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アレの次は、アレなのか?

アレに乗っかろうとする輩がまたここに一人。
たきコーポレーション[ ZERO ]の澤田と申します。クリエイティブディレクター/コピーライターをしています。
 
アレというのは、もちろん、我らが阪神タイガースの岡田監督から生まれた「アレ」です。
平常心や普段どおりの野球を大切にする岡田監督が、選手やまわりが必要以上に優勝を意識しすぎないために、「優勝」のかわりに使い始めた言葉。
歴史的V逸で岡田監督が辞任することになった2008年シーズンからの歴史を振り返ると、さらに味わい深い言葉になるのですが、今回書きたいことはそこではありません。

第一次 岡田政権時代、社内メンバーと観戦の際にデザイナーが作ってくれたTシャツを着て。
53個の赤い星。あと淡路島出身なので、例のポーズにもチャレンジしてみました

18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一を受け、四球の重要性を評価体制から変えたことや、ポジションの固定化、マスコミを介したコミュニケーション術などを評価する記事をよく見かけます。ファンなので、そういう記事をやたらレコメンされて喜んで見ていることも影響しているかもですが。
 
ただ、せっかく書くのであれば、「勝てば官軍」的な後づけの話ではなく、これからのことを書きたいな、と。
ズバリ、来年の阪神タイガースを大胆予想しようと思います。野球評論家じゃないので、順位予想ではないです。順位はもちろんリーグ連覇だと思いますが、僕が予想したいのは、2024のシーズンスローガンです。
 
シーズンスローガン(キャッチフレーズという球団も)とは、各球団がファンとともに一致団結してシーズンを戦っていくための旗印となる言葉。
 
2023年シーズンのセ・リーグをみてみると
 
広島  「がががが が むしゃら」
DeNA  「横浜頂戦」
巨人  「奪回〜GIANTS PRIDE 2023〜」
ヤクルト「さあ、行こうか!TEAM SWALLOWS 2023」
中日  「All fo Victory 〜すべては勝利のために〜」

 
というように、優勝をめざすのはもちろんですが、各チームが大切にすることやどういう戦い方をするか、監督の考えやチームカラーをふまえてつくられています。
個人的には広島のフレーズが好きです。毎年かなり攻めてくるので。2020年の「たった今 このAKAの子 舞たった」はよく出したなと感心します(じつは回文)。
 
で、阪神タイガースのスローガンはというと、「A.R.E.」です。
「アレ」からの「A.R.E.」。「えーあーるいー」と読むそうですが。
 
でも、そもそもなぜ「アレ」のままにしなかったのか。ここからは推測ですが、「アレ」だとどうデザインしてもちょっと間抜けな感じに見える。年間通しての言葉だし、いろいろグッズ展開する上で不都合かも。じゃあ英語表記で「ARE」にすればいいのでは。でも「ARE」は英語の「are(アー)」と同じ表記だから混乱する人もいるのでは。最近は外国人のファンも多いし。商標的にも「アレ」とは違う読ませ方がいいかも。だったら、「A.R.E.」でどうですか。それぞれのアルファベットにも意味を持たせる感じで…。のような話し合いがあったのか、なかったのか。
 
それはさておき。「アレ」は使いやすい、使いたくなる言葉で、監督はもちろん、選手、マスコミの人々、ファンのあいだでどんどん広がりました。関西的な言い回しで、かつ隠語的なニュアンスがあり、一体感や仲間意識をつくっていったというのもこの言葉の大きな効果だと思います。スローガンを「A.R.E.」にしたのも大成功だったというわけです。
 
順当にいけば、来年のスローガンも「A.R.E.」をいかして
 
「A.R.E. 2」「A.R.E. 2024」
「A.R.E. A.R.E.」「A.R.E. AGAIN」

 
のようにリーグ連覇、連続日本一をめざすものが考えられます。
コピーライターがやりがちな造語的に
 
「A.R.E.N.P.A.」(アレ+連覇)
 
というのも賑やかしで提案したいところです。
 
ただ、「アレ」は広がりすぎた。流行りすぎた。流行語大賞にノミネートされるくらいに。そうなると、来年も「アレ」を使うこと、言い続けることに少しのためらいが生まれます。
 
うーん、どうしたものか。来年はとても大事な年だというのに。じつは、阪神はリーグ連覇をしたことがありません。セ・リーグで連覇したことがないのは、横浜と阪神だけ。さらにいうと、セ・リーグの優勝回数は、巨人以外のチームはみんなひと桁。阪神は巨人をやたらライバル視しますが、実績だけでいうと足元にも及ばない。悲しいですが。
 
そんな阪神だからこそ、球団もファンも初の連覇を心から望んでいます。まだまだ若いチームでこれから常勝軍団になる可能性も大いにあり、連覇を続けて、2025年の球団創設90周年、大阪・関西万博を盛り上げるという青写真も描いています。僕のなかでは。
 
となると、2023年にも増して、2024年は優勝を意識しすぎず、普段どおりの野球が大切になってきます。つまり、アレが必要なんです。でも、古く感じられるかもしれない。
 
だったら新しい言葉を考えるか。いや、考えた言葉じゃダメ。アレのように自然に使う言葉じゃないと。つくられた言葉だと流通しない。岡田監督の言葉のなかで、「アレ」以外にスローガンとして機能しそうな言葉はないか、いろいろ探してみました。そうして見つけ出したのが、この2つ。
 
「普通にやる」
「自分たちの野球」

 
頂点をめざそう。連覇しよう。と言われても、漠然としすぎてピンときません。2023年のシーズンをとおして「当たり前のプレーを当たり前にやる」ことが選手やスタッフに浸透し、常勝軍団への礎がようやく築かれてきた。しかし日本一を経験したことにより、ちょっとした驕りや気の緩み、まわりからのチヤホヤで、自分を見失いやすくなりがちだから、大切なこと、やるべきことを言葉として残す。拠りどころになる言葉として機能させる意味ではいい言葉ではないかと思います。

ChatGPTで画像生成してみました。日本語はダメそうなので英語で。
何回言っても「OUR」を立たせてくれません。

ただ、選手向けの言葉に偏りすぎ。ファンの人たちにとっては、少し遠い言葉になります。それならということで、

「信じる」 

はどうでしょうか。自分を信じる。自分たちの野球を、強さを信じる。ファンにとっても、監督を、選手を、勝利を、連覇を信じることは大切です。僕だけなのか知りませんが、阪神ファンはどうも負け慣れていて、諦めが早いように思います。ちょっとしたミス、逆転で「またや」「もうアカンわ」となり、空気を変えてしまいがち。そんな負の連鎖をなくし、常勝軍団になっていくために、みんなで「信じる」ことが大切だという想いを込めたスローガンです。
 
と、ここまで考えたのですが、大切なことを見失ってました。言葉がマジメすぎ。おもんない。勢いもない。言ってることは正しくても、おもろいカーストのある社会では受け入れられないかもしれない。そうなると、「アレ」にかわる言葉はあれへん。流行とか古いとか知らんがな。岡田監督は2010年から使ってるし。新喜劇のギャグのようにしつこく言い続ける、やり続けることで定着して、より愛着が生まれてくるもの。
 
だらだらと長くなってしまった話に終止符を打ちます。
2024年の阪神タイガースのスローガンは

A.R.E. 

season 2

と予想します。話題になった海外ドラマの続編が次々とつくられるように、アレがずっと続いてほしい。そんな想いを込めて「シーズン2」と付けてみました。本当は新しい言葉を出したかったのですがね…。いかがでしょうか?昨年は12月中旬に発表されていましたが、今年も同じくらいなのかなぁ。もし合っていたら、誰か褒めてください。
 
というわけで、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。スローガンが発表されたら、その答え合わせを書くかもしれません。では、また。