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映画『主戦場』のミキテザキ監督について - 私の思い出

 映画『主戦場』がしんゆり映画祭での上映が中止されていると聞き、非常に残念な思いでいっぱいのため、監督のミキテザキさんについて、私の個人的な思い出(まだご本人にはお会いした事はありません)を書き連ねいたいと思います。

 ミキテザキさんを初めて私が知ったのは8年前の大学をちょうど卒業したあたり。彼がALT(学校の英語授業に定期的にやってくる外国人の先生)として日本に滞在していた頃になります。
 テザキさんがYouTubeにあげた『日本の生徒がよく言うこと "Shit Japanese Students Say"』という動画が、SNS上の日本語専攻の外国人学生の間でバズってました。「高校生あるある」をコスプレしたテザキさんが、真似するという、単なる面白動画です

やる気のない「起立、気をつけ、例」
「早く終わろう、先生」「先生、おねがい」「英語うまっ」
「先生今日なにやるの? ゲーム? ゲーム?」
など、学校でよく聞くフレーズを陽キャ男子、陽キャ女子、隠キャ男子、隠キャ女子に分けて再現する、本当にしょーもない動画
なのですが、
 JET(英語圏の学生が、ALTとして日本に派遣されるプログラム)で日本に行くことを目標・夢にしている学生と、彼らのやりとりをたまたま眺めていた私の笑いのツボにハマりました。何人かの友人に「日本で先生やったら、本当にこんな感じなの?」って聞かれたのを覚えています。

 何度も見てもこの動画が面白かったのと、外国人ながらここまで正確に日本の高校生の仕草を細かく掴み取るテザキさんの洞察力に感動した私は、このMedamasenseiというアカウントをYouTubeで人生で初めてフォローしました。

 面白動画を目当てにフォローしたテザキさんのアカウントでしたが、予想に反して、彼は社会派の骨太な動画を公開し始めます。

 英語をしっかり勉強した方なら感じると思うのですが(なんて私が言って良いのか…)、テザキ氏の英語の発音・言葉の選び方はかなり教養のある方の話し方です
 『3年B組金八先生』を始めとした学園ドラマが大好きで、教員免許まで取っていた私は、この動画を見て素直に「すげぇ、アツい先生が登場した! カッコいい!」「こういう先生が増えてくといいな」と興奮しました
 しかし、一部の日本人の反応は真逆だったようです。

 映画『主戦場』の冒頭でも解説されていますが、上記の動画は炎上。学校にも脅しの電話がかかってくる。派手なものだけではなく「それはアメリカの価値観では差別かもしれないけれども、日本ではおかしなことではないんだよ」という謎理論でテザキさんを説得してくる日本人もいたとか…

 このYouTube動画から数年を経て公開されたのが、目下話題の映画『主戦場』です。

 「最近、(YouTubeで)Medamasensei見ないな…」と思っていたところに、映画公開の情報を目にしたことも手伝って、非常に興奮しました。公開されてすぐに映画館へ観に行きました。正直に白状すると、慰安婦問題に関しては「大なり小なり被害はあったのだろうけど、戦後賠償が済んでから言ってくるのはちょっと解せないな」というのが私の考えでした。ちなみに、私は韓流と韓国料理が大好きで、韓国も数回訪れた事があり、尊敬する友人もいれば、韓国の女性に恋をしたこともあるし、大学時代の専攻は政治で、韓国人の先生の講義で「韓国の歴史教科書の分析」という発表もした事があったので、「戦後賠償が済んでから…」という自分の考えにはちょっとした自信がありました。そんなものですがら、「テザキさんが、どんな映画を作ったのか、お手並み拝見と行きましょう」「きっと面白いに違いない」みたないな、今思うと非常に恥ずかしいスタンスで劇場に行きました。

※ここから先はネタバレを含みます。
いいですか? この映画はドキュメンタリーなのに、とんでもない、どんでん返しがあるんです。ネタバレが嫌な方は、どうぞ、劇場に足をお運びください。

 まずは、この映画。期待以上に「超面白かった」。慰安婦問題の映画だと思っていたのに、必ずしもそれだけではなかった、という「どんでん返し」。映画終盤で「ラストボスが登場する」というゲームのようなエンタメ構成。それと同時に「でもこれ、ドキュメンタリー(実話ベース)なんだよな」と我に返ると、「この映画がフィクションだったらよかったのに…」という本当に悲しい気分になってきました。

 先記の「大なり小なり被害はあったのだろうけど、戦後賠償が済んでから言ってくるのはちょっと解せないな」というのが私の考えも、「戦後賠償は済んでいるのは事実」「しかし「セックスワーカーをやっていた」なんて過去を家族のいる女性が言い出せるわけがないじゃないか。歳を取って、余命が見えてきたお婆さんたちが、最後に勇気を出して、平穏な生活を捨ててまで訴えた事をどうして私たちは無碍にするのだろうか」というメッセージに自分の不勉強を痛感しました。

 この映画は広く日韓関係・戦争責任に関してカバーしています。私は在特会のようなヘイトスピーチを繰り返す団体は大嫌いですが、一方で暴力に暴力でやり返すカンターの活動に関しても違和感を感じていました。こう言った点に関して、テザキさんは映画の最後に「善意から抗議する人たちも、感情論や数字をチェリーピックした形で被害を大きく取り上げれば、ヘイトや歴史修正主義者に反論のスキを与えかねない。冷静になれ」と強い口調で結びます。さすが、先生!


どうしても、上手く文章が、まとまらないのですが、
どうか、この映画を見に言ってください。色々怖いと思うので、一人でコッソリ見に言ってもらえれば結構です(かく言う私もそうでした)。
理由は3つほどあります。

1)とにかくこの映画、面白いです ←いや、本当は面白かったらいけないのですが

2)この映画の主題が、ありがちな日韓関係や慰安婦問題だと思ったら大間違い。慰安婦問題が表向きのテーマですが、実際はもっと根深い問題を扱っています

3)この映画の上映を阻むということは、この映画の裏テーマであるヤバイ考えの人たち(前述のラスボス)を擁護するのと同義だと思います。
失礼を承知で申し上げるのですが、映画上映に抗議している、この"ヤバイ人考えの人たち"(下の画像を参照)、素人目に見ても言葉遣いが攻撃的で特異。本当に真実を話している善人なのであれば、こんな差別的な言葉なんか出ないでしょうに…という方々ばかりです。

Medamasenseiのファンとして、
どうか、一人でも多くの方にことテザキさんの映画をご覧いただきたいと、思います。

私は状況が平和になって、できることなら
テザキさんの面白動画の新作がみたいです(ご本人の意志と違っていたらすいません…)




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