14.丹毒と肺炎

 抗がん剤の使用による副作用は各人で部位や出方が違うことを述べましたが、毎日の生活の上で感じる様々な自覚的違和感とは別に、自覚しにくいところで白血球の減少、ホルモン分泌の異常など採血等の検査をして初めて分かるものもあり、徐々に身体に影響を与えてきます。
 この年2017年1月には私の身体に異常が生じました。高熱とともに倦怠感とリンパ痛そして、右眼が腫れ、塞がる状態となり、A病院の休日外来を訪ねましたが、初日は待たされた上に解熱剤を渡されただけの医師対応で帰宅。翌日も我慢できずに再び連休中の外来を訪ねました。今回は運よく当番医が最初の入院時に診て頂いた呼吸器内科のC先生であり皮膚科の先生と共に診察を行い免疫力の低下による「丹毒」との診断で翌日から24時間の点滴、9日間の入院となりました。
私の体の中では薬によって徐々に危険な症状が出始めているようです。
 
 さてジオトリフに次ぐ抗がん剤2種類の点滴治療も半年ほどで効果も薄れ、次の薬が決まらない状況で、何度も「タグリッソ」の服薬をお願いするのですが「効果はない」との返答です。確かに何度かの検査結果では「T790M変異陰性」との報告ですが「チャレンジしてみないと解らないのでは」と話をしますが、了解を得られずに諦めるしかありません。何もしない訳にもいかなかったのでしょうか。重粒子のセンター長から聞いた「ジオトリフ」の再服用の願いは叶いました。服用後どのような副作用が生じるかは前回の経験により学習済みのはずだったのですが、ほとんど同様の副作用はなく直接的な原因ではないのかもしれませんが、服用後の4月に39度の発熱にA病院担当医に連絡するのですが、「数日間様子を見る」とのこと。その数日後いよいよ我慢できずゴールデンウィーク中の休日外来を受診しました。2時間程、待合室のソファで横になりながら待機させられ、何の薬なのでしょう。渡されたのは水薬一本のみ。担当医にも症状を連絡すると「薬の副作用だから、次の受診日(約2週間後)まで我慢しなさい」との言葉です。確かに副作用かもしれないが発熱、咳などで苦しみ、困惑している患者に対し不親切極まりない態度でした。家庭で10日程、療養に努めましたが、いよいよ我慢もできず、福岡の藤本先生に休日にも拘わらずクリニックを開けて頂き点滴をしてもらい、とりあえず落ち着きました。やっとの診療日にはA病院でのレントゲン撮影後、担当医から「肺炎はほぼ沈静化しているようだ」との発言。やはり肺炎を併発していたのだ。もし悪化していたらと思うと恐ろしくなります。この医師は私を本気で診てくれないとつくづく感じ、我が身は自分で守るしかないのでしょうか。「何か違う」と思ったらその医師の元を離れる勇気も必要なのでしょう。医師の言葉がどれだけ患者の心を傷つけ、また逆に元気にしてくれるのか。生きる意欲までも削られ、心が折れる医師。心理学を再び学んでもらいたいと思う無頓着な医師もいるのが現実です。
そして信頼できるセカンドオピニオンは生き延びるには絶対に必要だと感じます。腫瘍マーカー数値も徐々に上昇してきており、担当医に「オプジーボ」「キィトルーダ」などという免疫チェックポイント阻害薬の可能性を尋ねてみますが「使用は最後(期)とする」との返事。標準治療というものの最後(期)なのでしょうか。ある本には「体力があるうちに早期に」と書かれているのですが。また副作用の苦しみ、痛みを伝えると、いつものように「副作用のない抗がん剤はない」との絶望的にならざるを得ない返事が戻ってきます。一方福岡、熊本の両先生は「オプジーボ」などの使用については「遅く、また進行してしまってからでは効果も出ずらい」との話です。また先に述べたように「副作用の少ない方法での抗がん剤治療も可能」との回答です。
私は癌に対する知識を増やそうといくつかの大学、また癌センター等での肺癌市民講座の聴講に出向き「患者は納得した治療を選択すべき」との話に納得。また「免疫療法やゲノム医療」等という新しい言葉も耳にするようになりました。地方の悩みとして、代わるべき病院数も限られています。私の心は夜の海を漂うヨットのように不安で遠い灯りをたよりに進んでいくしかないようです。体力、気力が充実していなければ耐え難い毎日です

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