキした。

この映画で、鼻たれ小僧から、筋肉痛が二日目に来る年齢まで駆け抜けて
だんだん感性の錆付きを感じはじめた人間に
「もうどうなるのか、全然わからん!助けてくれー!!」とフレッシュに思わせてくれて嬉しかった。

小学生マインドに引き戻されて、いろんなシーンで手をお祈りの形に組んでしまった。参った。

好きなところは数え切れないほどあり、ほくほくした気持ちで帰って来たら、評価がぱっきり2つに割れていたので驚いた。

私は好きな作品であればあるほど、他人の口から聞きたい言葉があるタイプの人間だ。浴びるほどに、好きなシーンを聞いて共感したりイイネを猛連打してにこにこするのが大好きなのだ。

自分のように褒めレビューを読みたくて、路頭に迷っている人がこの世のどこかにいるかもしれないので、「最後のジェダイ」の好きなところを羅列したいと思います。

(以下、ねたばれを大量に含みます!!)


●カイロ・レンの真顔から覗く人間くささ。

心に多大なる引っかき傷を残してくれて、だけど、どうしても嫌いになれないカイロ・レン。

制御できない暴力装置のようでもあるし、とても繊細な傷つきやすい青年にも見える。情緒の針がまったく動かないようでいて、背中の針を威嚇させたハリネズミのようにも感じる。

レイにもりもりの上半身を晒す場面も、ザ・真顔。露ほども恥ずかしそうなそぶりを見せないのに、鉄面皮という印象がないのが不思議だ。なぜかどの場面でも、人間くさい印象がこびりついてる。

もしかすると人には、反抗期よりも一段やっかいな、カイロ・レン期というものが等しくあって、それを乗り越えたり、腹の中にとどめておいたり、上手にあやして宥めたりしながら、どうにか大人になるのかもしれない。

だから、己の通過点のひとつであった彼を見ると、黒歴史の黒点をみるような、ぎゅっと心絞られる気持ちになるのかも。日々の浮き沈みも、腹の中でカイロ・レンが暴れまくってると思えば、苦笑いしながらやり過ごせるような気がします。


●冷水をぶっかけられてギャフン。

そんなこと言わないでくれ…!!だけどそこが好きだ…!!という箇所もあった。

武器商人の話が出てきて、この映画はタイトル通りに戦争の話であることを思い出した。

開始早々に繰り広げられる宇宙のドンパチで、ドレッドノートが撃沈。どでかい兵器や爆撃機がばんばん藻屑になるところを見た後で、ガッと相対化されるのが非常にしんどい。(褒めてます!)

「一番儲かるのは戦争」
「この武器商人たちを肥えさせてるのは、ファーストオーダーだ。あ、反乱軍もね。」
と示されることの強烈な居心地の悪さ。
オスプレイが、一機100億として…と換算しそうになるので野暮野暮野暮!!と必死にシャットダウンする。

あたらしい武器や兵器に「うわ、かっけー!」と無邪気にキャッキャしていた気持ちが、自分の居る次元とまったく地続きのものだと気が付かされて、深淵から見つめ返されたみたいにギャッとなる。腹に一発食らった気持ちになった。


●ルークがわりと孤島生活を満喫していて嬉しい

全てが厭になった世捨て人となり、死んだ目で余生をすごしているのかと思ったら、エンジョイサバイバルしていた。

効率化したモリで巨大な魚を突いてるし、これから食べるための保存食も干してるし、ふしぎな生物から搾乳して青いミルクもまずそうに飲んでるし、生きる気まんまんすぎて嬉しくなってしまった。

ポーグの牧歌的な鳴き声が毎朝聞こえるあの島が、あまりにもきれいなので、終の住処にするにはとてもいいと思った。老後はあそこに住みたい。ルークの視界の最期に映ったあの美しい景色を、自分の走馬灯にも加えてほしいくらい目に焼き付いてる。

●R2-D2は決して、自分からルークに会いに行かないところがいい。

口が悪い、いとしの真面目な頑固者は、まるくてキュートな万能の新入りのように、我先に降りて相棒に子犬のように飛びついたりはしない。

ルークが消えてから、ずっと「別ドロイドになったかのように」スリープモードになっていたR2が、レイやチューイと一緒にあの島に来てくれた。

あのばたばたした足の動き。喜んでるときにあの動きをしていたことをよく知ってる私達は、悪態つくR2がこの邂逅を本当はどう思ってるのか分かりすぎて、胸が詰まる。

そこにとどめのホログラムを見せられたら、ルークじゃなくても「ずるい」の一言だ。ルークの目が、青年の頃のように輝いていてたまらなくなってしまう。もうこのシーンだけで、ありがとう&全許し。ライアン・ジョンソン監督にお年玉をあげたいです!!

●かわいい!かしこい!BB-8ちゃん!!!

「フォースの覚醒」のトレーラーで世にも丸っこい姿をみたときは、こんな分かりやすいチャームに屈してたまるか、と思った日もありました。

それが今は完全に目がハート型にくり抜かれております。「きゃわわ」な要素は俺に任せろ!!と言わんばかりの頼もしさ、お慕いしております。

エックスウイングの修理を、自分の頭を(物理的に)使ってまで必死になんとかしようとしたり、「これでもくらえー!」とコインを噴射しフッとドヤ顔をきめてみたり、舟を盗んだことをもじもじ言い訳したあげく、ウォーカーを操って、騎兵隊がごとくぎりぎりのレスキューしたりする。

もう全部きみだけでいいんじゃないかな…。とぼんやりしながらも、心の中は「You are かわいこちゃん!!!!」という気持ちでいっぱいだ。

後生だからもう金輪際、チビ丸ちゃんを階段の上から放り投げたりしないで欲しい。床をバウンドするたびに、シータを受け止めるパズーの手の形で抱っこしようとしてしまったよ!!

●ポーグは鳥!!!それ以上でも以下でもない!!!そこがいい!!

絶海の孤島も、緊迫した空気も一気にのん気に染め上げる「もぎゃー!」という鳴き声がなんだかとっても好きなのだ。毎朝ポーグの鳴き声で起きる日々は平和ですてきだと思うので、アラームにぜひ欲しいです。


●ファーストオーダー内の生活感がちらり。

カイロ・レンの上半身もりもりシーンのとき、ボディケア用品のようなボトルがあったような気がする。三個。私の見間違えだろうか。弱酸性ビオレだろうか。

全自動アイロン掛け機とか、傷の縫製ロボットとか、時短がはかどりそうな家電がたくさんあってうらやましい。フィンいわく、掃除は人力のようだけど、黒いアストロメク・ドロイドががルンバよろしく掃除をしてくれたら、とても胸がときめく。小さな小ぼうきを出して、赤いランプをチカチカさせながら、溝のホコリを取って欲しい。

●「ルーク様…」

幻影ルークのC-3POへの最期のウインク。レイアとのタモリ的な軽口を思い出すだけで、いつでも鼻がグズグズいってしまう。

この映画全体に、おふざけ表現がちょっと行き過ぎという意見もあるけれど、絶望的な状況で、少しのジョークが心をどんなにか温めてくれるかを6年前に実感しているので、私はとてもとても好きなのだ。

集中砲火を受けた上で、肩のホコリを払って見せる煽りは、機会があればまっさきに真似したい。どうして190cmという長身で、若さみなぎるカイロ・レンより、老齢のルークが圧倒的に強く見えるのだろう。風にたなびくローブの先まで残らず、ジェダイ・マスターの一言だった。

●ローズ、ありがとう。きみはばらの花より美しい。

有象無象の名も無きモブが、反乱軍にもファーストオーダーにも居るはずで、
カメラの回らないところで活躍したり死んだりしている。
その中の一人であろう彼女が、どんどんキャラクターを獲得して輪郭をくっきりとさせていくさまには、なんだかとても胸が熱くなった。

勇敢なふるまいをするには、特別な容姿じゃなくてはいけないのか?

当たり前のように映画に要求しがちな固定概念を、ぶっ壊してくれた。
大切なヘイシアンメタルのペンダントを、感傷を振り切るようにDJに渡してそっぽを向く仕草が好きだ。

あの無鉄砲としか言いようがない、フィンの特攻。
赤い熱線に焼かれるボロい機体が悲鳴を上げて、パーツが溶けてはじけ飛ぶ。
ついさっき、スター・デストロイヤーを貫いた音速の特攻が脳裏に浮かんで、
いよいよもう駄目だ終わりだと諦めかけたところで、「させねーよ!!」とばかりに止めてくれた、力づくのビンタみたいな愛がまぶしい。

自分の姉が殉職してなお、自己犠牲を美徳とせず、憎しみを原動力とせず、目の前に居る人を守りたくて突き飛ばしたローズが大好きだし、重傷を負った彼女に丁寧に首元まで毛布をかけてくれたフィンも、いい人オブいい人で最高です!!

●光るほうきの柄のまぶしさよ。

馬小屋の少年が、反乱軍の物語を子どもたちに語り継ぐ姿に、すすけた現実に光をもたらす物語の効用を感じて、涙がちょちょぎれてしまう。(KUBOを観ていたので)

箒を引き寄せる小さなミラクルは、新しいジェダイが生まれる予感なのか
彼の願望を表した妄想の勇姿なのか。
どちらにしても、希望に満ちた気持ちでエンドロールを見送った。

まだまだ書ききれないほど、好きなところがドカドカ思い浮かんで、永遠に書き足してしまいそうなので、このあたりにしようと思います。みかんでも食べながら、あなたのEP8の好きなところも教えてもらえたらとても嬉しいです。

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