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『お金の流れが変わった!』(8)

『お金の流れが変わった!』(8)

新興国が動かす世界経済の新ルール
PHP研究所 2011年1月5日 第1版第1刷


<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか
 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
 ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
 Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

第3章 21世紀の新パラダイムと日本
 Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
 Ⅱ市場が日本を見限る日
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 Ⅰ新興国で成功するための発想
 Ⅱ日本経済再成長の処方箋

Ⅰ新興国で成功するための発想

言葉を換えればなにもわざわざ最先端技術の分野で勝負しなくても、「むかしの芸」で十分に戦えるということだ

新興国は、かつて日本が通過してきた高度経済成長をいまやっている。

つまり、そのようなマーケットで何をやればうまくいくかを知っているのが、日本企業の強みなのである。

言葉を換えればなにもわざわざ最先端技術の分野で勝負しなくても、「むかしの芸」で十分に戦えるということだ

『お金の流れが変わった!』 大前研一の名言 1 〈508〉               

 


新興国で成功を収めたいなら、大きく分けて5つの攻略ポイントがあることを、日本企業は理解しておいたほうがいいだろう
その第1は官公需、つまり公共事業だ

新興国で成功を収めたいなら、大きく分けて5つの攻略ポイントがあることを、日本企業は理解しておいたほうがいいだろう

その第1は官公需、つまり公共事業だ。道路、空港、港湾、ダムなどのインフラ整備に関しては、自民党政権時代に国内でさんざんやってきたこともあり、日本がもっとも力を発揮しやすい分野だといえる。

なかでも格別に強いのが鉄道だ。

『お金の流れが変わった!』 大前研一の名言 2 〈509〉               

 

新興国で成功する第2の道は法人需要である

新興国で成功する第2の道は法人需要である

工作機械や印刷機械、プラスチックの射出成形機械、自動化装置、ブルドーザーなどを法人に売る分野では、すでに世界で実績を上げている日本企業は多い。

売り込み面では伝統的にスイスやドイツが強いが、日本も決して負けていないといっていいだろう。

(中略)

法人需要のいいところは、台湾や韓国、中国などには、ライバルとなる企業がいない点だ。

『お金の流れが変わった!』 大前研一の名言 3 〈510〉               


攻略ポイントの残り3つはコンシューマー需要である

世界の人口は市場構造をもとにすれば、おおよそ3つに分類することができる

攻略ポイントの残り3つはコンシューマー需要である

世界の人口は市場構造をもとにすれば、おおよそ3つに分類することができる

年間所得2万ドルの富裕層が約1.75億人、その下に年間所得3000ドルまでの中間所得層が14億人。

そして残りの40数億人がピラミッドの底辺、すなわち「ボトム・オブ・ピラミッド(BOP)層」と呼ばれる。

これまで日本企業の多くは、おもに新興国内の富裕層を中心顧客に据えて活動してきた。

もちろんそのような利益率の高い市場は、引き続き日本企業にとってメインターゲットになりうるが、同時に、今後は新興国を中心とした世界の中間所得層をいかに取り込むかが、どの企業にとっても重要になってくるだろう。

一方、中間所得層のさらに下部に位置する貧困層(BOP=ピラミッドの底辺)となると、現在の日本企業はほとんどお手上げ状態である。

しかし、この層が40億人という膨大な人口を抱え、5兆ドルという日本の実質国内総生産に相当するマーケットであることを考えると、指をくわえて見ているのはじつにもったいない。

『お金の流れが変わった!』 大前研一の名言 4 〈511〉               


安倍新政権がスタート後、円安、株高が急速に進行しています。

輸出産業にとって長年の苦しみからようやく開放される時が来ました。

一方で、円安による原油価格の高騰が影を落としています。

そうした情勢下、アルジェリアで過激派によるテロが勃発しました。

アルジェリア政府軍とテロリストとの銃撃戦で、日揮の多数の従業員が犠牲になりました。

報道によれば、日本人10名が亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。

日揮がアルジェリアに進出し、事業を行なっていることを知っている人は、関係者以外ではあまりいないのではないでしょうか。

私も今回の事件が発生しなければ、深く知ることはなかったでしょう。

この本の中で、大前研一氏は日揮についても言及していました。その箇所をご紹介します。

ワンセットで売り込むやり方に日本人はあまり慣れていない。そういう感覚がないのである。

だが、日揮や千代田化工建設のように、中近東などで発電、海水淡水化、石油化学プラント、ガスプラントなどを、それこそワンセットで受注している会社もなかにはあるのだ。

彼らのやり方やセンスをお手本にすればいい。

以上までの記事は、2013年1月22日に投稿したものです。


アルジェリア人質事件が勃発した際、日揮の川名社長が記者会見の席上で、
涙を流しながら、「痛恨の極み」と悲痛な表情で語ったシーンが思い出されます。

日揮をはじめ日本企業は、リスクを負い、アルジェリアなどのアフリカ諸国や、新興国の経済発展に多大な貢献をしています。

今回の事件は、企業目的の遂行と、駐在員の身の安全をどう確保するかとのはざまで、難問を突きつけられたと言えます。


アルジェリア Wikipedia から




➳ 編集後記

『お金の流れが変わった!』という本について

『お金の流れが変わった!』 は世界と日本の金融を考えると、以前とは全く異なる状況になってきたことを大前氏が、理路整然と具体的に、かつ分かりやすく解説している本です。
時の流れは急速で、昨日までの常識が今日には非常識になることは珍しくありません。

経営資源

経営資源として言われているのは、ヒト・モノ・カネ・情報・時間です。
他にシステム等が加わることもありますね。
はじめの5つに共通点がありますが、何でしょうか?
それは「流れ」です。
人流 (入社・退社・異動・昇進・降格)
物流 (売買・配送・輸出入)
金流 (売買に伴うお金の移動・給与・ボーナス)
情報流(情報を収集し、発信)
時間は、刻一刻と流れています。
 時間の流れは、過去→現在→未来ではなく、「未来→現在→過去」です。
 現在は一瞬のうちに過去になってしまいます。未来と思っていたことが
 現在になり、過去になります。

私たちは、「流れ」にコントロールされているとも考えられます。


✅ 75,000超! 日本企業の海外進出拠点の「国別割合・進出形態・目的」を徹底分析!(掲載日:2022年07月11日)


このウェブサイトからポイントを抜粋します。

2017年10月時点で日本企業の海外拠点数は75,531拠点。前年の2016年と比較して3,711拠点の増加(約5.2%)となっており、過去最多の拠点数となりました。日本企業の海外進出は年を追うごとに加速しており、過去5年間で見ると約18%アップ(11,752拠点の増加)という、まさに右肩上がりの状況となっています


2005年以降一貫してトップをキープしている「アジア」への進出が日系進出企業全体の約70%を占めており、52,860拠点(前年比+6.42%)

次いで「北米」が全体比12.5%の9,417拠点(前年比+2.08%)

さらに「西欧」が全体比7.7%の5,833拠点(前年比+0.40%)となっており、アジア・北米・西欧の3地域で32,591拠点という、全体の97%を占める結果となっています。


もっとも増加率が高かったのが「アフリカ」で約7.7%の増加(57拠点)。 続いて「中米」が約7.4%(96拠点)。 さらに先述の「アジア」が約6.4%(3,187拠点)。 そして「東欧・旧ソ連」が約4.5%(69拠点)

改めて「全世界」で見てみると約5.2%の増加となっており(75,531拠点)、全地域において日系企業の拠点数が増加していることがわかります。


■1位:「中国」32,349拠点。
海外に進出した日系企業全体の約43%を占めています。

■2位:「米国」8,606拠点。
同じく全体の約11%となっています。
想定内ではありますが、この両国で海外進出を果たした日系企業の半数以上を占める結果となりました。
■3位:「インド」4,805拠点。全体の約6.4%。

■4位:「タイ」3,925拠点。全体の約5.2%。

■5位:「インドネシア」1,911拠点。全体の約2.5%。

日本企業の海外進出が、これほどに広範囲の地域・国に及んでいることを今更ながら驚きました。

「企業目的の遂行と、駐在員の身の安全」をどうバランスさせていくかは永遠の課題でしょう。



私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり過激な表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グル(思想的指導者)と仰いでいるのです。



⭐ 関連書籍



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。





🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は7年前にAmebaブログで書きました(2015-06-16 12:10:11)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。















⭐ 私のマガジン (2022.09.12現在)






















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