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答えを探し続けている


児童の保護について、長らく考え続けている。
まだこれぞという答えが見えていないのだが。

今よりは収入が潤沢だった頃ペアレントをしてしていたことがある。
月額5000円弱を国際専門機関を通してチャイルドに送り、援助を行うというものであり、私の場合はペアレントを降りるまでの10数年の間、6名ほどの子供へ資金を届けてもらうという活動だった。

チャイルドには、ノートや筆記用具、通学に必要な様々なものを持たせることができ、家庭の貧困の度合いにもよるが、児童労働を一時的に止めて、勉強に時間を使えるように、あるいは

両親が職を失っているような場合には、食品の補助に当てられたりもした。

機関から私の元へはチャイルドの写真や名前、年齢、体重、健康状態、通学状況、家庭環境、家庭の経済状況、家族全員の様子、様々な情報が送られてくる。

南米、東南アジア、中央アジア、子供たちの住まいへ、機関の人々がお金を届けに行き、暮らしの様子を見て、ペアレントに知らせてくれたり、チャイルドから手紙が来たりもする。
こちらからは、チャイルドの誕生日にカードを送ったり、さらにペアレントが富裕層であれば実際に現地へ面会に出向いてプレゼントを送ることもできたようだった。

何年目のことだったか
チャイルドの1人が突然音信不通になったことがあった。
機関のかたが周辺を訪ねて調べてくれたらしいのだが、近隣の人々にもチャイルド一家がなぜ突然失踪したのか、どこへ行ったのか、わからなかったらしい。
機関のかたもそのチャイルド1人だけを見ているわけではないので、調査の追跡はなされなかった。
私がその子のペアレントである事はそこで終了となった。
チャイルドの写真や、個人情報、その他、機関からお預かりしたデータは全て機関へお返しした。

その後少し間をあけて、また別の国のチャイルドを応援することになったが、気がかりなまま、数年を経て、何かの折にごく親しい友にこの話をしたところ、
「援助が入ったことが周囲に知られて、そのためにかえって困ったことになった可能性はないか?」
と、いうのが友の考えであった。

あっ…
と、わたしも驚きはしたが、可能性はあるかもと思い至った。

本当のところはわからない。
わからないが、外部からの援助は、国や地域によっては、あるいはその国の価値観によっては、
不名誉であったり
毀誉褒貶の引き金になったり
財産への毀損を誘発したり

そうした危険があったのかもしれない。

しばらくは、思い惑い後悔したりもした。
だが、悔やんでも取り返しはつかない。
ただ、国を超えての補助や援助は、慎重に。
この事は、教訓として忘れずにいようと思ったことである。

後年、個人的な事情により、チャイルドへの送金が難しくなり、
『この先の1年のあいだに、チャイルドたちに新しいペアレントを探してください』
と機関へ連絡。
1年後に、チャイルド全員に新しいペアレントが見つかったのを確認。
チャイルドたちのデータすべてを機関へお返しし、自分はペアレントを引退した。

失踪したチャイルドとそのご家族のことは今も気がかりではある。
この世界のどこかしらで、願わくば健康で安全に、そして幸せでいてください。
誰にともなく、祈ったりする4月である。

 2024/04/14

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